滋賀県中小企業家同友会

支部活動について-北近江支部-

社員を信じて任せる経営で、圧倒的な変化を創る!~北近江支部10月例会~

北近江支部 例会レポート

滋賀県中小企業家同友会北近江支部(彦根/長浜・米原ブロック合同)10月例会が2023年10月26日(木)18:30〜20:30まで北ビワコホテルグラツィエで行われ、55名(ゲスト13名)が参加しました。
報告者は、株式会社七黒 代表取締役 七黒幸太郎さん(中小企業家同友会副代表理事)。「なんで同友会やねん!だから同友会やねん!〜迷わない判断基準〜」というテーマでご報告いただきました。

七黒さんは高島のご出身で、16歳の時にアルバイトで足場の仕事と出会われました。18歳で創業され、当初は“良い車に乗りたい!稼ぎたい!”その一心で仕事をされていました。もともと朝5時から23時まで働き、休日出勤も当たり前の職場で修行されていたので、社員さんが増えていっても、この働き方は続き、“儲けのため、会社は自分のもの”という思考は変わらず、人の入れ替わりが絶えなかったと言います。そして、辞めたら補充したらいいとさえ思っていたとのことです。
しかし、この長時間労働、尽きない人の入れ替わりで、七黒さん自身が、もう今の状況から解放されたいと思うほど苦しんでいらっしゃった暗黒時代でした。

周囲に愚痴ばかりこぼす中で、お世話になっている方から“お前は社長の仕事がわかってない!社員に対して、どう頑張るのかを示す羅針盤を作れ!”と中小企業家同友会を勧められます。そして入会後間もなく経営指針を創る会を受講されます。
自分と向き合い作成した指針書を社内で発表した時、あまりにみんなが聞いてくれなくて、ひどい人は発表の最中にスマホゲームをするほどだったとのことです。
しかし、そこでへこたれることなく同友会の例会に参加して学び、会社の環境改善に取り組まれます。やった方が良いとアドバイスされた“社内アンケート”(理想の会社って、どんな会社だと思いますか?)では、「毎日行きたくなる会社」つまり、現状は毎日行きたくない会社と思われている事実にも直面。目を背けたくなる会社の現状にも逃げずに向き合われます。

さらに、覚悟を持って次のことを社員さんに示されます。
社員みんなに経済的(給与)・時間的ゆとり(休日)を作り、気持ちのゆとりを作ります!
その代わり、「常に相手の期待以上を目指す!「小さな喜びを与える人になろう!」この2つにおいて、101%でいいから行動に移してほしい。ここから変化が生まれていきます。

労働環境にゆとりを(皆の望む環境創り)→時間・経済面でゆとりが生まれる(心にゆとりが生まれる)→行動を起こす(101%の法則)→品質が向上(信用度が増す)→付加価値が確立(同業他社と差別化)→値段交渉・時間的制限を受けなくなる
この好循環サイクルへと突入されます。
今日では、15〜20%の価格転嫁をお願いしても取引先が離れることがないほど、必要とされる代わりの効かない会社に成長されました。

そして、自分に矢印が向いていた時代から、同友会に入り矢印が社員さんに向いたタイミングで、社員さんの潜在能力を開花させる嬉しい出来事も生まれます。
今の仕事楽しい? 好きなことにチャレンジしてみないか?
以前から美容やアパレルに興味があった経理担当の奥様の夢を叶えるべく、アパレル事業(Clo-ba)を設立されます。

いよいよ会社の組織化が待ったなしというタイミングに、チームビルディング研修へ。
スキューバダイビングという、異日常の状況で、仲間を信じてチームで仕事に取り組むことの研修をされます。
この研修では、社内の結束が高まったことはもちろんでしたが、一番の気付きは“誰よりもみんなのためにと動き過ぎる社長が、動き過ぎることで弊害になっている事実。”
“社長の一番大切な仕事は、冷静に俯瞰で状況を見て、チームをゴール(成果)へと導くこと。”
未来を計画し、周りを見渡し、目標を達成させる。これこそが経営者の役割。
社員を信じて任せ、社長にしかできないことをやろう!
そう決意されます。
そのために、任せるしかない環境をあえてつくる行動に出られます。
商工会青年部の部長、同友会の運営委員、ブロック長、さらには同友会の副代表理事まで。
七黒さんが営業、見積、現場、全てを行なっていた足場事業を任せていくべく、右腕さんを専務に抜擢される際も、1年間は毎日辞めたい俺には無理。なぜ俺がやらなあかんのという押し問答が続いたと言います。しかし、それでも辛抱強く激励、できるようになったことをフィードバックしてあげるなど、1年間かけてフォローした結果、今では社長の2倍素晴らしい人材に成長しよったと周囲の評価を受けるほどに成長されます。
ずっと指示待ちで自信のなかったある事務員さんに、部下をつけることに。最初は私に指導係なんて無理です!と嘆いていたのが、入社1週間前に迫ったタイミングには、新人さんのための育成プラン、1日の過ごし方まで考えるほど、主体的に働いてくれるように。

経営者が学べば思考が変わる。
経営者の思考が変われば環境が変わる。
環境が変われば社員が変わる。
社員が変われば会社が変わる。

社員を主人公にする!
同友会でお役を受けると本業ができなくなります。しかし、業績が上がる。
この不思議の裏側には、“社員を信じて任せる”がありました。

そして、同友会は会社の健康診断の機会でもあります。
熱く高い志を一人で維持し続けることの難しさ。易きに流されるのが人の常。そんな時、同友会の環境で学び、刺激を受け続けることが、同友会で学び続ける理由と仰います。

そして創る会2回目の受講を終えられた今、矢印は会社から地元地域へと向かっておれるといいます。地元の明かりが消えていく時、もし人や経済が生まれていたら、明かりは消えなかったのではないか。自社があるのは、地域から信用され、必要とされているからこそ。
社長だけではなく、会社の仲間と暗い地元を照らす会社になりたい!そんな熱い想いを共有されています。

最後に、同友会で学び合う仲間を増やし、良い会社が増え、地域が明るく元気になる。
同友会の仲間が増えることが未来を切り拓いていくこと。これを共有し、報告を終了されました。

グループ討論では、“今日の例会報告を聴いて、あなたは何を行動に移しますか? その宣言をしてください。”をテーマに、明確な目標を立て、行動する覚悟をみんなで分かち合いました。

北近江支部、滋賀同友会の新たな火種が確実に芽吹いた熱い例会となりました。(家倉記)