滋賀県中小企業家同友会

活動方針

私たちを取り巻く情勢

(1)はじめに

   現代の社会あるいは時代の変化は以前にもましてより大きくなっており、VUCAの時代ともいわれます。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つのキーワードの頭文字を取った言葉で、変化が激しく、あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、想定外の事象が発生する将来予測が困難な状態を指します。社会やビジネスにとって、未来の予測が難しくなる状況のことを意味しています。
 突然現れたと感じたコロナ禍の影響はすでに3年を超え、地球の反対側で起こった戦争の影響もあり、資材や食料品などが高騰し続け、生活や企業の業績が厳しい状況におかれています。 中小企業は地域とともに歩み続けており、地域経済に果たす役割は多様であり、かつ重要であり続けています。その一つである雇用の担い手としての社会的な役割はだれもが認めるところです。近年の物価高騰を受け、賃上げの機運が高まり、大企業を中心に実現されつつあります。日本のデフレ経済の原因の一つとされる賃金の据え置き状態が解消されることは望ましいことです。
 しかし、中小企業経営の現実からすれば、大手の企業などと同じように賃上げに踏み切れるかといえば、とても悩ましい状況にあることも事実です。中小企業家同友会として「人を生かす経営」を標榜し続けてきている中、賃上げに躊躇する経営状況をつくり出してしまっているのであれば、その真因を経済情勢にばかり求めるのではなく、引き続き自らの経営を見直し向上させていくことが経営者としての責務です。

(2)新しい価値創造ができなければならない

   地球全体はもちろん、狭い地域にあっても、そのサステナビリティ(持続可能性)に対する危機意識は高まっており、地球環境問題に限ったとしてもCO2削減・カーボンニュートラルといった脱炭素化に向けて様々な取り組みが行われており、これまで石油などの化石燃料に頼った経済・社会のあり方がすべて見直されるようになっています。
 人口減少社会になり、労働力人口の不足が日増しに明確になりつつある中、効率化をさらに求めるからこそ、デジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性が強く認識されるようになってきました。このDXは単に効率化を指しているわけではありません。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位を確立すること」(経済産業省)です。全く新しい製品やサービスあるいは仕組みをつくることであるといえます。
 日本経済の状況は決して楽観できるものではありません。従来の日本の経済や産業はモノづくりにおける改善による効率化によって競争力を高めてきました。しかし、バブル経済崩壊後あるいはいわゆるリーマンショック以後、アジア諸国をはじめとする新興国の台頭もあり「モノづくり立国ニッポン」の強さを感じることは難しくなってきています。製造業においてもサービス業においても、効率化を追求していくことは引き続き重要であることは変わりませんが、それだけで競争力は十分ではなくなっています。デジタル化が進む中で、欧米のプラットフォーマーといわれるIT企業が経済や社会の仕組みの基盤を構築しており、それを活用する側に回らざるを得ない状況ともなっています。
 こうした中で、日本あるいは地域の経済や産業は、新しく柔軟な発想で新しい商品やサービスを生み出さなければなりません。
 しかし、マーケティング的なニーズ調査を行っても、顧客・消費者が言葉にして発する「顕在的なニーズ」は従来の商品・サービスの改良点は示されても、創造的なニーズが語られることはありません。それゆえ、顧客・消費者が言語化できない・自覚されていない「潜在的なニーズ」をとらえなければなりませんが、極めて困難であるといえます。このように成熟化した市場における競争はますます難しくなっていて、企業内の人材が新しい発想・柔軟な発想などによって新しい事業領域などを創造していくことがますます求められます。

