滋賀県中小企業家同友会

支部活動について-東近江支部-

東近江支部 7月例会を開催しました

東近江支部 例会レポート

東近江支部7月例会が、7月18日(水)18時30分から20時50分まで、滋賀県婦人会館にて27名が参加し開催されました。

 

松尾バルブ工業株式会社 専務取締役 松尾直樹氏に、「事業承継カウントダウン ~経営者としてこうありたい~」と題して、ご報告をいただきました。松尾氏は、大学卒業後1年間のフリーター生活を経て、創業者である祖父から「これからの時代のスピードには、若い人間の力が必要」と言われ、2003年4月に松尾バルブ工業に入社されます。
入社時は、将来に夢も希望もなく、仕事中に休日の計画を立て、作業が終わるのを待つだけの毎日、家族には「何でこんな会社を作ったのか」と文句ばかりだったとおっしゃいます。

しかし、入社後まもなくから大きな問題が次々と起こり、松尾氏は後継者として問題解決の最前線に立ち、奔走されることになります。国土交通省も動いた船に搭載されたバルブの破裂。長年の取引先からの突然の転注言い渡し。中国からの購入部品に有害物質が含有。松尾バルブの芽を摘もうとした同業者からの不正競争防止法での訴訟。
銀行から経営改善計画を求められるほど厳しい財務状態・・・。最初のうちは言われるがまま仕方なく最前線に立ち、説明行脚と膨大な量の報告書作成の日々で、心の中では「早く会社つぶれないかな」と思っていたこともあったそうです。
しかし、常に正直で誠実な対応と長年の松尾ブランドの信頼で、その時々で社内外問わず支えてくれる人が現れ、次第に「自分が何とかする」「これは解決できる」と思えるようになったとおっしゃいます。

図らずして会社の実情と向き合うことになり、工場運営や会社の数字など懸命に勉強されるなか、2015年9月に所属する研究会で「滋賀でいちばん大切にしたい会社」である株式会社シンコーメタリコンさんを訪問されます。そこで、人を大切にする経営、理念を追求する経営に号泣するほど感銘を受けられます。理念が大事だとシンコーメタリコンさんの経営理念をそのまま真似て、思いつきでその年の仕事納めの日に社内で発表するも、初仕事の日、従業員4人が辞表を提出し退職してしまいます。

 

何とか自社の理念を作れないかと思っていたとき、2016年5月に同友会と出会い、入会と同時に経営指針を創る会を受講されます。そこで、人やお金について一生悩み続ける覚悟、向き合う覚悟ができたとおっしゃいます。

 

そこから4期連続の赤字も止まり、2期連続の黒字に転換。同友会で色々な考え方に触れ、世の中に広く関心も持つようになり、会社や従業員さん、さらにはバルブ業界の将来も真剣に考えるようになったと振り替え変えられました。
すでに職場環境改善や同業他社との勉強会など、次々と学びを実践に移されています。同友会活動が経営者としてのあるべき姿の勉強になっていると松尾氏はおっしゃいます。
「難しい時代ですが、同友会の仲間と共に一緒に頑張っていきましょうと」とご報告を締めくくっていただきました。

 

その後、「あなたは経営者として何にチャレンジしていますか?」をテーマにグループ討論を行い、更に学びを深めました。アンケートでは、“経営者は、お客さんや従業員さんの「悩みごと」を解決していくこと、不安を安心に、不満を満足に、不便を便利に・・・と色々な「不」をなくしていくことだ”という話が印象的だったとの声が多く寄せられました。

会社や業界を担っていく覚悟、従業員さんを思う気持ち、すべての子供たちの未来を良くしたいという願い、松尾さんの熱い思いに心を揺さぶられた例会となりました。