活動方針2009

Ⅰ.私たちを取り巻く情勢

世界経済構造の大きな変化(中小企業を取巻く情勢)

2007年から兆候が見え始めた、いわゆるサブプライムローン問題を契機として、空前の繁栄を謳歌していたアメリカ経済も2008年9月には全米第4位の老舗投資銀行・リーマンブラザーズの破綻に象徴されるような破滅的な危機を迎えています。
元々、GDPの70%という異常に高い個人消費に支えられたアメリカ経済の実態が、ワーキングプアに等しい低所得者にも、どんどんとローンを組み与え、いわば“まぼろしの消費”を煽った結果であったことが白日の下にさらされたのです。このために、当然の事ながらアメリカの個人消費は急減速を強いられ、個人消費の約半分を占める住宅、自動車などの販売が大きく低迷してしまっています。

この事態はアメリカ一国の問題に留まらずヨーロッパ、アジアそして日本をも巻き込んだ世界恐慌の様相を呈して来ました。間違いなく戦後最大の景気後退=リセッションであると言えます。特に、これまで、繁栄を続けてきた自動車、デジタル家電、半導体、建設機械、工作機械などの輸出依存型産業が大打撃を受け、日本を代表するような巨大上場企業が、軒並み創業以来初の赤字決算(09年3月期)を予想するなど空前の事態となっています。

これら輸出型巨大企業は、問題の深刻さから過敏な企業防衛対策=非正規労働者の雇い止めなどを連発してきています。その結果は、社会不安をもたらし、輸出製品以外の分野にも深刻な需要低迷をもたらしています。しかし、一方で1929年の大恐慌や、73年のオイルショック後の景気後退の時とは違う要素もあります。多くの困難さはあるとは言え、世界の財務当局が一致して各国の金融破たんを防ぐための財政出動を最優先課題として取り組んでいる事もその一つです。また、比較的ダメージの少ない中国や日本にも少しずつ回復の兆しが見えます。(★)

さらに、この状況の中で注意しておくべき幾つかの問題点も指摘しておく必要があります。

まず、「雇用調整助成金」をはじめとした政府の企業救済政策についてです。 「雇用調整助成金」は、急激な売り上げの減少に見舞われた製造業を中心に、臨時休業日を設けさせ、その分の賃金について7730円/日・人を上限として賃金保証をする制度です。1月だけでおよそ12000事業所(90万人)が新たに申請をし、目下のところ製造業企業に関しては効果的なセーフティネットになっています。今後の申請数にもよりますが、月間の予算規模はおよそ400~500億と推定され、政府は3月に可決された補正予算で4000億の積み増しをしました。
第一次オイルショック後の不況時には雇用保険財源が枯渇しておりとてもこのような対策は打てませんでしたが、現在では約5.5兆と言われる(勿論このなかから失業保険給付もなされます)財源から見て、また製造業従事人口1500万人の10%程度が給付対象となると考えると、初年度200日を上限にという制度は財源的な裏づけはあると思われます。

しかし、これはあくまで緊急避難的な対策であり、充分注意しなければ製造業のモラル・ハザードにつながる可能性がないとは言えません。「仕事をしなければ補助金を出す」というのが、産業を弱体化させかねない手法である事は農業における減反政策を見るまでもありません。「雇用調整助成金」は危険な劇薬であることも充分承知しておく必要があります。真剣に事業の多角化、地域経済との関連性の強化などグローバル経済からの自社経営の切り離しに取り組み、一日も早く「助成金」という“点滴”で命をつなぐ危篤状態から、自主的な力で回復するために経営者・従業員が智恵と力を合わせることが必要だと言えます。

また、小売業・サービス業などには緊急融資以外ほとんど有効なセーフティネットが無い事も大きな問題です。同友会が提言してきたように、県内中小企業に対する悉皆調査に基づく具体的な状況の把握が行なわれていない結果、政策立案がお手上げ状態になっています。県商工労働当局の猛省を促すところです。