(3)人件費から人的資本へ

   以上のような状況から、すでに働いている人たち(あるいはこれから社会に出る若者たち)の能力などを高度化することに期待が寄せられるようになってきています。
 しかし、すでに多く指摘されているように、先進国は言うに及ばず一部の新興国とも比較しても、日本の賃金水準が低いことが問題となっています。また企業における研修など人材育成費の少なさも指摘されています。そうしたことも相まって、従業員エンゲージメントも低いままです。「従業員エンゲージメント」とは、人事領域において、「個人と組織の成長の方向性が連動していて、互いに貢献し合える関係」といった意味で用いられます。従業員が現在働いている会社に対して、向かっている方向性に共感し、自発的に貢献したいと思う意欲ともいわれており、この従業員エンゲージメントが低いということは、誤解を恐れずに端的に言えば、働く意欲が低い、ということです。
 ただし、こうしたことを悲観するばかりではなく、裏を返せば、人材への投資による「伸びしろ」は大きいといえます。人材への投資をし、その持てる能力を引き出すことができれば、業績その他の向上につなげられる余地が多くあるとみることができるのです。
 ちなみに、いまこの文章を読んでいる皆さんの企業における研修費や研修時間は年間にどれくらいでしょうか。そもそもそれらを把握する数値などのデータはあるでしょうか。答えに窮してしまった方も多いと推測します。つまり現状で、人材への投資についてあいまいな企業の方が多いといえます。
 実は今、企業が抱える人材の価値を示す「人的資本」の開示が世界で進んでいます。人材を企業価値の向上につながる資本ととらえ、性別や国籍などの多様性、雇用形態別の賃金水準、さらには育成方針などを開示することで人材への投資に積極的な企業であるかを投資家などが判断しやすくすることが求められています。この点では欧米が先行しており(『日本経済新聞』2022年4月20日付)、投資家向けという意味もありますが、従業員のモチベーションを維持し高める狙いも併せ持っています。日本でも2023年3月期決算以降の有価証券報告書において人的資本情報の開示が義務付けられることとなりました(『日本経済新聞』2022年11月28日付)。
 人への投資の先行事例などを情報交換する官民共同の「人的資本経営コンソーシアム」が2022年8月に設立されました。参加企業は320社にのぼり、どのように人的資本経営を行うのかなど大手の企業であっても戸惑いは隠せず、このような経験を踏まえた情報交換などの場が今後の日本の人的資本経営を発展させる力となると見込まれます。
 以上のように、人材は、人件費という名のコストではなく、適切に投資をし育てることによって企業価値の向上につながる資本である、という認識の広がりと取り組みの強化が急速に進んでいるのです。ここまで指摘してきたことは、2020年に経済産業省より出されている「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書」いわゆる「人材版伊藤レポート」でも詳しく示されています。
 人的資本経営といってもその内容は多様です。開示する情報として例示されているものだけでも、女性管理職比率、男性育休取得率、男女間賃金格差といった多様性(ダイバーシティマネジメント)を数値的に表しやすいものから、福利厚生も含めた社内環境整備の方針や人材育成方針といった企業の将来的な持続可能性に向けた投資ともいえる内容などを含んでいます。
 その中でも、人的資本として投資をして育てるということにおいては、従業員の質的向上としての能力開発ともいうべき教育・育成が中心的な課題となります。この点において現在最も注目されているのが「リカレント教育」です。一般的にリカレント教育とは、学校教育を終えて社会に出た個人が再び教育を受ける循環型・反復型の一種の生涯教育のことです。経済協力開発機構(OECD)が1970年代初頭に提唱したものですが、そのOECDの2005年のリポートによれば、リカレント教育には個人の生産性を高めイノベーションや雇用機会を創出する効果があるとされています。
 人口減少社会となっている日本における労働力人口の量的拡大はもはや望めない中、労働力の質的向上によって乗り越えていくことが求められています。同様に、DXによって不足する労働力を補おうとしている面もありますが、このDX化の進行によって、既存の仕事が変化あるいは不要となる可能性もあり、新しく生まれる仕事への人材の移動が求められる中、むしろミスマッチが顕在化することが課題となっています。
 リカレント教育と並んで「リスキリング」も注目されています。リスキリングとは、新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する(させる)ことです。仕事上の新たなスキルを習得することであるといえます。人材不足が特に言われているDX人材の育成を念頭に、このリスキリングのプログラムが展開され始めています。
 しかし、以上述べてきたような「リカレント教育」「リスキリング」は、中小企業家同友会が「人を生かす経営」(『労使見解』)や人間尊重経営の立場に立った経営指針の成文化などに長年取り組んできた歴史からみれば、何一つ目新しいことはありません。むしろ時代がやっと同友会の考えに追い付いてきた、といってもよいでしょう。

