滋賀県に対する中小企業家の要望と提案2012

2012年度

滋賀県に対する中小企業家の要望と提案

滋賀県中小企業家同友会

代表理事 蔭山 孝夫

代表理事 坂田 徳一

〒525-0036

草津市草津町1512

TEL 077(561)5333

FAX 077(561)533

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はじめに

1)滋賀県中小企業家同友会の紹介

私たち滋賀県中小企業家同友会(以下「滋賀同友会」:1979年1月創立、会員数600名、総従業員数18,000人)は、「よい会社をつくろう」「よい経営者になろう」「経営環境を改善しよう」の三つの目的を持ち、「自主・民主・連帯」の精神で会を運営し、「国民や地域とともに歩む中小企業」をめざして活動している中小企業経営者の自主的な非営利団体です。

私たちは、自主的自助努力による経営の安定・発展と、中小企業をとりまく経営環境を改善することに努め、1997年より毎年「中小企業家の要望と提案」を作成し、滋賀県知事、商工観光労働部長、県議会各会派、地域金融機関に提出し、懇談を重ねてまいりました。
中小企業家同友会は、地域経済にやさしく中小企業や市民など借り手にとって円滑に資金供給が行なわれる金融システムをめざす「金融アセスメント法の制定」をめざして全国的に運動を展開してきました。滋賀同友会は県下の議会に対して「金融アセスメント法の制定を求める意見書」の採択運動を実施し、滋賀県議会をはじめ県下51議会(当時・100%)で採択されました。この取り組みを通じて、金融庁による金融検査マニュアルの画一的運用が改められ、「金融検査マニュアル別冊中小企業融資編」が作成され、中小企業金融の円滑化を促進させる成果を生み出しています。

2)滋賀県における中小企業・自営業の占める位置と役割

2000年には「EU小企業憲章(リスボン憲章)」や日本政府を含む49ヶ国によって「OECD中小企業政策に関するボローニャ憲章」が相次いで採択、さらに2004年6月、OECDは「イスタンブール閣僚宣言」でボローニャ憲章を改めて評価し、中小企業の育成と強化が重視されています。

中小企業家同友会では2003年5月から日本独自の「中小企業憲章」の研究と憲章制定運動にとりかかり、地方自治体においては「中小企業振興基本条例」の制定や改定に向け、全国的に努力してまいりました。

そんな折り、2010年2月、中小企業庁内に「中小企業憲章に関する検討会」が立ち上がり、中小企業憲章の制定に向けて議論が進み、6月18日に政府は中小企業憲章を閣議決定しました。

中小企業憲章の前文には「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役である」ことが高らかに謳われ、基本理念には「中小企業は、社会の主役として地域社会と住民生活に貢献し、伝統技能や文化の継承に重要な機能を果たす。小規模企業の多くは家族経営形態を採り、地域社会の安定をもたらす」として、中小企業を国家の財産ともいうべき存在であると位置づけ、基本原則には「中小企業の声を聴き、どんな問題も中小企業の立場で考え、政策評価に繋げる」といった政府の立場や姿勢が表明されております。

中小企業憲章を具体的に推進するには、中小企業政策を産業政策における従来の「補完的役割」から「産業政策の柱」として位置付ける諸法令の具体的な整備と、地方自治体においては中小企業振興基本条例の制定による元気な地域づくりが急務となっています。

平成18年総務省事業所企業統計によると、県下55,768事業所(民営)の99,7%、 雇用の85,7%(476,325人)を中小企業が占めています。また、製造品出荷額では49,9%(3兆1858億322万円 H17年調査)となっています。

したがって、滋賀県経済を元気にするためには、これら多数の中小企業、とりわけ、従業者数5名未満の小規模事業所を元気にすることが不可欠です。

加えて、既存企業をベースにした「新事業の展開」が新規創業やベンチャー企業の創出につながり、「第二創業」として注目されています。既存中小企業と向き合い、その経営課題の解決に向けた親身の相談活動は新しい仕事づくりへのインセンティブにもなります。

従来型の産業政策の柱であった大企業の工場誘致も、近年では新規雇用の創出効果が限られていますが、中小企業は地域に根差した存在であり、多くの雇用を守っており、そのことが結果として市民税の源泉ともなり、自治体の安定財源を担保することになっています。

