湖南支部11月例会を開催いたしました。
11月19日18:30~20:50、クサツエストピアホテルにて湖南支部11月例会を開催いたしました。
11月例会では、宮川バネ工業株式会社(東近江市)代表取締役の宮川草平さんから、「同友会の採用・共育が会社を変えた~採用・共育をしない会社は滅ぶ~」をテーマにご報告いただきました。
宮川バネ工業株式会社は、1953年創業、東近江市で自動車や家電、建築、農業などさまざまな業界に板バネを供給する金属プレス加工行をされてます。
宮川さんは、大学卒業後、就農をはじめいくつかのお仕事を経験された後、2014年9月に事業承継をされました。滋賀同友会では、共育・求人委員会副委員長のほか、経営労働委員、経営指針を創る会OBOG団に参加されています。
1.同友会運動とは?
同友会での共同求人活動での取り組みの前に、まず中小企業家同友会がなにをめざす団体なのかお話しいただきました。
中小企業家同友会が他団体と異なる点は、同友会が「同友会運動を実践する会」であることです。そして同友会運動とは、「同友会の三つの理念の実現を目指し」、「労使見解の精神に基づき」、「三位一体の活動を実践する」ことです。
同友会の三つの理念とは、①三つの目的(よい会社・よい経営者・よい経営環境)、②自主・民主・連帯の精神、③国民や地域と共に歩む中小企業、です。
また、「三位一体の活動」とは、①経営指針成文化、②社員教育、③共同求人活動、の3つが不離一体になっていることです(なお、「だれにとっても働きやすい職場環境(ユニバーサル)」を加えて四位一体とする場合もあります)。
三位一体なので、3つのうちどれから取り組んでも他の2つは必ずついてくる関係ですが、そのなかでもとりわけ、「経営指針の成文化」が重要です。社員共育をするにしても、共同求人をするにしても、経営者が経営指針を成文化しなければ実践をする、PDCAを回す取り組みができません。なので、共同求人活動をする前提には、経営指針の成文化があり、経営指針書を作成し、社員と共有し共に実践するということがあります。
2.宮川さんの実践事例
宮川さん社長に就任されたころは、宮川さん自身も社員への不満があり、またどんどん社員が辞めていく状況でした。そこで、会社をよくして人が育てられる会社にしようと、「人間尊重経営」とは程遠いポジションから採用活動をスタートされました。
しかし、採用活動をするなかで、新しく採用して「自分の言うことをきく社員」を増やそうとすることは、既に会社にいる社員を信頼しない、ということになり、良い会社を目指す活動とは相反することになります。
そんななか、宮川さんは同友会運動に一所懸命とりくみます。経営指針の成文化(経営指針を創る会受講)と実践(創る会OBOG団)、共育・求人委員会への参加など、同友会でよく言われる「ハイか、イエスか、喜んで」のスタンスで要不要をとわず活動されます。
そして、経営指針を創る会を運営する経営労働委員長が「実践コース」をするということで参加してみたら、「経営指針の発表会をしよう」ということで、経営指針書を会社で発表、それから毎年、経営指針書の発表会をされています。
また、共育の面では全社員との個人面談を行い、社内アンケートも継続してしておられます。
その結果、宮川さんは「同友会の三位一体の活動を実践する中で、自分本位の考えではじめた社員共育・求人が同友会理念と一致していく」という手ごたえを感じられたとのことです。「社員を育てようと考える前にまず自分が育て」という考え方が重要です。
3.労働人口の現象が企業に与える影響
今、日本社会では「人手不足」が課題となっています。今後、労働人口は確実に減少していきます。
そのような経営環境の中で、平均年齢が高い会社は、若手の採用をしない限り安定して事業を継続していくことが難しくなってきます。
人手不足が慢性化すると長時間労働が常態化し、現場の疲弊と人材の流出が起こります。また、平均賃金が上昇することで、他の会社へ人材が流出しやすい状況になります。
そうなると、新規の採用ができないという問題に加え、人材が流出する、という問題も抱えることになります。
それらの経営環境の変化と自社内で生じる問題を考えると、「人がいる」というだけでも会社の強みとなります。つまり、人を採用し、定着できる会社だけが生き残る時代が来ようとしています。そうすると、顧客に選んでもらえる会社を目指すより、従業員に選んでもらえる会社を目指す戦略が必要になります。
4.なぜ中小企業家同友会の共同求人活動が採用の王道なのか?
中小企業が、大手企業と同じ土俵で求人活動をしては負けてしまいます。中小企業は大手とは異なる活動をしなければなりません。それが、中小企業家同友会での共同求人活動です。その理由は以下のとおりです。
① 大手人材派遣・紹介会社のサービス(採用のアウトソーシング)ではなく、「自社の採用力」を磨く活動であること
② 経営者自身が関わる採用活動であること。
③ 中小企業を取り巻く環境は集団の力でないと変えられない!ということ。
とくに、中小企業家同友会の共同求人活動は、単に採用することを目的とした活動ではなく、選ばれる会社にするための活動です。必要なときに採用を考えるのではなく、よい会社づくりをとおして選ばれる会社であり続けることが重要です。
5.共育・求人委員会はどのような活動をしているのか
①合同企業説明会を京都同友会とともに開催しています。参加企業がブースをつくりますが、学生に人気のブースを見学し、どのようなつくり込みをしているのか観察することもできます。
②合同会社見学会をしています。
③大学との連携もしています。滋賀大学、滋賀県立大学、立命館大学、龍谷大学…などの大学と連携し、合同説明会のアピールや学内説明会の依頼、インターンシップ受け入れなどをしていています。
④採用勉強会をしています。
宮川さんの理路整然とし、かつ確信をもったご報告に中小企業家同友会が何を目指している団体なのか、共同求人活動がなぜ必要なのか、腹落ちされた方も多かったのではないでしょうか。
共育・求人委員会の活動にご興味をお持ちの方は、お近くの滋賀同友会事務局までお気軽にご連絡ください。
宮川さんありがとうございました。