「滋賀いち」アンケート

「滋賀いち」アンケートに取り組まれる経営者の皆さんへ

滋賀県中小企業家同友会(以下同友会)の「滋賀でいちばん大切にしたい会社」アンケートへの取り組みをご検討いただきありがとうございます。

この取り組みは「良い会社・良い経営者・良い経営環境」を目指す同友会の活動の重要な一環です。
・これは単なる社員満足度調査ではありません。同友会の多数の企業の長年にわたる経営実践の中で培われた「正しい経営理念×正しい経営方針(戦略)×正しい従業員満足=良い会社」と言う原則の中で、まだまだ未知の領域である「正しい社員満足」とは何かを理解し、その維持・改善のために必要な「見える化」ツールとなるものです。
・社員満足度が見えていないと、経営者は社員に対し不満を感じたり、恐れたりしがちです。そのままでは社員を、ともに良い会社を創っていく最良のパートナーとすることは出来ません。しかし、実はこの「正しい社員満足度」を客観的に見る、実用性のあるツールは皆無と言っても過言ではありません。それはとても重要な要素でありながら、これまで全体像を見たことがないために多くの経営者がその領域に踏み込むことを躊躇するためです。経営者は自社を自分の分身だと考えています。従業員がそれに対して不満を抱いたり、批判することは、すなわち経営者自身が否定されているように感じてしまうからです。

アンケート用紙をダウンロード エクセル形式でダウンロード PDFG形式でダウンロード

数字やコメントに傷つかない

「滋賀いち」認定基準では、社員満足度80%を基準としています。しかしこれはあくまでスタート時点の「仮説」による基準です。現時点の自社の数値が低いからと言って落ち込む必要はまったくありません。同友会で経営理念・経営指針を策定し、それに基づいて「指針経営」を長年正しく進めている企業の社員満足度は実際に高くなり、すでに会員の1%を超える7社が認定を受けておられます。しかし一方で、普通の経営をしている企業での社員満足度はわずか7%だと言うデータもあります。

ワシントンDCに拠点をおく世論調査会社、ギャラップ社が2013年10月8日に発表した大規模な調査結果によると、世界中で、意欲も積極性も持たず、他人の足を引っ張る従業員は、仕事に愛着があり、意欲を持っている従業員の倍も存在するとわかった。142か国、23万人のフルタイム、パートタイムの従業員を調査した結果、総合的に見ると意欲があり積極的に仕事に取り組む従業員はわずか13%だった。大部分の約63%は意欲が無いとしている。幸せとは言い難いが、ひどく不幸と言うわけでもない従業員だ。つまりこうした人たちは気持ちが仕事から離れている、なんとなくダラダラと日々を過ごし、仕事にほとんどエネルギーを傾けない。24%が仕事をかなり嫌がっている人たちだった。仕事が嫌いであることを隠さず、さらに同僚の成果をも台無しにする。「意欲が無い」「意欲を持とうとしない」を合わせると、世界の労働者の87%に達する。ギャラップ社の調査はこうした人々を「気持ちが職場から離れていて、生産的であろうとしない」と見る。言い換えると、世界の労働者の9割近くにとって、仕事は達成感ではなくフラストレーションの源になっている。これは、ほとんどの職場は本来持っている能力よりも生産性が高くないことを意味する。ギャラップ社は調査の中で、数値を地理別に分析した。仕事をする上で幸せを感じる意欲のある従業員の割合が最低だったのは東アジア地域で、全体でわずか6%だった。約68%は仕事から気持ちが離れていて、26%はひどく不幸だとしている。日本の結果にも筆者は驚いた。日本にはもっと幸せを感じている従業員が多いのではないかと考えていたが、結果は7%。中国をわずか1ポイント上回っただけとなった。69%は意欲がなく、24%は仕事が嫌いだった。

いかがでしょう?質問の文言は微妙に違いますが「社員満足度」「社員の幸福度」がわずか7%だったとしても、あなたの会社は立派に日本の会社の平均値であると言う事です。大切なことは、そこからいかに「社員満足」「社員の意欲、愛着」を向上させていくかと言う事です。おおくの成功者と言われる名経営者でも、正確な指標は持たず、自分が良いと思う事を信じて進めている場合が多いのではないでしょうか。ちなみに経営品質賞を受診する時には、同様の社員満足度調査が必須になります。しかし、これは質問項目も多岐にわたっており(仕事、コミュニケーション、上司、能力開発、処遇、将来性など)専門的な分析を要することもあって、中小企業にとっては大変使いにくいものだと言えます。その点「滋賀いち」アンケートはシンプルな3~4つの質問で構成されており、簡単に結果を数値化することが可能です。