併せて、中小企業はお互いに支え合って域内ネットワークを作りながら取引を行っていることから、倒産・廃業によってそのネットワークが崩れると、地域経済そのものが修復不可能になってしまいます。

つまり、地域経済の盛衰は中小企業の盛衰そのものであり、元気な中小企業が増えてこそ、滋賀県経済は元気になり、税収も増え、雇用の増大にもつながります。

東日本大震災の教訓は、食料とエネルギーの危機に耐久力のある地域づくりであり、持続可能な経済の主役は中小企業・自営業であることは言うまでもありません。

滋賀では平成8年以降、一貫して廃業率か開業率を上回っている状況だからこそ、地域経済を再生する視点で、中小企業全体をボトムアップする施策の充実が求められています。

これにはアメリカのコロラド州リトルトン市で取り組まれた「エコノミック・ガーデニング」という地域再生手法が参考になります。手間暇をかけて地元の企業を育てることこそ、長期的には雇用と税収を増やすことになると報告されています(「アメリカ中小企業白書2006」)。

3)同友会の基本姿勢

これまで私達は自主的自助努力による強靱な体質の企業と経営環境の改善に向けて、次の課題に取り組んできました。
1)人間を人間として大切にする理念型の企業づくりで、構造転換による地域経済の空洞化に歯止めをかけ、地域の雇用を守り発展させる
2)経営指針(経営理念・方針・計画)の成文化と実践による経営者の意識改革と経営革新3)共同求人活動により新卒学生の採用と、生きる力を育む社員“共育”活動
4)中学生の職場体験学習、高校・大学生のインターンシップなど地域や大学との“共育”的連携の推進
5)持続可能な滋賀モデルの学習と中小企業の役割研究
6)共同作業所・授産施設と連携し、障害のある人の自立支援と循環型の地域づくりをめざすオフィス古紙リサイクル運動
7)産・学・官・民の連携による新しい仕事づくり
8)障がい者の自立支援に向けて、職場体験(トライワーク)の受入と雇用推進、共同作業所の就労収入向上支援、障がい者の雇用実態調査と雇用促進に向けたマニュアルづくり
9)中小企業や市民にとって円滑に資金供給が行われる金融システムをめざす「金融アセスメント法(仮称)」の制定運動(滋賀県議会および県下50市町村議会(当時)で早期制定の意見書採択)
10)事業所内共同保育施設整備に関する調査と研究、児童虐待防止の会内啓発活動
11)中小企業を国民経済発展の中核的担い手として、国の根幹を支える重要な役割を正当に評価し、中小企業政策をわが国の基本的政策として位置付けることを宣言する「中小企業憲章」の制定運動。地域においては「中小企業振興基本条例」の制定と、その担い手となる組織(支部)と企業づくり

私たちは、自主的な自助努力によって地域の「生きる」「暮らしを守る」「人間らしく生きる」ことの担い手となる良い企業づくりをさらに進めてまいりますが、外需へ過度に依存した滋賀県の産業構造に、世界的な不況などの影響を受けにくい内需型の新しい産業構造をもう一つの柱として育てる最も確実で有効な政策として、地域の暮らしに根ざし、暮らしを支える中小企業や自営業が自ら元気を生み出す条件と環境づくりを最優先課題として位置づけて取り組まれることを願い、以下の項目を要望・提言します。

つきましては、県独自で解決できる事、国に対して要望する事などに分けて、取り組みを宜しくお願いいたします。

1.中小企業の活性化による滋賀県経済の再生

1)2010年6月18日に「中小企業憲章」が閣議決定されましたが、さらに国民 的な認識を高めるために、以下の内容を国に対して積極的に働きかけてください。

2010年6月18日に、中小企業憲章が閣議決定されました。同友会がEU小企業憲章などを参考に提言・要望してきた同憲章が国において現実のものになった事は、中小企業を社会の主役として元気な地域づくりを進める大きな力になると言えます。

今回の「中小企業憲章」には、同友会が作成した「中小企業憲章草案」やヨーロッパ小企業憲章 の内容が反映されていると評価できます。例えば、「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役である」と基本理念で中小企業の経済的社会的役割を高く位置づけていることや、「中小企業の声を聴き、どんな問題も中小企業の立場で考え、政策評価に繋げる」といった政府の立場・姿勢を表明するなど、従来にない画期的な内容が含まれています。

