2008年度活動方針

Ⅰ.私たちを取り巻く情勢

1.私達を取り巻く情勢
不透明さを増す、世界と日本の経済環境 長く続いてきた、欧米、アジアでの景気拡大も、2007年度に出来(しゅったい)した米国のいわゆる「サブプライムローン(アメリカの低所得者向け住宅ローンの総称)破綻問題」を端緒として、大きな曲がり角に来ているように見えます。大量の消費を美徳とし、基軸通貨としてのドルの威力を最大限に発揮しながら世界の富を還流させて作り上げてこられたアメリカ経済のもろさと、その影響が世界経済に、急速に伝播する恐ろしさを実感させた事件でした。2007年2月におきた中国での株価の急落も、世界同時株安の引き金になったことなどを勘案すると、世界の経済は「バブル」と言える状況であり、しかもその崩壊の影響は一国、一地域にとどまらないという警告を発しているように見えます。

一方、「サブプライム問題」で打ち出の小槌の一つを失ったファンドマネーは、コモディティファンドと呼ばれる、一般消費材への投機に、大量のマネーを移動させています。その結果、穀物、原油、貴金属など、私たちの経営や生活に直接関係のある、原料・素材が爆発的な高騰を見せています。これまでも、国内景気の低迷、後継者問題、人口減少、地域の疲弊など多くの困難に直面し、世界先進国の中では異例の絶対数の減少傾向を抱えていた日本の中小企業に更に大きな、困難が加わっているといえます。 これに対して政府は、例えば日本のガソリン価格を高止まりさせている「暫定税率」問題でも、有効・迅速な対応が取れずにいます。それどころか極一部の業者による「耐震偽装」を発端とした対応の中で、「建築確認申請手続き」を遅延させ、住宅着工件数の激減を招くなど、真面目な多くの建設・建築業者、関連の業界に悪影響を拡大させてしまっています。世界規模で発生する、バブル崩壊・景気後退インパクトの影響を最小限でとどめるどころか、自らのエラーで不況に拍車をかける「政策不況」ともいえる状況です。

一方で、地域経済の復興は地域の手で、と言う基本理念の下「中小企業振興基本条例」(以下振興条例)の制定、「産業振興会議」の設置のうねりは大きなものとなりつつあります。 「振興条例」は東京墨田、大田、大阪八尾などの先進地域の経験の元に、県単位では徳島県(平成20年2月議会可決、3月31日施行)、埼玉県、茨城県、三重県、福島県、千葉県、熊本県、北海道、青森県で制定され、さらに沖縄県、神奈川県、奈良県で制定がオンスケジュール(4月10日現在)になっています。さらに県レベルだけではなく、市町村レベルでも「振興条例」制定が次々と進められると共に、地域の独自課題を組み込むなど、質量共に地域の自主的な経済振興の中心に「振興条例」制定運動と中小企業家同友会の活動が大きな役割を果たしてきています。 特に千葉と北海道・帯広市の事例では、条例制定において「理念」を重視し、国内のほかの振興条例だけでなくEUの「小企業憲章」などの外国の中小企業政策にも深く学んでいることが特筆されます。前述したように中小企業数の減少は、主要先進国の中で日本だけの現象であり、それに対応してきた諸外国の事例に学ぶことは大変重要なことであると言えます。また条例制定を目的化せず、そのプロセスを重視し行政・議会・中小企業団体など関係機関の共通認識を形成する努力を重ねていることも大切なことだと言えます。また条例を作りっぱなしにするのではなく、施策・事業の実施など次のステップに移る仕組みと合意(産業振興会議の設置など)があることも見逃せません。 ほんの1~2年前までは「振興条例」「中小企業憲章」の制定要求に対しては「中小企業基本法」があるという対応がほとんどであったことを考えると、同友会の主張の先見性と同時に、地域経済の疲弊が、一層深刻なものになっていることが理解できます。

