滋賀県中小企業家同友会

支部活動について-北近江支部-

経営者の姿勢が労使の信頼関係を創る~同友会理念を生かせば強靭な会社になる~

北近江支部 例会レポート

北近江支部 長浜・米原ブロック9月例会

と き:2023年9月21日(木)18:30-20:30
ところ:北ビワコホテルグラツィエ
報告者:水野透さん 株式会社渡辺工業 代表取締役会長・滋賀県中小企業家同友会 代表理事
テーマ:なんで同友会やねん!?~社長の学び場とは~
参加人数:52人

以下、報告の概要です。
【社長になるまでの営業時代の出来事】

まず、1990年代の営業課長時代に会社が大幅な赤字経営に陥ります。

その中で1996年に会社に労働組合が結成され、会社経営が悪いのは営業部の見積りが

悪いからと言われる日々が続きました。また、当時は客先に提出する見積りの判子を労働組合に貰わないと行けない状況で、労使関係が悪化していきます。

役員となり組合との談合終了後に当時の組合長が「本当に提出された数字は合っているのか?改竄していないか?」と言われた事もあります。正直に社員と渡り合い、嘘のない関係を作りたいと考えた原点がここにありました。

【同友会入会】

2005年に社長となり、兵庫県代表理事である藤谷 良樹さんから勧められて同友会に入会されます。同友会理念を知って勉強したいと考えられたそうです。

  1. 同友会は、ひろく会員の経験と知識を交流して企業の自主的近代化と強靭(じん)な経営体質をつくることをめざします。
  2. 同友会は、中小企業家が自主的な努力によって、相互に資質を高め、知識を吸収し、これからの経営者に要求される総合的な能力を身につけることをめざします。
  3. 同友会は、他の中小企業団体とも提携して、中小企業をとりまく、社会・経済・政治的な環境を改善し、中小企業の経営を守り安定させ、日本経済の自主的・平和的な繁栄をめざします。

そこから同友会の学びを実践し、会社は日々進化していきます。

それまで塗装会社と言えば、鈑金会社の2次外注的な立ち位置で、自分たちで生産計画も立てられない状況でした。そこで自社で生産計画を立てられる様、新たな鈑金会社探しや自社での鈑金生産を始めます。また、取引先売上が1社寡占となっている状況を変えるべく、建設機械市場に仕事をシフトしていきます。その当時「水野はどうにかなってしまったのか」と陰口を叩かれる事もありました。しかし、塗装品質が車並みに要求される様になったこともあり、取引先メーカーは3社と増え、1社寡占だった状況が現在は23%となっています。

これは他社が増加したことによる比率減少であります。

【リーマンショックで組合との信頼関係が結ばれる】

そんな折、2008年にリーマンショックが訪れ、売上は50%減少してしまいます。

社員にも5%のコストカットが必要となりましたが、経営が良くなれば返すと約束をしました。運よく半年程で業績が回復した折に、冬のボーナスでカット分を返す事が出来ました。

その時に組合がこの社長は約束を守る社長と思ってくれて、信頼関係が結ばれたと言われます。

【リーマンショック後の財務体質強化】

リーマンショックの落ち込みで雇っていた80人の期間工を期間終了で辞めてもらいましたが、その時に2度と同じ様な思いはしたくないとの強い思いを持たれました。そこから会社の財務体質強化に取り組まれ、自己資本比率3%の会社から今では60%の会社へと生まれ変わりました。そこには、お客様が本当に何を望んでいるのか?本当にお客様に役立つことは何か?を考え抜くことが大切と語られます。会社では日々の業務に追われがちですが、そこで考える場、学びの場として同友会が必要であると言われます。

【自社のビジネスモデル】

渡辺工業は、鈑金から塗装・組立まで多少高くても、お客様にとって便利な会社をビジネスモデルとされています。渡辺工業に言えば何とかしてくれる会社です。

自社の強みを生かす経営⇒ そこには、戦略・決定・実行する事が社長としての仕事と考えられています。価格交渉力を持つ事も大事で、1社依存にならず分散する必要性も語って頂きました。

報告最後には、金融機関との関わり方についても教えて頂き、自社の決算書、経営指針は

社長自らの言葉で説明しなければならないと言われます。代わりの人間がするのとは全然違いますと。

水野代表理事の経験豊富な話と同友会での熱い学びを通して、良い会社をめざそう・良い経営者になろう・良い経営環境をめざそうと参加者全員が誓い合った例会となりました。