(4)いまこそ「人を生かす経営」の実践が必要

   「魅力ある企業」とは「稼ぐ力」と「人を育てる力」をもつ企業のことです。「稼ぐ力」とは、直接的には、差別化された競争優位性を持つ製品・サービスがあることです。しかし、それは企業が存続・発展するために必要な利益をうみだすことであり、経営の目的ではなく手段であるといえます。
 「人を育てる力」とは、直接的には、業務などのスキル向上のことですが、人としても成長することでもあります。そしてその真に意味するところは、従業員が安心して能力を発揮できる会社になることです。体格や性格あるいは性別などに関係なく、その個人が持つ能力をフルに発揮しようと思うような企業の制度や風土を作り上げることが重要です。仮に優れた能力を持っている従業員がいたとしても、その能力の半分も出すことがなければ、結局意味を成しません。持てる能力をしっかり発揮したい!もっとスキルを向上させて貢献したい!と一人一人が思い行動するようになるためには何が必要でしょうか?それは、なんのために働くのか、という経営の目的すなわち経営理念が確立されていて、その経営理念はみんなが賛同するようなものであり、実現させるための道筋として経営方針・経営計画を示すこと、すなわち経営指針書の成文化とその実践です。
 「稼ぐ力」があるということは、顧客・取引先から「選ばれる会社」であるということです。「人を育てる力」があるということは、働く人から「選ばれる会社」であるということです。これらを併せ持つ企業であることは、地域の人たちから支持され誇りをもって迎え入れられるという意味で地域から「選ばれる会社」であるということです。これこそ同友会理念で示されている「国民や地域と共に歩む中小企業」そのものであるといえます。中小企業だからこそ地域や現場にある小さな情報から新しい仕事を見出すことができます。そうしたことを積み重ねていくからこそ、社会がどのように変化しようとも、必要とされる価値を提供し続ける企業となりうるのです。自社のもつ特徴・強み・埋もれた可能性を再発見し、社会で果たすべき役割は必ず存在します。経営指針書の成文化と全社的な実践は、企業を維持発展させることだけではなく、「社会になくてはならない企業」になるためです。社会になくてはならない企業になれば、賃上げぐらいのことに恐れおののくことなどなく、大切な仲間である社員とともになすべきことに邁進する強靭な企業であり続けられるのです。
 力強く地域に必要とされる企業であるために経営指針書を策定し実践するために、経営者が一人で立ち向かうのではなく、諸先輩方から多くの経験と考え方を受け継ぎ、いま志を同じくする同友会の仲間の経営者とともに互いに叱咤激励しながら歩み続けることが新しい時代を切り開く力となります。より多くの中小企業経営者が同友会に集い、共に学びあい、会員相互の連帯・連携によって相互に価値を生み出す力にしましょう。

三重大学リカレント教育センター教授
青木雅生 記

2023年度スローガン

地域課題を経営課題とし、ピンチをチャンスにして同友会らしい黒字企業へ!

