2021年9月9日㈭13:00~16:15に第49回青年経営者全国交流会from岐阜の第4分科会を開催しました。
今回の分科会はZOOMを使用してのオンライン開催となり、137名が参加しました。
第4分科会では、「経営者の反省と決意が組織を変える~チームで取り組む仕組みづくり~」をテーマに七黒幸太郎氏(株式会社七黒 代表取締役)にご報告いただきました。
七黒さんは18歳の時に、アルバイト先の足場事業を受け継ぐような形で、個人事業を立ち上げました。学生時代からの友人を一人雇い、トラックを知人から譲り受け、なんとか足場事業を始めてからは順調に事が進んでいきました。しかし、だんだんとお金をより稼ぐこと・会社を大きくすることだけを目的にどんどん人を雇うようになります。お客様からの評判は良かったものの、実態は劣悪な環境で限界まで社員の労力を振り絞らせ、人をコマのように扱う経営者だったそうです。お金をどれだけ稼いでも心が満たされず、いつも社員に対して腹ばかり立てていた経営者でした。
しかし、尊敬していた祖父の死をきっかけに、自分の中の満たされない心に気付きます。「このままじゃダメだ」と考えるようになり、会社の体制を変えるため、経営者として学びを得るために同友会に入会しました。その後、経営指針を創る会を受講し、自社の経営指針書を作成されます。
苦心して作成した経営指針を社員に発表しますが、社員からは相手にされませんでした。経営者が心を入れ替えたことを示すため、まずは社員の”時間的ゆとり”と”精神的ゆとりを増やすこと、現在の労働環境を抜本的に見直し改善していくことを宣言します。また、それだけでは経費を圧迫するだけで終わってしまうと考えた七黒さんは社員に「いつも相手の創造を上回る言動をすること」をお願いしました。これは経営者が労働環境を改善することで、社員の心にゆとりが生まれ、そのゆとりから社員が仕事に励み、高い付加価値を生む。そして生み出した利益を元に労働環境を改善していけるという好循環を創るためでした。社員たちは、経営者として労働環境の改善に尽力する七黒さんの姿をしっかりと見ており、会社のために自発的にトラックの免許を取得する社員も現れるほどになりました。
これまでの業務に加えて、労働環境の改善まで手を伸ばすと、七黒さんは目の回るような忙しさになりました。こうなった理由を考え、自分が社員を信用し仕事を任せてこなかったことに気づきます。
自分が会社に関われないようにするため、同友会での役を引き受け、会社のことは社員を信じて任せてみることにします。初めのころは社員からも反発がありましたが、次第に社員が主体性が根付き、1人1人が会社の主人公になっていきました。
七黒さんは「会社がよくなるも、悪くなるも経営者次第。社員の本領を発揮できる場所を創ること、そしてその頑張りを認めてあげることことが、会社という組織が成長していくためには必要です。」とこれまでを振り返り、最後に「”自分自身が誇り思える会社・社員、地域が誇りに思える会社”を目指して、これから人を生かす経営を続けていきますと意気込み語ってくださいました。