滋賀でいちばん大切にしたい会社

一人ひとりにスポットライトを当てる経営
株式会社ビイサイドプランニング

2010年度認定企業 2011年 5月13日第33回定時総会にて認定

草津市志那中町102-1

よい会社創りは社長の気づきから

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「過去と他人は変えられない 未来と自分は変えられる」とはよく耳にする言葉です。しかし、「言うは易し、行うは難し」でそれを実践するのは並大抵のことではありません。

ビイサイドプランニングの社長、永田咲雄さんは創業から16年が経過した2002年(平成14年)に自らの態度と考え方を変えることによって、大きく会社を変えてきた一人です。永田さんが1986年(昭和61年)に25歳で創業した同社は、求人情報誌やタウン情報誌の編集発行やネットによる情報発信をしているメディア事業と人材派遣や職業紹介を行う人材サービス事業の大きく2つが事業の主流です。その事業内容を変えるのではなく、会社の理念や経営方針を変化させ深めることで、会社の考え方や社風を大きく変化させたのです。

それまでの永田さんは赤字を恐れ、売上と利益にしか目がいかず、口癖は、「会社が潰れたらどうする!」「赤字になったらどうする!」と従業員を叱咤激励。当時は、「従業員の人たちがどんな気持ちで働いているのか?」「従業員の将来をどう考えていくのか?」などには一切関心が無かったといいます。売上を伸ばす会社、利益が大きい会社、規模が大きい会社が良い会社だという「伝説」を信じ、一時は「上場こそが良い会社の象徴」と、上場を目標に寝る間を惜しんで売上を上げることに必死で働いていた時もあったそうです。

そんな同社に転機が訪れます。平成3年にバブルがはじけ、売上は激減。平成14年までの約10年間は多くの従業員が入ったり辞めたりを繰り返し、倒産こそ免れたものの、社内は暗い雰囲気が蔓延し続けていました。バブルで負った負債も返済でき、やっとこれから新しい事業にも取り掛かろうかというその時でした。右腕と信じ営業のトップを任せていた社員が突然辞表を出してきたのです。永田さんは、そんな彼に裏切られたという腹立たしい気持ちと、人を信じてきたことへの失望で一杯になりました。その時、ある別の幹部社員が永田さんに尋ねました。「社長は人を信じるとおっしゃっていましたが本当にそうなんですか? これから人を信じることを止めるんですか?それなら僕も退職させてもらいます」きつい一言でした。何も言い返すことができませんでした。

口では従業員に「信じているぞ!」と言っていても、心のどこかで100パーセント信じていなかったことに気付いたのです。「その頃は従業員が機嫌よく売上げを上げてくれるために口先だけで言っていたのかもしれません。そう気付くと涙が止まりませんでした」と永田さんは言います。

この従業員の退職を機に、永田さんは自分が何故会社の社長をしているのか?何が目的で会社を作ったのだろうか?と自問しました。そこでハッと気付いたのが「社名の由来でもある<Side-By-Side>社員と一緒に楽しくイキイキとした会社を作りたかったんだ」ということでした。しかし、現状は“楽しくイキイキと”とは程遠いギスギスとした社内。永田さんは、本気で会社の再生に乗り出しました。

まず始めに、全従業員の前で今の自分の心境を話し、メンバーに対して夢を語れていなかったこと、人を信じていなかった自分の行いについて謝罪をしました。「自分は間違っていた。こんな社長の下で働いてくれていたメンバーに申し訳ない!」と。その時は自然と涙が溢れ、メンバーの顔がかすんで見えなかったと言います。

これが同社の再出発の瞬間でした。永田さんは「今からは夢を語り、皆が幸せになれる会社を創る」そう決心をしたのです。 その後、全社員と膝を突き合わせて「何のために働いているのか?」「何故当社でなければならないのか?」「仕事をしていていちばん嬉しかったことは?」などを共有し、経営理念が産まれました。現在も続く「元気発信!」という経営理念は全社員が本気で議論し考えて願って産まれた理念なのです。永田さんはその時から従業員の前では決して暗い顔、険しい顔を見せないようにと決め大きな声で笑顔で挨拶をするようになったそうです。まさに、社長自身が元気発信の体現者になっていったのです。

そして、現在ビイサイドプランニングではこの経営理念の象徴とも言える朝礼が毎朝開催されています。同社の元気発信がこだまする瞬間です。

元気発信朝礼

とにかく参加者は皆、明るく元気でキラキラと輝いています。名づけて「元気発信朝礼」。
軽快な音楽に合わせて、全員で体操、点呼が行われ、大きな声で挨拶をし隣の人とハイタッチを交わします。これが朝礼?と思うほど朝からハイテンションになっていきます。

