2021年3月24日(火)18時30分よりZOOMにて3月例会を開催。
青年部会員を中心に38名が参加しました
今回の報告者は、㈱プレイ比良の取締役部長の田中和樹氏より、「一歩踏み出す力 ~経営者の成長こそ会社成長の第一歩」をテーマに報告頂きました。
会社は、主にダスキンの清掃サービスを請け負う会社として発足され、現在のサービス内容は以下の通りです。
サービスマスター・・・事業所、一般家庭の訪問清掃。
ファシリティマネジメント・・・事業所 施設の日常清掃。
メリーメイド・・・一般家庭の訪問清掃 家事代行。
田中氏は、4人兄弟の長男で、趣味は音楽鑑賞、ギター、おいしいお酒を飲み、おいしものを食べる事だそうです。学生時代は冷めた高校生で、勉強や部活に打ち込むことなくバイトばかりしておられたそうで、自分に自信が無く、人と関わる事や関係を築くこと、人前で話す事も苦手だったそうです。
ここから何故、現在の仕事に就いたかというお話しをされます。田中氏は大学にも行っておられたのですが、大学自体も中退してしまい、親(社長)からとりあえず仕事をしなさい、と成り行きでの入社。入社したものの、仕事が好きにはなれず、別の仕事に就く事も考えておられました。しかし、仕事を続けて行かれるなかで、「人に感謝される」という事に喜びを感じ、仕事にのめり込んでいきます。自分の体験も含めてお話し頂いた所、先輩に清掃作業の時間の区切りを付けられた事があって、当時は、もっとしっかりやりたい!徹底的にきれいにしたい!と思っても、そこそこで中断せざるを得なかったそうです。その時に「そうじ」という事に対し強い想いを持ち、お客様に感謝される事に対して大きな喜びを感じておられたと感じました。
そこから、突然の新店舗の店長に就任。新店というだけあり、開店当初は仕事が無い・・・仕事の無いつらさを知ります。営業のやり方もわからないから行動しない自分がいる・・・他の人と関わる事を避ける、従業員との関係もうまくいかない・・・従業員に原因があると感じ、人のせいにしていた自分に気付いたそうです。さらに数年後、本部直営店への出向を命じられます。直営店で修業、といった形です。
そこで出会った、同い年の同僚と出会い、ものすごく刺激を受けたのですが、「自分はその人とは違う」「自分は自分自身がしっかり自分の仕事をしていれば、いつかは認められるんじゃないか」と積極的に発言する事を制限しておられました。自分の想いや、やりたい事も主張できず、主張してはいけない。という考えをもって、当時は働いていたそうです。
直営店から自社に帰って来た際に、会社に大きな転機が訪れます。なんと、グループ会社から独立するという決定が行われたそうです。その後、社名は変更され、本社は移転。ただ、社員の不安は募る一方。会社の想いとしては営業活動をとにかく増やして、とにかく売り上げを確保する事。田中氏の想いは直営店で学んだ質の高いサービスを実行出来ると考えておられました。
この事はのちに、会社の不協和音を呼びます。本社の新店長に就任後、質の高いサービスを求めすぎたゆえに、部下との関係性が悪化し、従業員が田中氏自身から離れていき、職場の環境がどんどん悪化していくこととなりました。
そんな時、偶然声をかけられた同友会へ、なんとなく入会する事となりました。当時、例会へは何となく参加するだけ。自社の現実と同友会会員さんとのギャップにも悲観するだけ。グループ討論でも、自身の意思が無く、討論にもついていけず、すごく差を感じたと語っておられました。同友会で勉強するにつれて、自社の悪い所ばかりに目がいってしまうことになるのですがなにをすればいいかわからず、ただ漠然と、採用と教育が必要ではないのかと思われたそうです。
自分に意思、志が無い事に気づかれた田中氏は、理念の必要性を感じ、経営指針を創る会を受講される事となります。創る会で真剣に考えた結果、自社の特徴である「そうじ」という、意義に注目されます。そして「おそうじ」について自分なりに考えた結果、「おそうじ」というのは身の回りを綺麗にすることはもちろんの事、自分の心を整える、磨く行為をすることで心身ともに健やかになる事ではないのかと考えるようになられました。