まず「詮索しない」宣言を

「滋賀いち」アンケートを、社員満足度、愛着、意欲向上のためのツールであるとすると、実は一番大切なことは、不満足を感じている社員が書くコメントです。このコメントに誠実に向き合い、応えることが出来るか否かが、指標の改善のポイントです。しかし前述のように「わが子」のように愛する自分の会社の事を、否定されたり、非難されることは経営者にとって耐えがたい事かも知れません。まして、それが身内とも思う社員からのコメントであればなおさらです。つい「これは誰が書いたんだ?」と詮索したくなるかもしれません。しかし、本当に不満足で気持ちが離れている社員が、わざわざ詮索されて、不利益を受けかねない苦言を書くでしょうか?表現は拙く、感情的なもの、あるいは誤解に基づく事かも知れませんが、「なんとか会社が良くなって欲しい」「自分もできればここで働き続けたい」と考えているから、言いにくい事、書きにくい事を書いてくれているのだと思うべきではないでしょうか?
したがって、原則無記名とし、「誰が書いたは一切詮索しない、それによって不利益を受けることもない。この会社をみんなにとって、もっと良い会社にしていきたいからぜひ協力してほしい」と宣言して行うべきでしょう。さらにその姿勢をより確実に理解してもらうために、アンケートの回収は同友会事務局に代行を依頼し、さらに筆跡で書いた人が推定できないように、ワープロで打ちかえるなどのサービスを利用されても良いかも知れません。ここまでやるのも同友会ならではです。
パートナーであるためには、必要とあれば指摘しにくいことも、きちんと指摘しあう必要があります。
実はかなり善良な学者の見解でもこの点には迷いがあります。
「お互いに忌憚無く欠点を指摘しあうということは、一見建設的な方法のように思われているが、それを真面目にやればやるほど仲間割れをしてしまって、所期の成果が上がらない物である。ざっくばらんに何でも言えるのがいい会社だと思っている人がいるが、それも間違っている。他人の欠点を幾ら指摘しても、欠点は良くならない。熱心にやればやるほど仲たがいをするのが落ちである。仕事の欠点を取り除くには今までとやり方を変えなくてはならないが、それは一人でやれる物ではない。互いに力を合わせる必要があるのに、欠点を指摘された人と指摘した人ではもともと考え方が違っていて、力を合わせる気持ちがない。互いに自分の考えを相手に押し付けようとしているのである。上手くいくはずがない。他人の欠点に目くじらを立てるのは、実りの無いおろかな所業である。」(浅野善起)この限界を超えることが「パートナー」となるには必要な事であり、それを社員との間に実現していくことが特に中小規模の企業の経営戦略でなくてはならないと思います。浅野氏の指摘は、気づいたもの(指針経営を目指す経営者)が、これから気づくパートナー(社員)に対して想起すべきポイントであり、逆に経営者は社員の「指摘」をきちんと受け止めることが出来なければパートナーシップへの長い旅は始まらないのではないでしょうか。「会社を良くしようと思ったら、長所を伸ばすに如くはない。この会社には長所などと言える物は無い,欠点だらけでそれが気になって仕方が無いと思っている人が意外に多い。人は自分と考えの違う物をつい欠点だと考えるので、熱心な真面目な人ほどそういうことになる。真剣に考えるほど欠点が目に付いてくる。当たり一面欠点ばかりで長所など一つもないということになる。欠点は誰の目にも映るほど嫌でも向こうからやってくるが、厄介なことに長所は探さないと見つからない。しかし欠点は容易に取り除けないが、長所はその気になればた易く伸ばすことが出来る。長所が大きく育ったとき、欠点はいつのまにか気にならなくなっている。」(同)この文の会社を社員、人を経営者と読み替えれば、そのまま経営者が社員に対して持つべき態度と言えるのではないでしょうか。

「滋賀いち」アンケートが理念浸透の指標に

よく「経営理念が浸透している」「していない」と言う事が言われます。しかし、ではいったい何を持って「浸透度合」を判断するのかを尋ねると、「毎日、唱和している」「暗唱させている」「最近社員が元気になってきた気がする」などの答え。はたしてそれが確かな経営理念の浸透の指標と呼べるのでしょうか?この「滋賀いち」アンケートは実は、自社の経営理念の浸透の指標となります。同友会の「経営指針を創る会」などで、正しく作られた「経営理念」は、社員に働く意味を考えさせ、その中で自らの成長を通じて、働き甲斐、幸福の追求をめざすものになっているはずです。そしてそれを通じて、結果としてその企業の存在意義に適合した形で維持・発展されていくものです。労働者は、経営者や顧客や、まして売り上げのための奴隷ではなく、自分自身が人生の主人公としてかけがえのない人生をより輝かせて生きることを願うものです。その事を念頭に置いた経営でなければ社会に存在する意味がありません。そして、その結果として自社の発展があるのではないでしょうか?社員の会社に対する愛着や意欲の無い、外面だけの“成長”を追う事は、様々な弊害の原因となります。本当の「経営理念の浸透」とは、「経営理念」に沿って社員が自ら考え、行動し、成長して行くと言うあるべき姿に対して、自社のポジションがどの程度であるかを客観的に見えるようにすることから始まる話だと思います。