また、この朝礼では、毎日、一言スピーチ訓練が行われます。「ハイ!」と積極的になる訓練でもあり、人前で即興で話す訓練であるとともに、仲間同士のことを知るコミュニケーションの場でもあるというこのスピーチ訓練。「お題ボックス」という抽選箱のようなボックスには社員から集められたスピーチのお題が沢山入っており、司会者がこのボックスから引き当てたお題で一言スピーチをしていきます。「仕事をしていていちばん感動したことを教えてください」「貴方が今まででいちばん本気になったことを教えてください」などのお題に一斉に手が上がります。司会者の指名により5名が大きな声で元気にスピーチを行います。時には感動で泣きながらスピーチをする人が居たり、お互いのことをより深く知れるチャンスです。スピーチが終わるとスピーチ大賞が選ばれ賞状が手渡されます。毎朝一人ひとりにスポットライトがあたり、皆に喝采を浴びる仕掛けになっているのです。また、誕生日は全員でバースデーソングを歌い祝福をします。これも一人ひとりがスポットライトを浴びる場になっているのです。勿論、業務上の報告や目標の発表なども行われ全社員が情報の共有を行う場としても機能しています。

朝礼の最後は全員でワッショイコールを行い、退場時には全員が全員とハイタッチをして挨拶を交わして部屋を出て行きます。しめて30分あまり。最高潮の気持ちで一日の仕事を始めることができるのです。

リーマンショック等で人や企業に元気が失われている状況をみて、自社の経営理念に立ち返り、自分たち自身が元気になり、その元気を広げていこうという思いが「元気発信朝礼」をうみました。朝礼で元気に輝いた従業員が、お客さんの所に行って、元気を広げているといいます。

この元気発信朝礼は外部の人の参加も歓迎しています。朝礼に参加して自社でも同じような元気な朝礼を始められた会社もあり、元気発信の輪がどんどん地域に広まってきています。

永田さんは「ウチも最初は手探りで他社の朝礼に参加させていただいたりして、自社の朝礼を練り上げました。ですからどなたでも、ウチの良いところはどんどん真似して頂いていいんです!」と話しています。

朝礼で毎朝唱和する経営理念「元気発信 私達は滋賀の情報発信を通じて人と企業を元気にします。地域社会を元気にします。働く仲間とその家族を元気にします。」は、まさに本物です。文字通り、「元気」を一企業から地域に広げています。

会社は誰のためにあるのか?

会社は従業員の幸せなくしては存在する価値がないと永田さんは断言します。「従業員第一主義の会社が顧客第一主義の人を創る」と従業員とお客様の関係を言い表しています。つまり優先順位を付けるなら、従業員がいちばん大切だと言い切っているのです。

先に書いたように、平成14年を機に、一大決心をし会社の方針を転換しました。
毎月の全社ミーティングでは会社の売上や利益、経費まで全てをパートさんも含め全従業員に公開し、その内容に付いて協議しています。自分達の会社のことを自分達がわかっていないとならないと考えたからです。

この毎月のミーティングでは、人間性の向上を目指した研修が行われます。目指すべき企業のDVDを鑑賞してグループ討論をしたり、永田さん自身が学んだことを全社員に共有したり社内の成長が著しいメンバーに、成長について講演をしてもらい、その人の成長の経過を全従業員で共有したりします。研修の目的は実務上のスキルを上げることや売上を上げることでもありません。従業員全員が人間的な成長を果たして、幸せに生きることを学びの目的にしているのです。

ビイサイドプランニングが大切にしている一つに、「明るく大きな声で元気に挨拶をする」ということがあります。トップ自らがこのことをいちばん実践しているといいます。社長の行動は社員にすぐに変化をもたらします。社長の明るい表情は社員の表情も明るくします。オープンな社風は「自分のやりたいことや思ったことを自由に口にすることが出来る」「無礼講ではないが、意見を自由に言える」といった社員の声を通じても聞こえてきます。

「人は本気と感謝と感動で動く!」永田さんの持論です。本気と感謝はいつでも誰にでも出来ます。毎朝の“ありがとうタイム”に書かれる、お客様へのお礼状(ハガキ)には、「お会い頂いてありがとうございます」「お手伝いできて光栄です!一緒に滋賀を元気にしていきたいです!」とつづられ、お客様への感謝の気持ちを伝えます。また従業員同士がお互いに感謝を伝えるサンクスカードには、「私のミスをフォローしてくれてありがとう!」「今日、お茶を入れてくれてありがとう!」など、ほんのちょっとしたことにもお互いが感謝を述べることでお互いが幸せを感じることが出来ます。人に感謝している時が人にとって幸せを感じている時だと永田さんは言います。「ありがとう」がこだまし、笑顔が絶えない社内の雰囲気はこんなちょっとしたことからもうまれるのです。