基本方針

1.企業づくり・・環境変化に対応しピンチをチャンスにする企業づくりへ。

1)経営指針の成文化と継続的な実践に取り組む体制を整備します。
①第45期経営指針を創る会を成功させます。
 世界も日本の経済情勢も激変し未来が不透明な時代です。こういう時こそ自社の存在意義を明確にし、社員の創意や自主性を引き出し、ピンチをチャンスにする指針経営が求められています。
 第45期経営指針を創る会は今年1月よりスタートし12名が受講しています。創る会を労使見解の精神による人間尊重の経営、すなわち人を生かす経営の登竜門として成功させ、将来は会員の5%が受講し、10%が運営に関わる創る会をめざして、理事および創る会OB・OGの参加を広げ支部でのフォロー体制を構築して取り組みます。

②第46期経営指針を創る会を今年度中に開催します。
 経営指針を創る会を支部活動の活性化と統一してとりくみ、受け入れ態勢を広げて第46期創る会をスタートさせます。

           

2)経営指針の成文化と実践を当たり前とする会風をめざします。
①役員選考基準に指針経営の実践を明確化します。
 2023年度より支部長および委員長は原則として経営指針書を成文化し指針経営を実践していることを基準にして選考します。リーダーが指針経営を実践することで、すべての組織で経営指針の成文化と実践が当たり前となる会風をめざします。さらに、支部、委員会運営においても指針運営を徹底し、不離一体の運動を強化します。

②例会の経営体験報告のベースを指針経営にします。
 支部やブロックで行われる例会は、経営指針の成文化と実践をベースにして経営者課題の解決を目指す学びと討論を行い、経営指針の成文化と実践の意義をつかめるようにします。

③理事は同友会運動と企業経営を不離一体として取り組み、同友会らしい黒字企業のモデルになることをめざします。
 理事は同友会運動を推進する主体者として、指針経営を推進すれば社員が育ち業績もよくなり、永続して利益を出し続ける強い体質の企業へと発展することを示しましょう。そのために、理事会学習会では指針経営を実践的に学び合います。

           

3)人材の採用・育成・定着に取り組み、企業の持続的発展を保証します。
①共同求人活動の理念と実践を広めます。
 少子化が進み若者人口が減少する一途のもとで、手を打たなければ企業の未来を描けないところにまで来ています。採用する人材は企業の規模や業務条件に応じて変わりますが、経営指針に基づいて自社のビジョンを実現していくためには、学卒者の定期採用に取り組むことが欠かせません。
 共同求人活動では地域に若者を残し地域の未来を創ることを目的に、大学のキャリアセンターと連携したインターンシップの受け入れなどの職業教育による中小企業の魅力発信活動、学生から選ばれる働く環境を整備した企業づくりに取り組み、大学や教育機関の期待に応えることができる体制をめざします。

②地域の多様な雇用を担える企業づくりを進めます。
 共同求人活動とは労使見解の精神による経営指針を成文化し、その実践を担う仲間の採用と育成をめざす社員共育と一体で行われるものです。加えて、中小企業は今も昔もこれからも地域雇用の主たる担い手であり、共同求人活動に取り組むことと、障がい者や高齢者、働きづらさを抱えている就労困難な人々を雇用し、共に働きいきいきと生きる場を提供することは不離一体の関係です。
 就労支援に取り組む団体や行政とも連携し、多様な人々がその意欲と条件に応じて働くことが出来る、強くて柔軟で暖かな企業づくりを進めます。

③滋賀でいちばん大切にしたい会社アンケートを推進します。
 「社員のモチベーションが高い会社で、業績の低いところはない」という坂本光司先生(経営学者・人を大切にする経営学会会長)の提言をもとに、社員満足度の定点観測とその向上をめざして経験交流する取り組みが「滋賀でいちばん大切にしたい会社アンケート」です。理事及び役員が進んでアンケートを行い、満足度の高い企業づくりに取り組みます。

           

4)青年経営者や女性経営者が活躍できる同友会づくりで、地域の明日を拓きます。
①企業数が減少し続けている下で、起業を増やし経営の安定化を図ることや後継者を育成することは、未来の見える滋賀づくりに欠かせません。青年経営者が仲間と共に切磋琢磨して全人格的な成長をめざす青年部活動をさらに発展させ、10年後の滋賀経済を担うリーダーの育成をめざします。支部と青年部が連結し、45歳以下の会員に青年部活動への参加が促進される体制づくりを進めます。

