滋賀県中小企業家同友会

支部活動について-湖南支部-

湖南支部2月BIG例会を開催しました

湖南支部 例会レポート

2月20日㈫18時半よりクサツエストピアホテルにて、湖南支部2月BIG例会を開催いたしました。今回は「人生を過ごす価値のある会社づくり ~地域に人を残す経営とは~」をテーマに、川中 英章さん (株)EVENTOS 代表取締役 広島同友会理事・中同協共同求人委員委員長)よりご報告いただき、会員・ゲスト合わせ88名が参加しました。

川中氏は創業当時、大手代理店の下請ばかりで利益率が悪かったことから、自社で飲食業を始められました。当時は採用という概念がなく、ホテルから調理師を引き抜いてスタッフを揃えていましたが、やはりそれではうまくいかず、にも関わらず新規出店を焦ったあげくに債務超過に陥り、給与もまともに払えなくなりました。60人いたスタッフは、7名に減ってしまいました。

それでもなんとか再建を図って、結婚式場の下請けをすることで持ち直しました。同友会に入会されたのもその頃で、目的は採用でした。中途採用がうまくいかず、やむなく新卒採用へとかじを切られます。初年度は、運良く6名の入社が決まり、自社を選んでくれたこの6人のことを守っていこうと決意。内定者の両親と面談した際、親御さんから「4年制の大学を出て働く価値のある会社なのですか?」と疑問を投げかけられ、大きなショックを受けました。

当時川中氏は社長として理想は語るものの、社内は新入社員を受け入れる体制になっていませんでした。新入社員は、先輩社員に叱られる日々で、既存社員と関わるうちに次々と死んだ魚のような目になり、1年以内に全員が辞めてしまいました。履歴書に傷をつけてしまっていることを悔やんだ経験から、自社に足りないところを徹底的に考え、社員が育つための風土改革として経営指針づくりに真剣に取り組み始められました。

徹底的に理念と方針を学び、自社の強みや弱みを皆で必死に考え、社内風土も変化していきました。

経営指針を元にした社員教育から新たな取り組みも生まれました。食を通した農村活性化事業として、広島県安佐南区の耕作放棄地を社員と開墾し、農地に併設してレストランを開業しました。小学生の田植え体験の受け入れなど地域への取り組みを続けた結果、レストランは大繁盛しました。そして、当初は(株)イベントスのレストランしか店がなかった農村地域に次々と飲食店が出店する状況となり、地域の元気発信に貢献することができました。

徐々に経営環境が良くなってきた時にコロナ禍となり、2020年の春先に売上が95%ダウンし、暗闇の中を進む状態でした。「どんな時代でも生き抜く力を身に着けることが本来の社員教育」という同友会の教えを思い出し、全社員で丸1ヶ月間の勉強会を行い、アフターコロナに備えました。

2021年には島根県江津市に請われ、有福温泉再生事業に参画。土産物店跡を改修し、宿屋の調理人に代って宿泊客の食を担うレストランをオープンさせ、新たな地域の元気発信を始めました。

「今の若者の多くは、人の役に立ちたい、社会貢献がしたいと思います。ですから、私達は人生を過ごす価値のある若者に選ばれる会社にしていく必要があります。社員と共に目指しているのは、楽しく誇りを持てる、やり甲斐のある仕事。未来に希望が持てるふるさとづくりです。」と、川中社長は締めくくられました。

グループ討論は、「あなたにとって人生を過ごす価値のある会社とは?」というテーマで語り合い、新たな仲間も迎え入れることが出来た、素晴らしい例会となりました。(記 湖南支部長 寺田好孝)