幸せに生きる上で大切なことがもう一つあります。それは人に当てにされることです。人に必要とされることです。そして自分の居場所がしっかりとあることです。当てにされるためには責任を持って自分で成し遂げる力が必要です。そのために永田さんは社員に次々と責任のある仕事を任せていきます。責任を持つことで自分で必死に考え行動し、本気になれるからです。また達成感は高いハードルを越えたときにより大きく感じるもの。その為にも、少し高い課題に対して責任を果たすことで人は達成感を感じ自信がつき、成長する。「学び、変化・成長することこそが幸せに生きること」と断言します。

成長の場を創る

従業員第一主義を掲げる同社は、お客様との様々な交渉の中で自分が納得が出来ず、心を踏みにじられるようなことを言われたらすぐに帰って来いと言っているそうです。それは「営業マンだから売るまで帰ってくるな!」と言っていた時に比べると180度の方針転換です。「売上が落ち込むことは勿論避けなければならないが、もっと避けなければならないことは、従業員が傷ついて仕事の犠牲になることだ」と言います。仕事は幸せに生きる場であって、従業員が傷つき、不幸になってまで業績を上げる場所ではないということです。

ビイサイドプランニングにおいて成長の場があちこちに準備されています。先に書いたサンクスカードや礼状により、自分が感謝することで幸せを感じれるようになり、サンクスカードを書くことが毎日の楽しみになった人が居ます。

朝礼で大きな声を出すことが苦手だった人が今では堂々と人前で大きな声を出して自分の考えを述べられるようになっています。階段の踊り場には、全社員の笑顔の写真と自分の目標、プライベートの写真を織り交ぜた組織図があります。メンバーの居場所を明確に現しています。

新入社員が入社すると、社歴の浅い先輩がブラザーやシスターと名づけられる新人担当者となり、不安で一杯の新入社員をフォローしながら育てていきます。

また、社内には車両管理委員会、広報委員会、PC(パソコン)委員会、ピカ(社内美化)委員会など多くのプロジェクトが存在し、そのリーダーは職務上では上司の人でもメンバーに居れば自分の指示で動かせる権限を与えられています。こういう場でリーダーシップ力を磨くことで成長の場となっています。自ら委員会という委員会は先に紹介した朝礼を活性化させることを含め、自らが率先して元気発信することを使命としている委員会だそうです。日常業務を離れ、それぞれの委員会が使命感を持って会社に関わることで当事者意識が芽生え、リーダーとして必要な責任感や統率力も培われています。

朝礼や全社ミーティングは正に成長の場であると明言しています。全メンバーの前で大きな声で挨拶をしたり、スピーチの際に大きく「ハイ」と声を出して手を上げることなどは、積極性を培う成長の場です。一言スピーチはその日のお題に沿って一瞬で何を話すかをまとめて指名されれば必ずスピーチをしなければなりません。誰が指名されるかもわからないため、参加者全員が一瞬にして何を話すかを頭にまとめます。一瞬で考えをまとめる訓練です。そして指名された人は人前で聞いている人にわかりやすく自分の考えを伝える訓練の場となります。

副読本の輪読も自らハイと声を出して読むようになっています。これは自らハイと言わない限り指名はありませんが、成長すると自然と輪読に参加するようになってきます。月一回の全社ミーティングでは、毎回欠かさず同友会の例会と同じようにグループ討論を行い、社長もパート社員も職責の枠を越えてお互いの思いを話します。テーマは時によって変わりますが、基本的には自分達がどう変化・成長をしていくべきか?ということを中心に討論がされ、普段は大人しい人達も積極的に議論に参加します。このグループ討論の積み重ねがお互いの信頼関係を築く上でも大変重要な役割を担っていると言います。

幸せとは何かを追い求めて

ビイサイドプランニングの採用に向けての会社説明会は一風変わっています。永田さんが話をするのは、会社の説明ではなく、「何の為に働くのか?」「会社を選ぶ基準は?」など、まるで大学の就職ガイダンスのような話をします。「どこに入社するか決まっていない学生だからこそ、どこへ入っても困らないようにシッカリと考えて就職活動をしてほしい」という思いからそんな話をするようになったのです。特に強調するのは、親の介護は誰がするの? 子供をどんな環境で育てるのか? も含めて就職を考えて欲しい。そして地元の祭りや子育て、自治会や学校の役をして地域を支えているのは、地元企業で働いている人たちであることを伝えているそうです。幸せとは大企業や有名企業で休みが多くて給料が多くて潰れない会社に就職することだけではないことをビイサイドプランニングの社員を見て感じて欲しいと言います。

