滋賀県中小企業家同友会東近江支部のBIG例会を、11月24日にホテルニューオウミにて、71名の参加で開催しました。兵庫同友会より有限会社目見田商事 代表取締役 目見田純也氏に、「事業目的は“人づくり”~同友会に入ってのビフォーアフター~」をテーマにご報告いただきました。
2003年に29歳で初めて就職した会社が父親の会社で、宝塚のガソリンスタンドを任され、安売りで行列ができるお店で朝から晩までただガソリンを入れるだけの日々、父親に相談しても「自分で考えろ!」と一喝され、お客様に対しても吼えるといった、そのような最初の2年間を過ごされます。3年目にガソリンを安く販売するだけの会社から方向転換、まだ「いい会社」といった考えはなく、「儲けたい」との思いから様々な工夫をし、お客様に寄り添い要望に応えていく形で、自動車にまつわるサービスは何でも扱える会社に成長されます。その過程で、もともと車に興味はなく、父親がガソリンスタンドをやっていることに劣等感すら抱いていたところから、徐々に仕事に誇りを持たれていきます。新しいサービスは絶好調、業界から多くの見学者が訪れ、お客様には愛される会社ながら、社内では社員を怒鳴りつけ、激務でも給料は安く、離職も多いといういびつな会社の姿になっていました。
そんな中、父親の病気のために他の2店舗を閉店、宝塚の1店舗に経営のすべてがのしかかることになります。社長交代したものの名ばかりで、決算書も読めず、経営の勉強が必要だと気づき、2012年に同友会に入会されます。「社員には俺の言うことを聞かす!」といった姿勢に、強烈なダメ出しを受けたところから同友会での学びがスタート、入会後すぐに「経営指針書」を作成されます。ただ1店舗になったことで経営状態は悪化、私生活で心身の状態も最悪な状況の中、2016年に青年部の幹事長に自ら立候補、就任されます。その一番苦しい時に、ふと社内を見ると、今まで蔑ろにしていた社員の一生懸命な姿があり、「社員が誇れるようないい会社を作りたい!」と、そこから「社員の幸福を実現する」という理念を掲げられます。青年部のトップになることで、よい会社をつくることの覚悟ができたとおっしゃいます。
そこから「社員の幸福を実現する」ための様々な取り組みを始められます。社員の誰からも信じてもらえていなかった状態から、諦めずに身を粉にして孤軍奮闘、利益も出しながら徐々に福利厚生を充実させ、3年かけてようやく社員との信頼関係ができはじめます。そして将来のビジョンのために始めた新卒採用の取り組みが、社員の「幸せ」は何なのか、何のために働くのか、深く考える機会になったとおっしゃいます。そして現在では使命を「世間善し」「売り手善し」「買い手善し」と掲げ、その中心に定める「世間善し」の実現のために「人づくり=働く目的は人間的な成長」を事業目的とし、企業理念とビジョンの実現のため、未来に向けて更なる挑戦を続けておられます。
同友会に入ってすぐに会社がよくなるわけではなく、学びを会社に持ち帰り実践し、経営指針書を毎年更新し、そうしてずっと続けることで、社員との関係が深まり、会社がよくなっていることを実感できているとおっしゃいます。諦めずに続けてきた自信と覚悟、社員さんの幸せを願う気持ちが伝わる、熱いご報告をいただきました。目見田さんのご報告の熱気そのまま、グループ討論も非常に盛り上がり、活気あるBIG例会となりました。