さらに、警戒すべきはこの不況が回復に向かった時点での「消費税増税」論議です。これに関しては大方の世論も「消費税増税やむなし」の方向に誘導されており大変危険だと言えます。例えば法人税が40%であった1988年には法人税収入が19兆円であったものが、30%になった1999年には10.7兆円となり、消費税1%当りの税収を2兆円としても、消費税4%分もの減税が企業(特に大企業)になされたと言えます。また企業の資金繰り困難などでの消費税の国庫への滞納が増加しており、制度的な欠陥も指摘されています。税のあり方については、物言わぬ国民、取り易い所から取るという事では国家の健全な発展は望めません。しっかりと議論を積み重ね、大多数の賛同を得て進めるべきことだといえます。

さらに、2001年の金融ビッグバンにおいて、金融自由化の名の下に銀行業務と証券業務を一体化させたことも、今回の世界金融危機をもたらした原因の一つとして指摘しておく必要があります。1933年のアメリカのグラス・スティーガル法とそれに学んだ、日本の証券取引法第65条(1948年)の精神に戻しておく必要があります。今回の世界金融危機をもたらしたファンドマネーは依然健在であり、主にアメリカの反対でこれに対する有効な規制が出来ない状況においては、この危機の再発を防止するために日本政府が是非、考慮すべき課題であると言えます。

★2月の景気ウオッチャーDIが19.4ポイントでほぼ1年ぶりに、2ヶ月連続の改善となった。数値そのものは低い水準だが「下げ止まり」(内閣府)との認識になっている。また2月の量販店での薄型テレビの販売も、台数ベースで前年同月比31.3%、金額比で14.3%と大型サイズを中心に12月前年割れから持ち直した(BCN調査)さらに中国でも製造業購買担当者指数(PMI)は08年11月を底に2月まで3ヶ月連続で改善。特に生産指数・新規受注指数が回復しており2月の鉱工業生産は増加に転じたとする見方が強い。

今こそ、人間尊重経営・指針経営が問われる時。同友会企業は光輝こう! 2月25日に「インクス」と言う会社が、民事再生手続きを開始しました。最近の金融締め付けにより破綻の相次ぐ不動産業とは違い、つい数年前までは100億の売り上げと、二桁の営業利益率を誇り、国の「ものづくり懇談会」の委員を努めるなど時代の寵児、製造ベンチャーの旗手としてもてはやされた企業でした。三井金属出身の山田真次郎氏が、アメリカで最先端の光造型技術を見て起業を即座に決意し、人間ではなく機械に頼った金型造りを目指し、数年前には長野県の茅野に、その名も「零(ゼロ)工場」という文字通り、完全無人の金型製造工場を建設しマスコミでも大きく取り上げられたものです。

人間がその創意と工夫で付加価値や、アイデアを生み出し、それこそが企業や経済の根本的な力の源泉である事、企業の本質的な目的が人間尊重であることを理解せず、効率・目先の利益を求めた結果の破綻であるといえます。
この不況が「市場原理主義」という、人間よりお金や利益を優先するイデオロギーから産み出されたものであれば、それを本質的に克服し解決する経営哲学は疑いなく、中小企業家同友会が目指す「人間尊重経営」「指針経営」です。同友会で学び実践する私達が、もう一度自社の「理念」に深く立ち返り、困難な中でも全社一丸の経営を築き上げる方向でこの不況を乗り切る事が求められています。先ほどのインクス社がその設立の目的を「永続的な雇用の創出」としていながら、実際の経営活動は全く逆の事を行っていた事を他山の石とし、「理念」「方針」「計画」の一致を再度見直し、最良のパートナーである社員と共に、明るく力強く経営を守り発展させて行く、滋賀同友会会員企業にとって、そんな2009年でありたいと思います。