ただ一方で課題も少なくありません。「中小企業憲章に関する研究会」は2月から5月の3ヶ月間に計6回開催されただけですし、パブリックコメントの期間もわずか10日間しかなく、とても国民的議論が行なわれたとは言えない状況です。これでは実効性は大変疑わしいと言わざるを得ません。また、憲章の精神を行政施策の隅々に行き渡らせるためのエンジン=中小企業省、専任担当大臣、中小企業支援会議の設置も明記されていないため、単なる「絵に描いた餅」に終わってしまう危惧も否めません。

今回の憲章閣議決定は「スタート」でありこそすれ、決して「ゴール」ではありません。疲弊を続け、崩壊の崖にあるとも言える地域経済と中小企業・自営業が元気になる条件と環境をつくる具体的施策が行われるために、以下の内容を国に対して積極的に働きかけてください。

①閣議決定で終わるのではなく、国会決議を行うこと。
②中小企業に関わる施策は多岐にわたります。首相直属の「中小企業支援会議」を設 置し、省庁横断的な機能を発揮して、中小企業を軸とした経済政策の戦略立案等を 進めること。
③中小企業担当大臣を置き、中小企業憲章を具体化した政策・施策の実行体制を強化 すること。

2)「中小企業振興のための条例」の目的・目標・指標を明確にしてください。

2010年11月の県議会での嘉田知事の「中小企業振のための条例」制定表明以降、県では企業訪問を始め、色々な取り組みを始めたと聞いております。いまさら言うまでもなく、地方自治体の税収、雇用、地域の賑わい、さらには教育、文化など様々な面で、地域の中小企業の果たす役割は大変重要なものであり、代替の利かないものです。滋賀県同友会では、これまでの県の、一部のリーディングカンパニー育成を主な目的とした「産業振興新指針路線」を不十分なものと指摘してきました。

ヨーロッパの「小企業憲章」や、アメリカの「エコノミック・ガーデニング戦略」に見られるように、地域の中小企業群を総体として捉え、その「生態系」を正しく把握し、数本の樹を大きくするだけではなく、豊かで多様な、かつ簡単に他県や、海外に移転しない、地域に根付いた地域の経済連関を創り上げることこそ重要であるとの見方からです。

今回の知事の「振興条例」表明の意図が、そのような地域経済に対する見方と、中小企業振興の目的・目標の見直しであることを期待します。このような視点から今回の「中小企業振興のための条例」が、何を目的とし、どのような指標をその効果のインデックスとするのかが問わるところであると考えています。

これまでの「産業振興新指針」の成果に対するように、「○○件の取り組みがあった」「○○回の会合が開催された」「○○名の参加」などの表面的な指標では、残念ながら県経済、中小企業振興の効果はおぼつかないのではないでしょうか。

例えば企業数の推移、開廃業率など本当の効果を示す指標が求められるのでは無いでしょうか? 今回の「中小企業振興のための条例」の制定に当たっては、県内大学とも多角的に連携しておられると報道されています。

是非、研究者の方々の知見を入れて、その目的と、効果を計る指標を明確にしていただきたいと考えます。

2)県内中小企業の実像について見解を示してください。 また、「企業規模」についての正しい認識も重要であると考えます。

日本の中小企業(会社組織)数は約152万社ですが、その85%は従業者数20人未満の小規模企業からなっています。特に、従業者数0~4人の零細企業が53.2%と全体の過半を占めている実態があります。良く使われる平均値では、どうしても規模の大きな企業の数字に影響されます。そのような影響を受けにくい、中央値を基準とした場合、日本の典型的な中小企業は従業員数6人(平均値では19人)、年間売上高1億2千5百万円、総資産残高8千5百万円、資本金1千万円という姿が現れます。さらに営業利益は100万円、当期利益は40万円を割り込むなど、収益も低水準にあります。一方で、売上高や総資産残高は意外に大きいという現実があります。その理由としては、事業を営むに際しては相応の設備や機械などが必要であり、それらが3千万円と総資産の3分の1程度を占めていることや、長短期借入金残高が総資産の6割、5、000万円にのぼり、この借入金にかかわる元利金を約定どおり返済していくには、それなりの売上高を確保することが必須となっていることなどが挙げられます。

このような借入金依存体質に陥ることが日本の開業率を低迷させる背景にあるのかもしれません。アメリカの中小企業総数は2,370万社もありますが、一社当たりの従業員数の中央値は4人程度と日本よりも小ぶりです。 このような中小企業の実像に照らし、中小企業政策は従来よりも、さらに小さい企業に焦点を当てた施策が求められているのではないでしょうか。(鹿野嘉昭『日本の中小企業」東洋経済新報社より)。