ただ、会社の労働環境の悪化は変わらず、人は減る、募集を掛けても来ない、現社員への負担が大きくなるという負のループに自分自身の心も悪化。目の前の事に手いっぱいで、自分も周りもギリギリ。人生から逃げたいというぐらい追い込まれ、人にきつく当たるようになっていかれました。そんな時、上田現大津支部長から電話があり「最近どう?」というなにげない言葉に感情があふれ、涙が止まらなかったと話されています。
この時に、食事のお誘いがあり、上田支部長に話を聞いてもらえるものだと喜んで、食事会に向かった所、自社の事務員さんと総務の関係の方がおられ、当時の自分が一番向き合いたくない2人だったそうです。自社の従業員さんからの真剣な言葉を受けたんですが、余裕が無く「一番頑張ってるのに、なんでそこまで言われなあかんの?」ぐらいの感じで捉えてしまったそうなのですが、後から考えると自分でも思っていた非効率な部分をズバッとつかれたことで、考え直す機会をもらえたと感謝されたそうです。
その後、田中氏の行動に変化が起こり、いろいろな事が起こります。非効率な仕事の整理をして、従業員の環境を整える。なのに売り上げは下がらなかった!運よく、兼任部署の担当者も出来、自分の負担が減ったことで、自分の心にも余裕が出来始めます。なんと取締役部長にも就任。元グループ会社の顧客譲受する事になった事でさらに会社の課題に目が行く事となります。
そんな変化が起こり始めた頃、突然、信頼していたスタッフの突然の退社という事件が起こりました。信頼関係を築けていると思っていたスタッフが相談もなく急な退社の申し出があり、個人面談を行うも時すでに遅し・・・・。会社が変わりかけていると感じていたにも関わらず、会社はスタッフの信頼を裏切っていたんだ。と感じられたそうです。
そして、この時初めて気づかれることとなります。身近な人ともかかわらず、苦手に目を背け、分かってくれていると勝手に思い込み、受け身で自分の意見を主張もせず、自分の事すらも認めず自分を無視していた。気づいた事によって、田中氏は行動に移されました。今更ながらと自身の未熟さを痛感されておられる感じが致しました。
起こした行動としては、「自分の想いに気づく事、明確にすること」「自分の想いを伝える」そして、「その行動を起こす」一歩踏み出す決断されました。
従業員さんと面談を行い、話をしっかり聞いていくと、「従業員さん自身、何をどうしていいのかわからない」「会社に対して意見を言ってはいけない」「休む間もなく働いて、売り上げを上げなければいけない」などの声が上がり、過去の自分と重ねられ「これって、昔の自分じゃないか」と感じ取られました。
従業員さんの声に耳を傾け、意識の改革に取り組んでいかれます。会社の改革はもちろんですが、まずは自分の身近な人から自分が手を伸ばして関われる範囲から意識の改革を行っていく。従業員さんと一緒に無理のないスケジュールを考える事を1年間実行。最近は、従業員さんからも「この会社で働いてよかった」という声も上がってきているようで、嬉しそうにしておられました。働く意識を変える事で、定着し、従業員も増えるという実績も出来た。と話を続けられます。
そして、こう宣言されました。これから田中氏が取り組むべき事として自分の手が届く範囲だけではなく、「全部署の休日を増やす」「全部署の残業時間を減らす」「サービス金額を見直す」「労働環境を考えた仕事の整理」「人の採用と教育」。利益面で厳しくなってくることも覚悟の上で、ゆとりある体制をつくり、売り上げを増やす事を決意。全ては、従業員さんの健やかな生活の為に!と。
田中氏の想う「健やか」というのは、体も心も不自由なく健康であると、従業員本人が自覚している事。全ての人に感謝し、自分も人も認められる事。1人1人の心の声に耳を傾けてあげる事が出来る事環境を作ること。と定義付け「おそうじ」はそのきっかけとして、一人一人の心の声に向き合える会社にしたい!とまとめられ、最後に、受け身で、意思も想いもなく生きてきましたが、自分がやるんだ!と覚悟し、決断し「私は、従業員さん、関わる人の健やかな生活の為に、この会社の社長となり良い会社にします!」と熱い想いを、涙をこらえ宣言し、この報告を締めくくられました。