滋賀県中小企業家同友会

活動方針

中小企業をめぐる情勢と展望

(中小企業家同友会全国協議会第58回定時総会議案第1次案より)

第1節 世界経済

1.不安定化し、不透明感が常態化する世界経済

世界経済は「自国第一主義」への回帰と地政学的リスクにより、不安定な状態が常態化しています。

  • 経済成長の鈍化:2025〜27年の世界成長率は3%程度(2000〜19年平均3.8%を大きく下回る)。
  • 秩序の揺らぎ:アメリカの国際機関離脱、相互関税の発動、力による現状変更の試み。
  • 社会不安:テクノロジー進展による雇用不安、格差拡大、ポピュリズムの台頭。

2.岐路に立つ世界〜強まる平和・国際秩序の危機

項目現状・指標
紛争犠牲者年間約24万人(前年比23%増)
世界軍事費2兆7180億ドル(過去最高を記録)
核のリスク2026年2月に新戦略兵器削減条約が失効。核弾頭は約9,600発が運用可能。
国際法の危機国連憲章、国際法を無視した武力行使や現状変更の蔓延。

3.主な先進国や新興国の動向

  • アメリカ:利下げやAI投資が下支えするも、関税政策や移民減少がマイナス要因。所得層の二極化。
  • ユーロ圏:インフレ鈍化で個人消費は回復傾向だが、地政学的緊張がリスク。
  • 中国:実質GDP成長率5.0%(2025年)。不動産不況と労働力減少により2026年は減速予想。
  • ロシア:2025年の成長率は0.6%まで低下。深刻な人手不足と高インフレの「戦時停滞」。

4.限界を超えつつある地球環境

  • 平均気温:2024年に産業革命前比+1.55度を記録。パリ協定の「1.5度目標」を初めて突破。
  • 経済損失:災害による損失は過去20年で2兆2500億ドル(約350兆円)。
  • 生態系:生きている地球指数が50年間で73%低下。
  • 好事例:フロン削減努力によりオゾンホールはピーク時から3割減少。

5.加速度的に広がる生成AI・デジタル技術

  • 活用状況:日本企業の約半数がAI活用を推進する一方、中小企業の約半数は「方針未定」。
  • 法整備:日本では2025年9月に「AI法」施行。開発・活用の推進を重視。

6.持続可能な社会をめざす取り組み

  • 現状:SDGsターゲットのうち予定通りに進んでいるのはわずか18%。
  • 新指標:「Beyond GDP(GDPを超えて豊かさを測る指標)」の検討開始。

第2節 日本経済と地域経済

1.長期停滞から抜け出せない日本経済

(1)長期停滞と国際的地位の低下
  • 成長率予測:2025年 1.1% → 2026年 0.7% → 2027年 0.6%。
  • 実質賃金:4年連続マイナス。30年間の伸びは日本4%増に対し米国48%増。
  • エンゲル係数:28.6%(44年ぶりの高水準)。
  • 就業者数:2024年6,781万人 → 2025年6,828万人で47万人増加(5年連続、過去最高)。
(2)歴史的円安が続く
  • 為替:実質実効為替レートは変動相場制以降の最低水準(67.73ポイント)。輸入購買力が低下。

2.中小企業の経営動向

(1)低位で推移する中小企業景気
  • 倒産:1万300件(4年連続増)。人手不足倒産は過去最多。
  • 廃業:休廃業・解散は6万7,210件。うち5割強が黒字企業。
(2)強まる賃上げ圧力
  • 現状:65%の企業が「防衛的賃上げ(業績改善なしでの実施)」を余儀なくされている。

3.加速する人口減少・高齢化と深刻化する地域の衰退

(1)加速化する少子化
  • 出生数:2025年は約70万6千人(10年連続過去最少)。国の将来推計より17年早い。
(2)地域に果たす中小企業の役割
  • 過疎化:全自治体の51.5%が過疎地域。中小企業は地域という「生活の器」を守る存在。

経営者と社員の関係が近く「人間の顔」が見える中小企業、地域の人々の「人間の顔」が見える中小企業こそ、地域課題を企業課題として取り組んでいくことが可能であり、社会的にも期待がなされている。