Ⅱ.2009年度スローガン

地域の活力で日本経済の再生を

~燃やそう中小企業家魂、育てよう地産“地商”の輪~ ---------------------------------------------

Ⅲ.重点方針

2009年は、中小企業の経営維持と次の時代への布石を打つための体力と知恵が試される激烈な闘いの年となります。

私たちは今日の経済と暮らしの危機を捉えるに当たり、決してうろたえることなく、ことの本質を見極め、闘いに臨まなければなりません。

世界的な金融危機と経済危機による暮らしの悪化の根本原因が、市場まかせの規制緩和路線と弱肉強食の経済政策に邁進し、貧困と格差を拡大させた市場競争原理至上主義=新自由主義の構造改革路線と、マネーゲームによって金が金を生むカジノ資本主義の破綻にあったことは今や疑う余地はありません。

今こそ中小企業家魂を発揮し、生活と物づくりを大切にした地域の「生きる・暮らしを守る・人間らしく生きる」ことを担う日本経済への転換をめざし、経世済民の志を高く掲げ、闘う年にしてまいりたいと思います。

1)「本物」の企業づくりを推進します

企業づくりに奇策や特効薬はありません。私たちは厳しい経営環境だからこそ、「本物」の企業づくりをめざし、あらためて「労使見解の精神」による「人間尊重の経営」で、強靱で質の高い体質の企業づくりに取り組みます。

「人を生かす経営実践講座・赤石塾」で理念経営の基礎を築きます。「経営指針を創る会」では経営姿勢の確立に重点を置き、経営指針による科学的な経営実践を広め、共同求人による人材の確保と、自律し自立した能動的な人が育つ社員共育活動を推進します。

さらに、環境・健康・食・福祉などを切り口に地域循環型、地産“地商”型(地域で生み出し消費するだけではなく、商いを興し全国へ発信する)の新しい仕事づくりへ挑戦する企業を増やし、地域の多様な雇用ニーズに応えます。

2)質量ともに高い水準で学び合う同友会づくり

支部を中心にした「知り合い・学び合い・励まし合う」活動を抜本的に強化します。昨年(2008年)度からスタートした「研究グループ会(小グループ)活動」を軌道に乗せ、学びと交流による全員参加型の支部活動で会員間の絆づくりを強化します。

支部例会では会員経営者の経営体験から経営姿勢の確立(労使見解の精神、経営理念)と未来を切り拓く総合的な経営者の能力を高める学び合いに力を注ぎ、報告者との打合せなど事前準備を行う体制も確立させます。

また、例会でのグループ討論のレベルを上げて、参加者の経営課題解決につながる例会づくりを行います。

3)「幸せの見える地域」づくりに取り組みます

地域の暮らしは仕事づくりと雇用の安定が基本となります。そのためには、地域経済の主人公である中小企業が活性化することが必要であり、その条件と環境を整備するために「中小企業振興基本条例」の制定「産業振興会議」の設置に向けて、県や各行政機関、他団体に働きかけを行います。また中学生や障がい者の職場体験・高校や大学のインターンシップ受入を通じて、地域と共に育つ土壌づくりを進め、中小企業の存在価値と存立基盤を高めます。

地域力(人・歴史・文化・技能・自然環境等)を掘り起こし、「本物」に触れ、自ら「本物」を志向し、地域力をいかした地産 “地商”型の経営分野を広げ、「幸せの見える社会」づくりに取り組みます。

4)1200人の量・質ともに強靱な滋賀同友会めざす5ヶ年計画をスタートします

地域の活力で日本経済を再生するために、私たち中小企業家が地域づくり・暮らしづくりの担い手として、人々の「生きる・暮らしを守る・人間らしく生きる」を実現していく力を高め、国民運動としての同友会運動の礎を確かにする必要があります。
その運動を担う強靱な同友会をつくるために、2014年(3月末)には地域法人の10%である1200人会勢をめざし、2009年度より会勢を倍化する5ヶ年計画をスタートします。

1200人会勢の実現をめざして、組織活性化委員会では5ヶ年中期計画を策定し、地域になくてはならない同友会づくりと理念型経営による強靱な体質のモデル企業を生み出す活動に取り組みます。

全支部が会員増強目標を明確に持ち、仲間になっていただく候補者も明らかにして、例会や研究グループ会へお誘いし、共に成長することで同友会へ迎え入れましょう。

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