「中小企業振興のための条例」で想定される、県内中小企業の実像についても、具体的な見解を示してください。

3)条例の制定にあたっては、中小企業の活性化と地域や産業の振興を展望したビジョンや戦略会議を並行させ、従来の枠を超えた中小企業関係者などから広く意見を聞く機会を設け、関係者の共通認識をつくる努力を重ねて下さい。
また、条文には以下の点を重視して頂くことを提言します。

①前文では滋賀の自然的経済的社会的な地域特性及び条例の必要性を明記し、第1条等では中小企業の役割と中小企業政策の重要性を位置付けた目的・理念を明確にする。
②商業、工業だけでなく、建設業やサービス業、第一次産業など全ての産業を含める意味から「中小企業」の名称で位置付けることを明確にする。
③知事の責任、予算の確保を明確にする。
④県民は中小企業が地域経済の振興・発展及び県民生活の向上に重要な役割を果たしていることを理解し、中小企業の育成・発展に協力頂くことを明確にする。
⑤地域経済・中小企業振興に対する大企業者や大学の責任、努力義務を明確にする。
⑥中小企業振興とまちづくりを結合させた豊かな地域づくりの観点を明確にする。
⑦一定期間ごとに条例を見直す規定を入れ、「育てる条例」の観点を明確にする。
⑧中小企業経営者も含めた中小企業施策の検討機関「地域振興会議(仮称)」の設置を明確にする。

4)地元自治体と連携して活力ある中小企業を育てるために、市町単位での「中小企 業振興基本条例(仮称)」制定を促進してください。

地域中小企業を柱に据えた元気な地域づくりをすすめるためには、各市町が地域特性を考慮した丁寧な中小企業振興策を策定することが必要です。

県が率先して「中小企業振興基本条例(仮称)」を制定し「中小企業立県滋賀」を宣言していただくことで、各市町においても「中小企業振興基本条例(仮称)」の制定が促進されます。

北海道庁では経済部商工金融課はホームページ上で「中小企業振興基本条例の各地の施行状況」を公開し、制定を促進しています。
( http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/csk/chusho-jorei.htm )
弊会でも県下市町へ「中小企業振興基本条例(仮称)」制定に向けた対話を行っていますので、 県からも条例制定の助言や働きかけを積極的に行ってください。

5)効果の出るメディア活用を取り入れてください。

大消費地や、全国に販路を広げていこうとする場合、マスメディアの活用が欠かせません。ある会員企業では、「中小企業基盤整備機構」の支援を受けて、イベントの主旨や開催日を見直し、中日、京都、日刊工業、朝日、フジサンケイビジネスアイ各誌に掲載されました。またイベント当日はNH K、朝日、京都など取材がありました。さらに滋賀同友会で進める「ニュースリリース」活動でも多くの成功例が出てきています。

県も中小企業支援の一環として「効果の出るメディア活用」を取り入れて下さい。これは比較的、定量評価がしやすい分野でもあります。

2.農商工連携を進めるための課題

経産省・農水省が進めている「農商工連携」支援事業は、疲弊する地方の経済の活性化に、大いに役立つ可能性を秘めていると言えます。自然や、地域の伝統などを活かした、地域の「財」を、生産者・加工者・販売チャネルなどが連携する事によって魅力や、付加価値を高め広く販路に乗せていくことが出来れば、大きな経済効果を生む事が期待されます。

滋賀県でも、農商工連携の取り組みは、中小企業団体中央会、商工会議所、商工会などで熱心に取り組まれ、これまでに9件の(H23年6月現在)認定事業が生まれています。

しかし、一方で課題もあります。
その第一はやはり、マーケッティングであり「販路」の確保・拡大です。 特に最近では、農商工連携の認定に当たって「売れるかどうか」を申請者自らがリサーチして「売れる」可能性を明確に示す事が求められ、いわゆる「敷居が高い」状態になっています。 その結果、近年では滋賀県はじめ近畿経産局管内での認定件数も低迷しています。

一方で農商工連携の案件は「手づくり」「手間ひま」「地域特産」などがキーワードとなっており元来、大量生産、大量販売には不向きな商材が多いのが特徴です。一般的なマーケッティングの課題=低価格・大量販売ではない、少量・適正価格販売に焦点をしぼったマーケッティングリサーチや、販売支援が必要であると考えています。

