滋賀県中小企業家同友会

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第16回近畿圏女性部会合同例会in滋賀に170名集う

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覚悟を持って一歩踏み出そう!

~第16回近畿圏女性部会合同例会in滋賀に170名集う~

第16回近畿圏女性部会合同例会in滋賀が、2月17日(月)13時30分から17時までクサツエストピアホテルとZOOMのハイブリッドで開催され170名(会場109名、オンライン61名)が参加しました。この合同例会は、関西2府4県の同友会女性部会が「風土の違いを認め合い、互いに学び交流し、人間尊重の経営を学ぶ」ことを目的に、毎年持ち回りで開催しているものです。

今回は創部3年目の滋賀同友会女性部がリーダーとなり、開催されました。

開会挨拶では、滋賀同友会女性部長で合同例会実行委員長の宮川絵理子さんより「ジェンダーギャップ指数が低い日本で、私たちがありたい姿を実現する主体者となり、誰もがありたい姿で活躍できる地域社会をめざして行く。そんな力を得られる合同例会にしましょう」と力強く呼びかけました。

この後、講師の坂東眞理子氏より概要次の通り基調講演が行われました。グループで討論では①自分②中小企業家(経営者)③地域(社会)の三つに対する「ありたい姿」を語り合い、自分が変わり地域を変える主体者としての覚悟を固め合いました。

懇親会にも約80名の方が参加して交流を深め、大盛況の内に終了することが出来ました。

◆ 基調講演(概要)

テーマ「覚悟を決めよう~誰もが意識の変革・変容の時~ありたい姿は明確か?昭和・平成・令和、私たちはどう変わったのか?そしてその先へ!」

講 師:坂東眞理子氏 昭和女子大学 総長

坂東氏は日本社会の環境変化について①高齢化(元気な高齢者の需要増と活躍の場づくり)②DX、AI化(人でしか出来ないサービスの創造)③グローバル化(円安、外国人労働者から選ばれる国づくり)④働く人の価値観の変化(働き方改革、パワーハラスメント、カスタマーハラスメントの禁止など)の三つを挙げ、私たちはこの変化に早く対応する必要があると説きました。

□無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)とは

一方で、人の意識や思い込みは変わりにくく、悪気はなくとも「どうせ女だから、無理だろう」「もう年だから、今さら…」「男だから…に違いない」などという無意識の偏見、即ちアンコンシャス・バイアスが個人の能力発揮を妨げていると指摘しました。

男性には「女性は責任のある地位に就きたがらない」「女性は家庭や家事、育児を優先する」「女性は会社に入ってから伸びない」というアンコンシャス・バイアスがみられるとも。これは意地悪ではなくて、「責任ある仕事は大変」「男性も家事や育児は手伝うべきだが、女性の方が向いている」「過去に女性の育成で失敗した」という考えや過去の経験に捉われているからで、何が女性の活躍を妨げているかを考えることが必要だと述べました。

□女性自身も高齢者もとらわれている

さらに、女性自身も「女性が責任ある地位に就くと、男性からも女性からも嫉妬され風当たりが強い」「家庭・家事・育児は私の責任(子供や家庭に迷惑をかけてはいけないから)」「女性が所得や学歴、地位が高いと男性にもてない、結婚できない」という思い込みがあり、社会の変化と意識との間にギャップが生まれていると語りました。

高齢者には「自分は後期高齢者だから」と、自らの可能性をあきらめている人もいますが、実際は①高齢者イコール寝たきり介護ではない ②個人消費の42パーセントは60代以上 ③65~74歳男性の労働率は55.8パーセントであることを紹介。年齢に関するアンコンシャス・バイアスも私たちのエネルギーを奪っていると指摘しました。

□どういうチャレンジが必要か

このようなアンコンシャス・バイアスの呪縛から解放されるには、①まず本人が思い込みに気がつき自覚すること ②意識して「私もやってみよう」と自己改革すること ③挑戦し小さな成功体験から意識を変える循環を生み出すことが必要だと強調。「大人は自分で自分の背中を押すこと」だと説き、具体的なチャレンジとしては、次の2点を挙げました。

  • 職業や職場でのキャリア設計(仕事を自分の人生にどう位置づけるか)に取組むこと。
  • 高齢期は大きな欲を持ち、機嫌よく振る舞い、よい言葉を使い、知恵や経験を伝え、社会から必要とされること。

□組織とリーダーシップの変化

20世紀的なピラミッド型の組織は、リーダーが強い権限を持ち上意下達で運営されました。そこに求められたのはメンバーシップ型の組織づくり。新卒の一括採用、年功重視、長期安定雇用を前提に業務を通じた教育が行われ、「男性はこの会社に一生を捧げるという考え方が多かった」と振り返りました。

現代では、みんなが知恵を自由に出し合って弾力的に仕事をする、ネットワーク型のスタイルが増えていることを紹介。そこでは専門職として有期契約や業績給で働き、自分で自分に投資する社員によるジョブ型の組織が増えつつあると指摘。「自分はどういうリーダーや組織をめざすのか、はっきりさせることが必要」だと問題提起しました。

□経営者に求められる挑戦

坂東氏は、このような変化の中にこそ新しいビジネスチャンスが生まれると語り、経営者に求められる挑戦を次のように示しました。

  • イノベーション:ニーズの変化に応える技術革新、無駄をなくすシステム改革
  • 人材の養成と活用:社員が大学院や通信教育で学ぶ制度など、具体的な人材育成策を持つ
  • 働き方改革:時間生産性を高める(短い時間で成果を上げることを高く評価する)
  • ダイバーシティ・マネジメント:自分たちと違う考えのあることを刺激にする
  • ステークホルダー経営:社会との関わりを仕事に反映させる

□人材をどこから得るか

労働力人口が減る下で、どのようにして人材を確保するのか。坂東氏は、女性、就職氷河期世代、高齢者、外国人、障がい者、高学歴フリーターなどの人々に、弾力的な働き方を認め、相手に感謝しリスペクトして会社へ迎えることが大切だと語りました。

□まとめ 覚悟を持って一歩踏み出す

さいごに坂東氏は、「自分が無理をしなくても誰かがやってくれるという考えや、一歩退くのが賢い生き方だという考え方が、日本を衰退させました。私が出来ることは何だろう、できることをやってみようという人が集まってこそ、日本が変わります。まずあなたが覚悟すること、一歩踏み出すことです」と、私たちへの期待を込めて、熱く高らかに呼びかけました。(記:事務局)