感謝と感動に溢れた話を聞くことが出来ました。ある新入社員の人の話です。彼は永田さんから初任給でどんなに小さくてもいいから両親にプレゼントをして、「ここまで育ててくれてありがとうございました」とお礼を言うように言われました。彼は両親に「お父さん、お母さんありがとうございました」と深く頭を下げてプレゼントを渡したら、お父さんが突然泣き出した話を聞いたのです。父親が泣いたのをはじめて見たそうです。また一人暮らしをしている新入社員の女性は実家に帰るたびに、ご両親が「お前は変わった 成長した」と喜んでくれていると言います。永田さんはこんな社員の話を聞くことが自分の幸せでもあるそうです。

平成21年(2009年)全員参加の沖縄研修を実施しました。リーマンショクなどの影響で業績はガタガタ。誰が見ても沖縄に行く余裕などあるはずがありません。しかし、この時、永田さんは前を向いて従業員が元気になることしか考えられませんでした。経営状況は全社員が知っています。幹部からは「この時期にそこまでしなくても・・・」との声も上がったそうですが、「自社の社員を元気にすることが使命!それなくして会社の存在意義はなし!」と割り切って研修を敢行しました。その研修は参加者誰もが自分の限界を打ち破る壮大な夢や目標に突き進む研修でした。沖縄の晴れ渡った空の下、皆が自分の取り組んできた課題について発表をし、自分の存在意義を再確認し、涙しながら思いを話しました。逃げ出したい。会社を辞めたい。と考えてしまいながらも最後は思いとどまって自分の限界に挑戦した人。自分の存在って何なのかと真剣に自分と向き合った人。出来ないと思っていたことが出来たのは先輩のお陰と感謝を述べる人。一人で悩んでいると思ったけどこれだけ多くの仲間が居て、助けてくれた。と涙する人。この研修で従業員の心のスイッチが入ったと言います。より強い一体感が生まれました。社員が社長の本気を確信したからこそ実現した研修でした。本気!感謝!感動!が人を動かすことが社内に浸透したのです。

正直本音の会社経営

会社創立から24年ですが、まだ再出発をしてから8年です。増収増益のいわゆる「優良企業」ではありません。しかし、社長の気持ち、社員の気持ちは優良企業です。どんなことも正直に話す永田さんの純粋さが会社を育てています。この損得を抜きにした純粋な正直さや本音を言う気持ちが感動を社員に与えているのではないでしょうか。

ありがとうは誰にでも言えます。元気は誰でも出せます。笑顔も誰にでも見せることが出来ます。不景気だから、業績が悪いからと言った理由でありがとうや元気、笑顔を封印しては良くありません。

ビイサイドプランニングがしていることは誰にでも出来ることです。当たり前のことです。けれど、誰もがしていません。バブルや好景気の際に忘れ去れてしまった、人として当たり前のことが見直されているように思います。人間本位の時代になってきました。

何の為に働いているのか?と問われたら、「幸せになるために」と応えるさきがけにビイサイドプランニングの社員はなっています。幸せとは仕事のために家庭を犠牲にすることでなければ家庭のために仕事を犠牲にすることでもない。ある女性社員はお母さんの介護で休むことや早退することが多くなったため「このままでは他の従業員に迷惑が掛かるから」と退職を申し出ました。ところが永田さんは、「退職ではなく休職でいいのではないか。そして自分が納得できるまでお母さんの面倒を見てあげればいいよ」と無期限休職を言い渡しました。その彼女は2ヵ月後に職場に復帰して今もバリバリ活躍しています。他にも、家庭の事情や出産などで一旦退職した人が復職するケースもありますが、この会社にとってそれは幸せに生きる上で当然のことなのです。

「ウチの会社の従業員は私も含めてみんな挫折してこの会社に居るんです」こんなことをはっきり言う経営者はあまりいません。正直に言われて、すがすがしさを覚えます。「新卒で入社したが、本心の希望の会社ではありませんでした。3年後には第二新卒で違う会社を受けようと思っていました。でも、今は自分の企画したものが次々に実現していき、凄い恵まれた環境で働かせてもらっているのだと気付きました」と話す社員もいます。

いわゆるエリートではなくても、挫折を経験している普通の人でも「元気に笑顔で、挨拶を忘れず、感謝の気持ちを常に忘れずに持っていれば楽しく幸せに働ける」ことを証明してくれる気がします。

ビイサイドプランニングが、経営理念である「元気発信」「本気!感謝!感動!」の輪をもっと広げればこの社会は笑顔と感謝の絶えない、暮らしやすく、働きやすい社会になるのではないでしょうか。

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