この部分で県は経産局や農政局任せにするのではなく、滋賀県独自の支援策を以下の通り検討していただきたいと思います。

1)大都市の中心地や、商店街などにアンテナショップを充実させてください。さら にもっと顧客が利用しやすい営業時間の見直し、情報のフィードバック、企画催事 の開催などアンテナショップそのものの活性化を推進して下さい。
2)生産者、加工業者が県外で独自にPRや販売活動をする場合「おいしが うれし が」のノボリやポスターを使用するのに規制があります。これを使用できるように して下さい。
3)販路開拓などの専門家を充実して下さい。
4)1次産業従事者と、2次産業、3次産業の企業が一同に介して、相互理解を深め、 「農商工連携」や「6次産業化」の取り組みが進むような企画を実施して下さい。
5)上記の取り組みでは、和歌山県農林水産部農林水産政策局食品流通課の活動が参 考になります。和歌山県の取り組みについての見解を示してください。

3.医工連携を進めるための課題

国の新成長戦略の中核を成すライフイノベーション政策に対して、滋賀県におきましては下 記の産学官連携事業へ滋賀同友会の会員企業も積極的に参画しております。

平成16年都市エリア(一般型)、平成19年都市エリア(発展型)、そして平成22年度からの「しが医工連携ものづくりクラスター」地域イノベーション戦略支援プログラム(グロー バル型)の産学官連携事業では、一定の成果を期待されているところであります。我々中小企業においては、「しが医工連携ものづくりネットワーク会議」を通じて参画しておりますが、なかなか容易ではない状況であります。下記に示します課題にたいして、官民が歩調を合わせて取り組んでゆくべきと考えております。
1)滋賀県における医療機器開発に関わる人材養成の必要性
言うまでもなく企業の要諦は人材であります。そしてその人材教育には中小企業の命運が掛かっているものです。医療機器に関する教育は一部補助金政策として行われているのみで、医療機器開発の基本的な社会人教育は皆無な状態であります。滋賀医科大学との提携、または滋賀県立大学の人間看護学に医工連携の具体的な取り組みの一つとして、社会人を対象とする医療機器開発手法並びに医療現場のニーズとの出会いによる開発支援コースの設定等が必要であると考えます。

2)医療機器開発に関するスーパー特区への挑戦
医療機器に関しましては薬事法による規制の障壁が高い事はご承知の通りであります。医療機器開発から治験に至る過程において、特区としての取り扱いを国に申請し、滋賀県独自の医療機器開発関連規制の撤廃は、将来の県内医療機器産業育成において避けて通れない事柄となるものと思われます。

3)海外市場の開拓・海外展開への支援
現在、上記成果の品々を「メディカ2011デュッセルドルフ」出展に向けて準備段階であります。このことは、今まで産学官連携として着実に進めてきた成果であり、評価すべきと考えております。今後必要な展開は、成果品の国内並びに海外市場への活動支援の段階となります。国内市場においては、販売認可業者との医療機器ビジネスマッチングの場を創設、海外市場においては、販路拡大活動の支援策、外国人材活用の為の支援策、真の中小企業の国際人材育成等、県内中小企業の国際化に具体的な貢献策が必要です。

4.地産地消型の低炭素滋賀の実現に向けた仕組みづくり

東日本大震災の結果、引き起こされた「福島原発」の事故は、全国最多の原発が立地する福井県に隣接する、滋賀県にも大変大きな不安を巻き起こしています。この点、嘉田知事が2011年6月21日の記者会見で「原発に頼らず、卒業する」(卒原発)の立場を明らかにされた事は、滋賀県民として大変喜ばしい事であると考えます。

この「卒原発」は、武村正義元官房長官のメッセージで、代替エネルギーへのシフトを目指したものだと言われています。

県はすでに2030年に、温室効果ガス排出量の50㌫削減(1990年比)を目標にした計画を発表しておられます。この中で「住宅の高断熱・省エネの推進」「再生可能エネルギーの導入促進」「環境負荷低減につながるビジネスへの支援」「「ビルの屋上・壁面緑化推進」「木材の地産地消の確立」「木造住宅の普及」「再生可能エネルギーを利用した観光船の導入」「農産物の地産地消の確立によるフードマイレージの低減」など多くの具体的な取り組みが示されています。