②女性経営者が連帯して学び合う女性部活動を推進します。
 現代社会において、働く事、自分が成長する事、社会に役に立ちたいと思う事、リーダーという立場になる事、これらには男女の違いで格差があってはなりません。しかしながら、長い歴史の中で、刷り込まれてしまっている悪気の無い男女格差は歴然とあって、女性経営者も男性社会のルールに融合していく事で何とか存在を維持しようとして来たこともまた否めないことです。
 このようなジェンダーギャップによる経営上の不利益に加え、介護や子育てなど固有の悩みや課題を共有し、その解決をめざす場となる女性部の活動を推進します。加えて、「刷り込まれてしまっている悪気の無い男女格差」に男性が気付き、是正の努力を始めて貰う為の啓発活動にも尽力します。
 全県的な交流の場から支部を単位にした地域での取り組みも始め、地域に女性経営者の学び合いの輪を広めます。女性の起業支援や活動を推進する団体や行政とも連携して、活動を進めてまいります。

           

5)新しい仕事づくりにチャレンジし、地域課題や環境問題の解決を担う企業づくり
①産・学・官との連携でニュービジネスに取り組むことや、海外ビジネスの経験を交流し中小企業の国際化を目指します。

②SDGsの各課題や環境問題など、社会的課題の解決を経営指針書に掲げ、社員と共に取り組む企業の経験を学び実践をめざします。

       

2.地域づくり・・地域課題を自社の経営課題化し、地域の未来を担う企業になろう!

1)地域課題の解決を経営指針に掲げ実践する企業を増やします。
 滋賀の中小企業は企業数の99.8%(全国99.7%)を占め、雇用の84.3%(同68.8%)を担っています。私たちが強い体質の企業をつくり、安定した黒字経営で社員の暮らしを豊かにすることと、元気な滋賀を創ることは不離一体の関係です(中小企業白書2020年版・2016年調査)。
 人口の減少と高齢化の進行にコロナ禍による社会経済活動の制限が加わり、これまで自社が立脚してきた経済基盤が弱体化しています。米中の貿易摩擦からロシアのウクライナ侵攻に円安政策が拍車をかけ、輸入食料や資材、エネルギーの高騰が中小企業の経営に打撃を与えています。
 しかし、ピンチを正しくとらえることが出来れば、チャンスを生み出し、自社事業を大きく変えて発展させることが出来ます。キーワードは、地域課題の解決です。経営指針を見直し、地域課題の解決を経営課題に位置付け、社員の英知を集めて解決をめざす企業となり、地域の未来を担う企業をめざします。

           

2)中小企業の力で滋賀を元気にする連帯の輪を広げます。
 「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役である」と定義づけた「中小企業憲章」(H22年6月閣議決定)の担い手として、地域に働く場をつくり雇用を生み出し地域社会から必要とされる強靭で魅力ある企業づくりをすすめるために、2023年7月20日の「中小企業の日」に「第32回滋賀県経営研究集会」を開催します。
 同友会会員が心を一つにし、地域の中小企業家や他団体、行政、金融、教育機関などにも参加を呼び掛け、350名の参加で成功させ、「中小企業の力で滋賀を元気にする」連帯の輪を広げます。

         

3)よい経営環境の実現に向けた、政策提言活動に取り組みます。
 1997年から継続して作成している中小企業家の要望と提言を県の施策の検討を含めて取り纏め、知事と商工観光労働部長へ提出すると共に、県議会各会派との懇談を開催し実現をめざします。

       

4)県や市の地域振興策を学び、地域づくりに向けた連携を強めます。
 滋賀県中小企業活性化審議会に参加し、県の中小企業施策を学び政策提言にいかします。
 各支部では対応する市の地域振興策を学び、行政担当者と意見交換を行うほか、地域づくりをすすめるNPOや団体と行事への相互乗り入れなどを通じて交流し、同友会の存在感を高めます。

       

