滋賀県中小企業家同友会

委員会活動について-女性部-

「働く・暮らす・結婚する」を再設計する時代へ~女性部オープン例会~

日 時:2025年9月11日(木) 14:00~16:30
会 場:キラリエ草津402会議室
報告者:中島 祥子さん 結婚相談所 Daisy flowers 代表 (女性部副部長)
テーマ:「未来を描ける地域へ 滋賀県の人口データから考える、中小企業ができる事」
「働く・暮らす・結婚する」を再設計する時代へ
参加者:35名

今回のテーマは「未来を描ける地域へ」で、性別、年齢、立場、所属を問わない多様な参加者が集い、地域社会の課題共有とグループ討論が行われました 。
報告者は、結婚相談所「Daisy flowers」代表の中島祥子氏で、滋賀県の人口動態データに基づき、「働く・暮らす・結婚する」を再設計する中小企業の役割について提言しました 。

中島さんの報告内容

報告は、中島氏の自己紹介から始まりました。富山県出身で、大学進学を機に大阪へ 。会社員時代には「会社は人ありき」「エビデンスの重要性」「経営理念」の3つを学び 、特に「関わった人すべてをハッピーに」という経営理念を追求したと述べました 。その後、結婚と出産を経て専業主婦を経験。社会との接点を持ちたいという思いから在宅ワークの勉強を始め、オンライン秘書としての経験を通じて「ワークライフ・インテグレーション」「IT技術と人にしかできない仕事」の重要性を認識し、起業に至りました 。

次に、滋賀県の人口動態分析に移りました。滋賀県の人口は2010年をピークに減少傾向にあり 、全国平均よりも緩やかではあるものの、少子高齢化が進んでいます 。
2023年の滋賀県の合計特殊出生率は1.38と、全国平均(1.2)や東京都(0.99)を上回っていますが 、出生数そのものは減少しています 。
中島さんは、出生数減少の主な原因は、出産可能年齢の女性人口が減る「少母化」ではなく、婚姻数が減る「未婚化」にあると指摘しました 。
夫婦あたりの出生数は1970年の2.0人から2023年の1.8人へと、実はそれほど大きく減ってはいないからです 。特に初婚同士の夫婦に限れば、出生数は高い水準を保っています 。
さらに、未婚者の約8割が結婚の意思を持っており 、子どもを希望する割合も高いことがデータで示されました 。

未婚化の背景として、結婚に対する「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」が挙げられました 。
1. 結婚への意志: 未婚者の8割が結婚の意志を持っている 。
2. 晩婚化の誤解: 平均初婚年齢は上昇しているものの、実際の初婚届出年齢は20~30代が7割近くを占めています 。
3. ライフデザインの変化: 親世代が「専業主婦理想」だったのに対し、子世代は男女ともに「共働き」を理想としています 。

しかし、滋賀県は既婚女性の正規雇用割合が全国で47位と低い水準にあり 、男性の育児時間も全国平均を下回っています 。女性の多くは結婚後も仕事を続けたいと望んでいますが、転勤の可能性や働き方、男女間の賃金格差といった企業の就労環境が、結婚を諦める要因となっている現状が報告されました 。
中島さんは、少子化対策は社会全体で取り組むべき課題であり、企業にとっては「採用」だけでなく、「結婚相手として選ばれるか」が重要だと結論づけました 。
男女双方が希望するライフデザイン(働き方や生き方)が叶う就労環境を整えることが、持続可能な地域社会の実現につながると提言しました 。

質疑応答とグループ討論
報告後の質疑応答とグループ討論では、より具体的な内容が話し合われました。
男性の育児参加を促すには、制度だけでなく、社員同士が本音で話せる「対話」の場を設け、心理的安全性を確保することが重要であると強調されました 。
また、「結婚相談所で最も多い相談は何か」という質問に対しては、「自分に合う人がわからない」という回答でした。これに対し中島さんは、まずは自分自身の「生き方」や「あり方」を深掘りすることが、相手を見つける第一歩だと補足しました 。
参加者からは、多様な価値観を持つ企業が地域に存在し、選択肢が広がることが、明るい未来につながるという意見も出ました 。(記 女性部 深田 奈保)