さらに、「滋賀県低炭素社会づくりの推進に関する条例(以下:低炭素条例)」を平成23年4月1日より施行されました。

しかし、県民から見て当初の目標を達成するには、総合的な戦略の不明確さ、実施主体の未確立、予算措置などが不足しているとの見方が否めません。

関西電力は、その約半分を原発に依存するという、国内10電機事業者中、もっとも原発依存率が高く、今後の給電状況は予断を許さない状況と言えます。そのような状況を踏まえ、県内経済の維持・発展を図り、県民生活の安寧を確保するためには、県の「温室効果ガス削減目標の達成」に向けた真剣な取り組みが不可欠です。

ところが県下中小企業における実態は、「高額な投資費用がかかり実行できない」「取引先の大手企業が今回の低炭素条例により県外または海外移転を検討しているので根本的に反対だ」「そもそも何をどうすれば良いかが分からない」など後向きな回答が圧倒的な状況です。

それは、今回の低炭素条例の根本的な考え方が、低炭素化の実現にのみフォーカスした内容であると見られており、雇用創出や産業復興への期待感が伝わっていないこと。そのため中小企業が、自分たちの強みを活かし輝ける場面を想像しにくいからではないでしょうか。

事実として、「滋賀県低炭素社会実現のための行程表(H23年1月発表)」においては具体的な施策や実行スケジュールなどは明文化されておらず、あくまで理想的な社会の未来像が多く描かれているように受け取れます。

そこで、滋賀県の低炭素に向けた活動が
○(県内)大手企業にとって魅力のあるもの
○中小企業が輝く機会を含んだもの
○雇用が産まれ技術や仕組が高度化し滋賀県の未来が明るくなるもの
ということを叶える枠組みでなければならないのではないでしょうか。
滋賀同友会として、以下のことを提案します。

1)県下の中小企業が積極的に低炭素社会づくりに参画し、それによって得られた低 炭素実績(カーボンクレジット)を滋賀県に集約しその削減量を県内大手企業に提 供することで、滋賀県全体の産業浮揚・国際競争力強化と雇用創出を描いていける 未来像、地産地消型の低炭素社会への道筋(ロードマップ)の作成。

2)その実現のため有識者・中小企業家・大手企業・県民からなる提言・活動主体を 任務とした「再生可能エネルギーシフト県民会議」(仮称)を設置して下さい。

5.中小企業の省エネ・環境保全型商材等のトライアル発注事業の実施

地産地消型低炭素社会作りの枠組みにおいて、必要となってくるのが効果の検証と考えます。 温室効果ガスの低減量を把握できるアイテムの選定やそれらの検証方法など、何をどうすればどれだけの温室効果ガスの削減になったのかを見える化する仕組みが求められるのではないでしょうか。

また、各種アイテム(新しく生まれた商品や技術)が地球規模での低炭素化や生物多様性の保全に貢献できるものかどうかを評価選定することも重要となってくると考えます。 そこで他府県で取り入れられているようなトライアル発注事業という形態にて行政が各種アイテムの製品評価や効果検証を1年程度で実施し、商品開発・改善に繋げたり、また低炭素に有用なアイテムを登録していくような仕組みを実施されては如何でしょうか。

既に佐賀県ではそれらを起点とした新規産業や新商品が毎年全国に飛躍していると聞いております。

滋賀県の中小企業が活性化し、かつ低炭素活動を盛り上げていく仕組み作りを是非とも行政として検討頂ければと考えます。低炭素に向けた目標だけが目立つものではなく、それを達成する仕組みにも今までの滋賀県にはない構想を描いて頂くように要望します。

6.多様な人の力をいかすことが出来る地域づくり

社会とつながらない
社会という言葉は英語の「Society」、独語のGesellschaftの訳語であり、原語は結合、交際、寄り合い、仲間、社交などの意味をもち、共同の集会の場における諸個人相互間の交流(コミュニケーション)という集合行為を示しています。

そして、この集合行為が一群の人々の間で繰り返され、安定し固定していくと、地域や職域における人々の間柄、社会関係または集団を形成することになります。

したがって、社会というヨーロッパ起源のことばは、一群の人々がある共通の目的のために互いに自由な主体として対等の立場で相会し、共同の行為に参加する(団結、結社)という事態を意味しています。(YAHOO 百科事典より)