4.人間尊重、ジェンダー平等の社会を

  • 賃金格差:日本は22%(OECD平均11%)。
  • 男女平等の度合いを示すジェンダー・ギャップ指数は146カ国中118位。

5.本格的なエネルギーシフトが求められる時代

  • 依存度:化石燃料に8割超を依存。再エネ自給率向上は喫緊の課題。

6.多発化・激甚化する自然災害

  • 対策:災害を「新たな日常」と捉えたBCP(事業継続計画)の実践。

第3節 中小企業憲章を軸に日本経済の質的転換を

1.長期停滞から抜け出すための日本経済の発展方向

  • 方向性1:多様な産業の存在と中小企業が発展の源泉となる日本経済を築こう。
  • 方向性2:持続可能な経済社会づくりのための内需主導型経済を作ろう。
  • 方向性3:地域内循環を高め、地域資源を生かした地域経済の自立化をめざそう。
  • 方向性4:エネルギーシフトで持続可能な社会をめざそう。
  • 方向性5:誰もが人間らしく学び、働き、生きることができる働く環境を作ろう。
  • 方向性6:大企業の社会的役割・責任が十分に発揮される社会を築こう。
  • 方向性7:成熟社会とグローバル化に対応する新しい仕事・産業づくりをすすめよう。

2.同友会で知恵を出しあい、難局を乗り切ろう

時代の大きな転換期の中、企業は事業の再構築や事業領域の見直しなどが大きな課題となっています。地域課題や社会課題が山積する今、企業は経営指針に地域課題や社会課題を位置づけ、事業活動を通してそれらの解決に取り組むことが期待されています。経営指針に地域課題を位置づけ、21世紀型企業への育ちあいを加速させましょう。

また、2025年中小企業白書は「経営者の経営力の向上」について着目し分析。広域・異業種の経営者の学び合い、経営理念・計画の策定と社員との共有、社員を大切にする経営などを行っている企業は業績がよいことを明らかにし、それらの重要性を強調しています。これらはまさに同友会が長年取り組んできた企業づくりであり、同友会運動の先進性・普遍性が示されたと言えます。今こそ、中小企業の果たしている役割に確信を深め、中小企業家であること、中小企業で働くことに誇りもち、中小企業の社会的地位の向上をめざしていきましょう。そのためにもおおいに同友会に参加して21世紀型企業に育ちあい、真の人間尊重の社会をつくり、新しい歴史を創造していきましょう。

2026年度スローガン

「よりよく、よりつよく、よりカッコよく」

・「よりよく」とは、健全な経営基盤の確立を意味します。会社経営では経営状態の安定・向上(持続的な黒字体質)、良好な労使関係の構築、理念の浸透と共有、経営者としては課題意識を持ち改善し続ける経営姿勢の確立を指します。

・「よりつよく」とは、競争優位性と持続的成長を意味します。高い収益性(営業利益率10%等の数値目標)、変化への対応力、人材の活躍推進(しがいちアンケートなど)、財務基盤の強化を通じて、経営環境の変化に対応できる強靭な企業体質を築くことを指します。

・「よりカッコよく」とは、経営者のあり方と社会的価値を意味します。業績だけでなく、人間力・リーダーシップ・謙虚さを備えた経営者として社会から尊敬され、地域社会や業界全体に貢献し、若手経営者や社員にとって憧れの存在となることを指します。

重点課題

Ⅰ.企業づくり

① 経営指針の「確立」運動と企業変革の推進

1)「労使見解」を経営の基本姿勢として実践的に深く学び直す機会を設け、会員が「科学性・社会性・人間性」の観点に立った経営指針の成文化と実践に取り組むことを指します。第48期経営指針を創る会を開催し、12名以上の受講者の修了とOBOG団30名以上の参加を目指します。既に成文化をしている会員については経営指針の確立を目指して『企業変革支援プログラムVer.2』の活用を促進し、3か年で会員の20%のe.doyu登録を目指します。