滋賀県経済に影を落とす「財政構造改革」路線 小泉政権が進めた、いわゆる三位一体の構造改革の結果、滋賀県は地方交付税などの減額で2008年度予算において400億もの歳入不足に陥っていると言われています。これを受けて嘉田県政は「財政構造改革」を打ち出し、福祉医療費補助や、私学助成の減額を始めとして、予算の削減をすすめる構えです。 しかし、県内中小企業は2007年においても倒産件数137社(負債総額198億)と件数では前年比31件の大幅増となるなど、企業減少に歯止めがかかっていません。確かに大企業を中心として、輸出関連など一部の企業の業績は好調で法人税収入は増加していますが、一方で起こっている地域の中小・零細企業の崩壊状態は深刻なものです。 県は地域経済を支える中小企業活性化のために「産業振興新指針」の改訂案をまとめ、2008年2月に知事に答申しました。県政史上初めて、中小企業家同友会の代表も参加して行われたこの「新指針改訂」作業でしたが、県内企業の状況分析が国のデータに頼った実態感のない物であること、全国的に大きな流れになっている「中小企業振興基本条例」のような明確な理念に裏打ちされていないこと、中小企業政策と産業政策の違いに関する認識が欠如していること、4年間の評価や反省がほとんどされていないこと、地域経済活性化のエンジンと位置づけられる「産業振興会議」のような実施主体が設置されず「誰がするのか」が決められていないことなどきわめて不十分なものです。 しかし一方で、地域経済の疲弊に対し、県議会において「中小企業振興基本条例」の制定を目指す動きが起こるなど、県政の変化の兆しも在ります。いずれにしても、主体者として私たち中小企業家が、声を上げ、行動を起こし、地域再生の流れを作っていく使命を負っているのだという自覚を高めることが一層必要となっています。

現在の滋賀県中小企業家同友会の約700社(総従業員数20,000人・総売上高3,600億円)の会勢をさらに拡大し、地域を盛り上げていく責務と機運は拡大していると言えます。

Ⅱ.2008年度スローガン

全員参加の同友会運動を展開し

元気な中小企業と滋賀を創ろう

~創立30周年、いまこそ知り合い、学び愛、励まし合って地域づくりを~

Ⅲ.重点方針

1)強じんな企業づくりの課題
この間枚挙にいとまのない「偽」の経営は、「何のための経営か」という「経営理念」と事業活動との乖離から生まれています。いまこそ労使見解の精神に基づき、科学性・社会性・人間性の視点に貫かれた経営理念と方針・計画による理念経営が本領を発揮するときです。 理念経営で、地域からあてにされ、期待される企業をめざします。経営指針を創る会をさらに強化すると共に、自社で実践するために卒業生をフォローする体制をつくります。経営指針に基づく社員共育、さらに新しい仕事づくりへ挑戦する企業をふやします。  あわせて、地球環境の保全、特に温暖化防止とびわこの水環境保全を理念経営の共通普遍の課題として位置づけ、すべての会員が具体的に自社で取り組めることを明らかにして、環境負荷の軽減をめざします(例えば、再生可能エネルギーの利用、省エネ、省資源、リサイクル、グリーン購入、環境事業、地域の環境活動、社員の環境学習等)。

2)学び合い活動の課題
福島同友会福島地区を典型とする「研究グループ会活動」に学び、各支部で創意ある活動を展開し、会員間の絆を深め、全員参加型の支部づくりに着手します。 支部例会は理念経営の実践経験を交流し、経営姿勢の確立(労使見解、企業倫理)と未来を切り拓く総合的能力を高める学習および実践に努めます。  例会と研究会(小グループ)活動を通じて、同友会理念の核である自主・民主・連帯の精神の第3層=真の人間尊重経営が、モノの見方・考え方の根本となるように大いに論議し確かめ合い、さらに「人間らしく生きる」ことへ気づきを高めあいましょう。

3)地域づくりの課題
県中小企業振興基本条例の制定、および振興会議の設置をめざします。支部ごとに対応する地域行政や他団体と連携し、市での条例制定を働きかけます。 中学生の職場体験、高校・大学生のインターンシップを積極的に受け入れ、共育的土壌づくりに取り組みます。 地域資源(人・歴史・文化・技能・環境等)を掘り起こし、地域力経営の力とします。

4)会員増強の課題
中同協総会への参加や先進事例のベンチマーキングを通じて全国同友会の経験に学び実践します。  事務局を同友会運動のパートナーとして発展・強化すると共に、事務局員を拡充します。  全員参加型の組織づくりを通じて同友会活動への参加を広め、絆を深め、理念を語り合い、新たな運動の主人公を増やし、退会者を減らし、会員増強を推進します。  支部のない地域に組織づくり(当面は高島市、彦根市、甲賀市)をすすめ、2010年度に1200名(法人企業の10%)をめざし、2008年度は800名の会勢を実現します。

5)創立30周年記念行事
滋賀同友会は2009年1月17日に創立30周年を迎えます。 これを機に、30年のあゆみを振り返り、同友会運動の方向性をまとめると共に、明日に向かって更なる発展を指し示すために、「地域と共に育ち、共に生きる」をテーマにした記念行事を実施します。 実施に当たっては実行委員会をつくり、メイン行事の時期や内容について検討すると共に、地域の諸団体とも連携し、滋賀の地域力を発掘し、高めていくきっかけとなるものをめざします。

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