5)地域に若者を残し、地域で若者を育てる運動の担い手を増やします。
 教育機関と積極的に連携してキャリア教育やインターンシップに取り組むことは、働くことで自分と地域の未来を創ることを学ぶ大切な機会です。共同求人活動の意義を広め、経営指針の成文化と実践、社員との共育ちと障がい者をはじめとした働きづらさを抱える人材の雇用に取り組む会員をふやし、大学や教育機関からの期待に応えられる同友会をめざします。

       

3.同友会づくり・・「滋賀一心!」で仲間を増やし、元気な企業・元気な滋賀を創ります。

1)滋賀同友会2030年ビジョンを基づいた企業づくり・同友会づくりをすすめます。
 滋賀同友会2030年ビジョンを基にして、理想の組織と企業づくりを明確にした同友会運動を展開します。

   

2)「同友会運動と企業経営は不離一体」。
役員は「人を生かす経営」を実践するモデル企業をめざしましょう。
 企業であっても同友会であっても、その組織の発展に大きく影響するのが役員のありようです。運営のための運営ではなく、自社経営をよりよくするための運営を実現し、役員は担当する組織のリーダーとして、同友会運動と企業経営を不離一体で実践するモデル企業をめざしましょう。
 同友会では役員になることで、組織経営をめざして学び合う仲間ができ、自社事業を発展させる条件と環境が得られます。多くの会員が役員となり、運営論議だけではなく仲間として企業づくりを支え合う学べる役員会をめざしましょう。
 支部単位で「同友会の歴史と理念」「労使見解の精神」「社員共育」「経営指針の成文化」をテーマにした会員オリエンテーションができるように、役員研修会を開催します。

  

3)地域により一層根ざした組織、多様な活動を推進する組織をめざします。
 今年度は高島に支部が誕生し、6支部の組織となります。滋賀同友会は将来的には13市6町すべてに会員を擁し、行政区単位で活動することを目標にしています。
 今年度は高島市に加えて彦根市での支部づくりをめざします。
 また、支部例会を補完し会員が身近な経営課題を交流し仲間づくりができる研究グループ会や、支部を地域別に20名前後に分けて顔と企業が見える学びあいを行う、地区会活動にも取り組みます。

  

4)広報活動を強化します。
 同友会の存在を知らせ、活動内容を正しく伝え、同友会へお誘いすることが出来れば、地域法人の
10%は同友会に加わってもらえるというのが全国的な経験です。
 同友会を知らせる活動として、公式ホームページへの情報掲載、公式フェイスブックへのリアルな発信を継続します。機関紙「同友しが」の発行体制を確立させ、内容の充実を図ります。
 支部では会員向けニュースの発行やSNSでの情報発信など、組織強化につながる広報活動に取り組みます。

  

5)会勢640名を実現します。
 滋賀には13,355社の企業(本所・支所含む 2016年経済センサス)があります。滋賀同友会は人をいかす経営を実践し、地域から必要とされる企業と同友会活動を展開するために、地域法人10%の会勢実現をビジョンに持っています。
 2023年度も、当面の組織目標である地域法人5%・678名を照準に入れ、640名の会勢をめざして会員増強活動に取り組みます。
 支部を中心にすべての組織が学べる例会や場をつくり、ゲスト参加に目標を持って取り組み、今年度こそ640名の会勢を達成します。

     

解説

同友会らしい黒字企業:
①経営者の経営姿勢を確立させ、②経営指針の成文化とその全社的実践に努め、③社員を最も信頼できるパートナーと考え共に育ち、④労使が力を合わせて外部環境の改善にも努めていく、という「中小企業における労使関係の見解(労使見解・中同協)」の学びを総合的に実践し、利益を出し続ける企業のこと。

   

指針経営:
 「経営理念」の成文化と共有・浸透だけに終わらず、「経営理念」に示された考え方や、価値観に沿った「10年ビジョン」「経営方針」「経営計画(中期・短期)」を自社事業の分析、外部経営環境の調査等を通じて成文化し、それらに基づく具体的な行動計画とその実践などを通じて、社員と共に「経営理念」の実現をめざすこと。