2)物価高騰や人件費増加の状況下、持続的な賃上げを可能とするため、付加価値向上に向けた具体的な経営戦略(製品・サービスの差別化、業務効率化など)を経営指針に明確に位置づけるよう支部例会や小グループ活動でのテーマに設定します。そのために、定期的なアンケートを行い、会員の売上・利益状況や借入金の状況などを調査します。また、結果を理事会で報告し、各支部委員会の行動計画に結び付けます。

② 「共に育つ」理念に基づく人材の確保と育成

1)共同求人活動を滋賀単独での活動として確立し、2027年採用の共同求人活動参加企業を30社以上となるよう、共同求人活動の意義を会内外に訴え続けます。若者に選ばれる魅力ある企業づくりを、採用と教育を一体とした共育ち運動として展開します。

2)階層別(新入社員、若手社員、幹部)の共育活動を充実させ、「共に育つ」精神を実現する企業を増やします。委員会に参加する会員20名、研修に参加する会員20社、参加者のべ300名をめざします。

③ 多様性への対応と社会的価値の創出

1)障害者雇用をはじめ、女性や高齢者、外国人も含めた多様な人材が活躍できる職場環境の整備を推進します。ユニバーサル委員会の活動を通じて会員企業の参加を増やし、共生社会の実現に向けた実践の輪を広げます。

2)環境経営やSDGs、人権尊重(ビジネスと人権)を学び、地域課題や社会課題を経営指針に位置づけ、事業活動を通してそれらの解決に取り組む社会的価値の高い企業づくりを推進します。

Ⅱ.地域づくり(政策提言と外部連携の強化)

中小企業憲章と中小企業振興基本条例の理念を軸に、企業づくりと地域づくりを一体のものとして捉え、地域社会の持続的発展に貢献する企業を増やします。

1)中同協の重点要望・提言の内容を基に、滋賀県の中小企業の現状と既存政策を学び、行政まかせではなく自らも主体者として実現を担う政策要望・政策提言活動をすすめます。

2)景況調査活動を年1回から年4回まで拡大し、その結果を行政や金融機関との懇談の場で活用することで、中小企業、特に他団体の調査がとらえきれていない規模の実態を正確に伝え政策提言活動にいかすとともに、他団体や行政機関、金融機関へ発信します。

3)県内の大学や教育機関との連携(キャリア教育、講義、インターンシップなど)をさらに深め、地域で働く若者を増やし、地域の将来を担う人材の育成に貢献します。

4)オープンファクトリーなど地域の若者と企業が結びつく事業へ協力をします。

Ⅲ.同友会づくり(組織強化と運動の展開)

2027年9月に開催する第55回青年経営者全国交流集会in滋賀(青全交in滋賀)の成功に向けた組織基盤を確立するため、会員増強を最重要課題とし、同友会運動の継承と次世代リーダーの育成を計画的に進めます。

① 青全交in滋賀 成功に向けた会員増強の実現

1)2027年青全交in滋賀開催を契機とし、運動の主体者として活動に共感する仲間づくりを全面的・組織的に展開します。

2)会員増強をあらゆる活動の成果と位置づけ、2026年度末までに600名の会勢目標を達成すべく、全支部・全会員による組織的な増強活動を徹底します。

② 組織体制の強靭化と次世代リーダー育成

1)同友会理念(三つの目的、自主・民主・連帯の精神、国民や地域ともに共に歩む中小企業)・労使見解の精神を深く学び、全役員がその理念の体現者となるべく、役員研修会を継続的に実施し、次世代のリーダー育成を強化します。

2)支部活動と委員会活動の連携を進め、経営課題の解決に資する学びの場づくりを推進します。とりわけ支部運営では各支部でⅰ)運営委員会出席率80%以上、ⅱ)例会参加率35%以上、ⅲ)会員参加率70%以上を目途に目標を設定し、進捗を毎月理事会で確認します。

3)経営体験報告とグループ討論を基本とした「学び合いの質」の高い例会づくりを推進し会員の経営指針に基づく経営の確立をめざすとともに、支部運営委員会や小グループ活動において経営論議の時間を設けます。