定点観測が大切

「滋賀いち」アンケートは一度だけやっても、本当の効果は期待できません。まず実施して、「社員満足度」が前述のギャラップ調査(世の中の平均)や、「滋賀いち」認定基準(最高レベル)に比べてどうなのかを見ます。そしてコメントに書かれた点を具体的に現状調査し、実施可能な計画を策定して、経営者が先頭にたって真摯に取り組みます。そしてその効果を翌年同時期に、再度「滋賀いち」アンケートで調査すると言う、繰り返し(PDCAサイクル)が求められます。「本当の社員満足」「経営理念の浸透」は1年や2年で出来るものではありません。社員共育の取り組みの質や量によっても異なりますが、10年単位で変化して行くものであることを、多くの同友会の先輩企業の実践は教えています。また、共育は会社や社員の変化・成長に合わせて、やり方や内容を変えて行くべきものかも知れません。いつまでも同じやり方では(たとえば経営者が一方的に話すなど)、特に変化がなくても「社員満足度」が微妙に下がって行く傾向にあることも報告されています。

「正しい社員満足」とは

冒頭に「正しい経営理念×正しい経営方針(戦略)×正しい従業員満足=良い会社」と書きました。では「正しい社員満足」とは何でしょうか?一般に社員満足を上げるために必要なこととして、給与や労働時間、福利厚生など「衛生要因」が必要だという事は、共通に認識されています。しかし、もしそれが主要な要因ならば、大企業と中小企業では圧倒的な「社員満足」の差があるはずです。しかし、主に大企業を対象にされたと思われるギャラップ社の調査では、会社に満足している社員はわずか7%でした。一方、中小企業でも同友会の認定する「滋賀いち」企業のように高い社員満足を実現している会社も少なくありません。では、いったい社員満足を向上させるための要因はどこにあるのでしょう?実は「滋賀いち」アンケートの取り組みの中で、わかって来たことがあります。ある会社での調査によると「自分が一年前に比べて成長したと思う」社員の満足度は88%、「成長していないと思う」社員の満足度は50%と有意な差が表れたのです。(このアンケートは項目追加しています)つまり、衛生要因が十分に満たされている事よりも、社員一人一人に挑戦すべきテーマがあり、それにチャレンジし、その中で自分が成長できている実感があるかないかが、「社員満足」にとって大切な要因であるのではないか?と言う事です。この点についてはさらに多くの企業での実践と調査が待たれるところです。さらに、企業規模(社員数)の大小によっても、違いがあるのかも知れません。経営者が正しい経営理念、正しい方針(戦略)のもとに「指針経営」注)を進めていれば、経営者と社員のコミュニケーションの頻度や密度を高く出来る分、社員満足度は高くなる傾向があるかも知れません。他には、社員の年齢構成によっても「満足度」に差が出る可能性も否定できません。

いずれにしても、よく使われる「社員満足」と言う概念や、科学的な知見を正確に持つ必要が、経営者にはあるのではないでしょうか?「滋賀いち」アンケートを実施していただける企業、毎年定点観測していただける企業が増えることで、この面での研究が進むことも合わせて期待したいと思います。

注)「指針経営」
「理念経営」を補強する概念。「経営理念」が「経営」の理念である限り、健全な「経営」と「理念」は不可分と言う考え方から、「経営理念」の成文化と共有・浸透だけに終わらず、自社事業の分析、外部経営環境の調査、自社の成長・発展戦略の立案、その戦略に基づく具体的な行動計画とその実践などを通じて、「経営理念」の実現をめざす。またその戦略、行動計画は「経営理念」に示された考え方や、価値観に沿ったものであるべきなのは言うまでもない。
「理念経営」とは、経営理念を中心に置いた経営。経営理念で思い描く理想の自社、地域の実現をめざす。そのために、“会社がめざす目的と大切にする価値観=経営理念”を明らかにし、常に理念に立ち返り、理念に基づく業務、行動を実践しようとする。

このページの先頭へ

滋賀いち~滋賀でいちばん大切にしたい会社 [ 滋賀県中小企業家同友会「モデル企業認定制度」]