11月5日㈫18時~20時にキラリエ草津にて環境経営委員会例会を開催しました。
『アトツギの環境経営への挑戦』~中小企業の環境経営への取り組み~をテーマに法面プロテクト㈱ 取締役 酒巻 剣さんよりご報告いただきました。
【法面プロテクト㈱について~アトツギへの道のり】
法面プロテクト株式会社は、滋賀県を中心に「法面処理工事」の公共工事を行う専門業者です。酒巻さんは大阪府立大学工学部応用化学科を卒業後、神戸製鋼で環境防災管理部に勤務し、主に事業所から排出される物質の検査などを担当していました。
同社は1980年に酒巻さんの祖父が創業し、1987年には2代目である酒巻さんの父が入社しました。公共工事の工種において「土木工事」に含まれていた法面処理工事を祖父母が協会等を通じて、滋賀県内で新たに「法面処理工事」としてその専門性を認められ、一つの工法の地位を確立。特に、法面の植生技術を注目され、環境に配慮した工法の開発が進められました。
酒巻さんは神戸製鋼入社から6年後、父から3代目としての継承を打診され、環境に配慮した経営方針を引き継ぎました。酒巻剣さんは当初から自分の判断で会社を経営したいという思いがあり、承継を決意しました。現在は代表取締役のお父様とコミュニケーションを図りながら、承継に向けての準備をされています。
前職で培った環境管理の知識を活かし、環境省策定のエコアクション21に基づいた環境への取り組みを現場と協力して実践されています。
【SDGs持続可能な社会への取り組み~法面保護工事の専門業者として~】
酒巻さんは、今後目指すべき会社像として、環境に配慮した工法で施工することを強調しています。具体的には、滋賀県内の木材チップを使用した循環型資材を利用した工法があります。また近年は緑化工法が推奨されており、景観への配慮が求められるようになっています。例えば、住宅街近くの法面には地域環境へ配慮するために、植生工法が使用されています。
【環境への取り組みにおける課題と対応策】
酒巻さんは、今後も環境に対する社会の要求は高まり続けると予測しています。日本の建設活動によるCO₂排出量は全体のうち43%と推定されています。そして滋賀県では2050年までに排出実質ゼロを目指しています。しかし、企業の自助努力だけで達成することは難しいと考えられます。加えて、環境に配慮した重機の導入や資材を採用した場合に負担増加分を県などの発注者に負担してもらえていなのが現状です。公共工事は市場単価を基準にして発注価格が決定されます。そのため建設業者にとって環境対策は売上増加には必ずしも繋がらず、またコスト負担はどこに求めることが可能なのかが課題です。この点については、行政への陳情などで解決を図ろうとしています。
(記 事務局員 横江裕聖)