滋賀県中小企業家同友会

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2016年新春例会開催される~中小企業が担う持続可能な地域経済~

本会行事

2016年新春例会開催される!

滋賀県中小企業家同友会2016年新春例会が1月21日(木)午後1時半から4時45分までホテルニューオウミで行われ、会員とご来賓の皆様あわせて99名が参加しました。

○ご来賓の皆様(敬称略 順不同)
山中 仁敏 滋賀県工業技術総合センター 参事
西堀 達也 東近江市 産業振興部 商工労政課主査
上村 幸輝 草津市 商工観光労政課 主事
矢野美穂子 草津市 商工観光労政課 専門員
鍋山 明嗣 日本政策金融公庫大津支店 中小企業事業統轄
植西 正寿 滋賀銀行 地域振興室長
木村  茂 滋賀中央信用金庫 本店営業部長
坪内 茂樹 滋賀職業能力開発短期大学校 校長
山田 好洋 滋賀職業能力開発短期大学校 能力開発部長
野間 圭介 龍谷大学エクステンションセンター センター長
松山 幸司 龍谷大学エクステンションセンター 課長
筒井 長徳 龍谷大学エクステンションセンター REC産学連携コーディネータ
城  智哉 龍谷大学エクステンションセンター 課員
木沢 成人 滋賀県議会 良知会 代表
藤井三恵子 日本共産党 県議団 県議会議員

記念講演は、立命館大学経済学部長 教授 松本 朗氏より「アベノミクス下の地域経済から中小企業を考える」をテーマに政府の経済政策が向かっている方向と地域経済再生の課題、さらに私たち中小企業経営者による地域振興の必要性についてご講演をしていただきました。


記念講演は、立命館大学経済学部長 教授 松本 朗氏より「アベノミクス下の地域経済から中小企業を考える」をテーマに、政府の経済政策が向かっている方向と地域経済再生の課題、さらに私たち中小企業経営者による地域振興の必要性についてご講演をしていただきました。

まず松本氏は、アベノミクスの三本の矢である「異次元の金融緩和、機動的な財政出動、成長戦略」の内容を解説。その矢の効果で「円安・株高・輸出企業の企業業績の改善」が挙げられるものの、政府の狙った物価の上昇と景気の回復には結びついていないと指摘。そのわけを、為替相場差益による輸出産業を中心とした企業業績と株価が回復する一方で、肝心の輸出数量は減少傾向という矛盾が生じており、国内消費が回復せず、景気回復が実感されていないこと。結果として、内需型依存型の企業業績の悪化が起こり、中小企業の業績の悪化を招いていると強調されました。
また、輸出型企業の為替相場差益による利潤はどこから生まれたのかについて、興味深い指摘がありました。その利潤は、円安による輸入物価の上昇と小売価格の上昇と裏返しの関係にあり、結果として円安による国民の家計所得と内需依存型企業の利潤から移転されたものだと言うものです。
さらに、「異次元の量的緩和政策」下での株高は、外国人投資家による日本株買いが背景にあり、本来ならば外国人投資家が円を買って株を買うという構造は円高要因なのに、円安になっている矛盾を指摘。これは、外国人投資家が日本株を売却することによって得たキャピタルゲインをドルへと交換しアメリカに送金しているからであり、本来国内で循環されるべき利益がアメリカへ流れることによって、国内経済が停滞する要因となり、一方でアメリカの景気回復を支えたと言う指摘も興味深いものでした。

松本氏は、この様に「三本の矢」は経済政策としても矛盾を抱えており、現実的に景気回復の実感がないから、「新三本の矢」が発表されたものの、「新三本の矢」も具体性に欠け、また2020年までにGDP600兆円=年間実質成長率3%というのも、かなり大変な目標であるとおっしゃいました。

このような経済状況下で、地域経済から中小企業を考えた時に、行政に頼るのではなく、地域全体が自ら動いていかなくてはならないと投げかけられ、その取り組み事例として愛媛県明浜の「無茶々園」http://www.muchachaen.jp/
を紹介。有機農法を軸に、その地区全体のサスティナビリティを考える規模にまで成長した事業創造のあり方を学び、滋賀県の地域特性をいかして中小企業が中心となり取り組んでいって欲しいと呼びかけられました。
その様な取り組みを法的に支える「中小企業振興条例」の意義について、1 地方自治体自身が中小企業を復興するという立場を地方自治体の議員、行政職員に対して明確にする。2自治体と中小企業者が協力して中小企業・地域経済復興に取り組んでいく条件となる3 行政の姿勢の連続性の保障という3つの意義を述べられました。
最後に、大学と地域企業でどのような連帯が組めるかについて、景況調査、人材育成や企業家育成の連携講座などを述べられ、大学と地域企業の連携の大切さを強調。今年秋から滋賀県中小企業家同友会と草津市と大津市との連携で取り組まれる立命館大経済学部の講義科目の一つである「キャリアデザイン」もその具体化であるとして期待を込めて紹介していただきました。

自立的な景気回復が見られない一方で、どのように経営環境が変化しても、われわれ中小企業家は強靭な経営体質を作り、地域社会に根を張り、産学との共育的な連携にもとり組、社会貢献できる企業を作っていかなければならないと、あらためて問い直すことができたご講演の内容でした。

第二部の賀詞交換会では、野間圭介氏(龍谷大学エクステンションセンター センター長)より乾杯のご発声を頂戴し、明るく・楽しく・和やかに会員交流を行うことができました。(R・M記)