
11月13日(木)16:40~18:00まで、立命館大学びわこ草津キャンパスで、同学部2回生を対象にした「キャリアデザイン講義」の第7講が開催されました。

テーマは「地域における起業」。今回は立命館大学に在学中に起業をされた㈱斉 代表取締役の大石歩さんより、起業されたきっかけや苦労されたこと、今後の事業展開や学生へ伝えたいことをお話しいただきました。
自然豊かな愛媛県四国中央市で育った大石さんは、かつて校長室に100回も呼ばれるほどの「問題児」でした。高校1年の冬、家族内での衝撃的な事件に遭い、一時は不登校に陥ります。しかし、妹さんのために独学で運動理論を学んだことをきっかけに「学ぶ楽しさ」に目覚め、猛勉強の末に大学へ進学しました。 大学時代は、親の離婚を機に経済的自立を決意。月140時間働きながらの極貧生活で、キャンパスでクイズゲームに勝ち、パンをもらって生活していました。

起業のきっかけは、通っていた美容室の社長へ「社長になりたい」と何気なく語ったことからでした。通うたびに「どうなってる」と社長から話しかけられ、後に引けなくなった大石さんは事を起こそうと友人50人への聞き取り調査を行い、「男性向け美容」の需要を発見します。
友人にラーメンを奢って手伝ってもらいながらDIYで店舗を改装し男性向けの脱毛サロンを作り上げました。しかし、オープン直後にコロナ禍が直撃。さらに、採用した従業員との関係悪化や資金難など、組織運営の壁にもぶつかります。「社会に出たこともないのに何がわかるんですか」という社員からの言葉に打ちのめされつつも、大石さんはそこで止まりませんでした。
機器の販売価格やサポートがないことなど、圧倒的なメーカー優位という既存の脱毛器の効果に疑問を持った大石さんは、独自で業界や脱毛技術を学び、納得のいくサービスを提供できる機器をつくりたいという一心で単身、中国へわたります。
ほぼ飛び込みで現地工場と直接交渉して自社製品を開発し、サロン運営から「メーカー兼フランチャイズ本部」へと事業を転換させました。この行動力が、事業を軌道に乗せる決定打となりました。現在はサービスの質を確保するためフランチャイジーは少数ですが、ゆくゆくは各県に1店舗というビジョンを描いています。

数々の困難をくぐり抜けた大石さんは経験から、「小さく始めること」が重要だと語ります。 「経験の浅い20代が、質でベテランに勝つのは難しい。勝てるのは体力とスピードです。圧倒的な量をこなすことで、初めて質が伴います」 。また、「やってみないと不安は解消しない。立ち止まるより、向かっていったほうが道は開ける」と強調されました。

現在は飲食や観光などへの事業多角化も視野に入れる大石さん。「周りの人に色々な経験をさせられる人になりたい」という理念のもと、新たな挑戦にむけての想いを語りました。