そのような視点で見た場合、人にとって社会への参加の帰着点は「働くこと」であり、それは人間社会を構成している大きな要素と言えます。

けれども現実を見てみると、多くの企業はグローバル競争の下で存在目的を達成するために効果・効率性を追求し、そこでは生産性の高い選抜された人材を優先的に確保するという動きになっています。そこから漏れた人たちは、いわゆる「就労困難者」として、社会の側で抱えていくという現実が拡大することになっています。

「生涯にわたり、主体的な職業選択、自立的な能力向上・発揮ができ、やり直しがきく社会」という意味で、「幸せの見える共生社会の実現」を目指すという国民の素朴な願いは、「無業者」の増加と両立するものではないという点からして、滋賀同友会としては無視するわけにはいかない課題です。

総務省では、2011年2月期の満15歳以上の人口のうち、休業中の就業者、さらに完全失業者に加え、労働力調査期間に月末の1週間に、少しでもアルバイトをした学生や、パートを行った主婦なども対象となる労働力人口を6,600万人としています。

内訳は、就業者人口の内、15歳から64歳までの数が5,727万人で、内雇用者数は5,517万人、完全失業者数305万人です。

また、15歳以上の人口から労働力人口を引いたものの数を「非労働力人口」とし、就業能力のない不就業者と、就業能力はあるが働く意思を持たない者等、また、障がいのある人たちやニート、専業主婦、就業意思のない学生、定年退職した高齢者などの数は4,447万人となっています。
今年度、滋賀同友会では滋賀県の推薦により地域若者サポートステーション事業(以下、「サポステ」という)に取り組んでいます。また、障がい者自立支援サービス事業所の加盟率が全体の5%近くを占める中、障がい者問題の「雇用」「就労支援」を通して「幸せの見える共生社会の実現」という同友会のめあてに対して、社会的弱者の問題を身近に感じ経営環境の改善を考えることは避けては通れない課題であるとしています。

このような状況の中、本年4月よりサポステが呼びかけにより、「若年無業者等の就労支援に関わる関係機関情報交換会」(以下、「情報交換会」という)を、月1回開催しております。情報交換会では、持ち回りで各機関から現状と課題を報告してもらい認識を深めています。

共通する最大の課題は、「就労支援」です。「就労支援」では、各機関が「顔の見える関係」を確保することで連携し支援の効率化を図るとともに、ネットワークでは解決しない課題を明らかにし今後の施策にフィードバックしていくことが情報交換会の目的の一つです。

また、福祉系会員が主体となり、高等学校進路指導研究会障害児部会との間で、特別支援学校の進路に関して「特別支援学校の進路指導の課題整理に関する懇談会」を情報交換会同様月1回開催し、「安心して卒業できるシステムの構築」について議論を積み上げています。

滋賀県では、「滋賀県基本構想 未来を拓く8つの扉」として、あらゆるセクターを対象に、とりわけ若年無業者や障害者への重点的な「働く場への橋架けプロジェクト」の推進に対して敬意を表するものす。

そこで、施策の実効性を高めるべく下記の点を要望いたします。

1)2012年度予算において、複数の圏域の関係機関の連携が必要であったり、発達障害や高次脳機能障害、罪を犯した障害のある人等、より支援の必要なケースに対応できる体制を構築するため、全県で一人、働き・暮らし応援センター全体をスーパーバイズするスタッフの配置をお願いします。

2)障がいのある人の地域で「働く」ことをさらに推進するため、労働、福祉、教育等の関係機関の連携を強化する施策の推進をお願いします。「民間企業の障害者雇用を促進するため、滋賀労働局や経済団体などと課題や対策を話し合う協議会」(以下、「協議会」という)が実効性を伴うよう協議会の構成に中小企業関係者を入れてください。

3)県内の特別支援学校に在籍する児童は少子化にも関わらず増加傾向にあり、ここ10年で約2倍になります。当然のことながら卒業後の進路への対応が必要な児童数も倍増しており、進路指導担当教諭だけで対応することは限界があります。 厚生労働省の制度であります障害者就業・生活支援センター事業は、18歳以下が対象外ですが、働き・暮らし応援センター事業により学齢期の人たちへの必要な支援を行っています。ついては、こうした今後社会に出たときに支援が必要な人たちへのフォローができるように人員の配置に関しての必用な措置をお願いします。 以 上

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