滋賀県中小企業家同友会

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第6回アジア視察研修会~辻社長のバタフライピー「琵琶湖ブルー」にかける思い~

新産業委員会 委員会レポート

辻社長のバタフライピー「琵琶湖ブルー」にかける思い
筒井長徳 龍谷大学エクステンションセンター コーディネーター
○ ラオス保険省“THE PHARMACEUTICAL FACTORY NO.3”を訪問(保健省の製薬工場)
1月31日、ルアンパパーンを出発し、空路ヴィエンチャンに降り立ちました。日本大使館に勤める島野洋一氏に出迎えを頂き、チャーターしたバスでラオスの保健省が管轄している製薬工場(THE PHARMACEUTICAL FACTORY NO.3)に向かいました。
最初に、この工場のVice Managing DirectorのINTHAVONG氏の歓迎をいただき、主にこの工場の生産品ついてお話を伺うことができました。その際、同行していただいた島野様にラオ語の通訳をしていただきました。保健省では医療関係の業務に加えて、今回訪問させていただいた工場のように、薬品の製造、輸出も行なっているとのことです。この工場では主に漢方も含めた薬品の製造を行なっているわけですが、その薬品生産技術は、主に日本の武田薬品による研修を受けて立ち上げたそうです。主要な製品は軟膏、点滴液、薬膳茶等で、その原料はラオス国内より買い付けした、無農薬栽培や天然の薬草(ラオスにしかないものもある)を用いているそうです。製品はベトナム(点滴液)、ロシア(軟膏)、米国(薬膳茶)に輸出されるとのことでした。更に、中国も薬膳茶を欲しているそうですが、現状は生産量が足りなく、取引は出来ていないとのことでした。


○ ㈱ツジコーとラオス保健省によるJICAプロジェクト
次に同じ敷地内にある、ツジコー㈱とラオス保険省によるJICAのプロジェクト「固有植物の高付加価値化に向けた加工技術に関する普及・実証事業」を実施している建屋を訪問させていただきました。そこには、日本より導入した製造装置により、植物を乾燥、粉末化するパイロット工程が構築されていました。この工程では、ラオス産の植物の乾燥、粉砕が行なわれ、約10ミクロンという細かい乾燥粉末を生産できるとのことです。現在は、装置条件設定等をはじめとした、この工程の立ち上げを行なっている段階と説明されていました。導入された装置類は2年間のプロジェクト終了後、ラオスに資産移管されるとのことです。つまり、将来は、保険省国営健康食品生産会社(この名前はJICA資料より抜粋)が乾燥粉末の生産・供給元の一つになるわけです。
現在、ツジコー㈱ではオーガニック栽培による原料を用いた、無農薬の安全な食品材料やサプリメントのビジネスを積極的に進めています。ラオスは農薬に侵されていない農地が多く、オーガニック栽培による生産に適した国で、更に山が多く、薬草も豊富な国です。辻社長は、その環境を利用し、食品関連のビジネスを考え、JICAのプロジェクトも利用しながら、精力的に事業を立ち上げています。
事業を進めていく上で苦労されているのが、投資もさることながら、ビジネス概念が乏しい農家との契約やラオスの政府や法と関係、例えばラオスで粉末化した材料をまだ日本に輸出できないため、その解決策の策定など、かなりの努力が必要であり、ポジティブ思考が強く、海外でも活発に活動する能力を持つ、エネルギー溢れる辻社長ならではのプロジェクトと考えます。

現在、具体的に辻社長が構築しつつあるビジネスは、ラオスの南に位置するパクセーにあるキリ村の農場と契約をし、バタフライピーのオーガニック栽培を行ない、それを粉末化することにより食用の天然青色色素原料の製品とする目論見とのことです。
辻社長には今回の視察に同行していただいた訳ですが、その間に我々とは別行動で、バタフライピーを使った青色チョコレートの生産、販売について保健省と会議を行なっていました。青色チョコレートがラオスのお土産になる日も間近です。
バタフライピーにはブルーベリーの4倍のアントシアニンが含まれるとされ、健康食品の原料にもなります。滋賀県の方はご存知の方も多いと思いますが、既にケーキ、お酒が試作されています。辻社長はバタフライピーの青色を「琵琶湖ブルー」として広めて行きたいとのことでした。

○ キリ村にて
翌日、ヴィエンチャンを離れ、空路でパクセーに到着、チャーターバスでキリ村に向かいました。
ここでは、バタフライピーの畑を見学させていただきました。畑の広さは1ヘクタールで我々が訪問させていただいたときは、青い花が咲いているのが見られ、また収穫された花が天日で干されていました。辻社長のお話では他の幾つかの場所を試したが、このキリ村が最も栽培に適していることが判り、この地を選んだとのことでした。一方で、品質管理については、苦労したようで、写真と現地語を用いた作業手順書が畑の小屋に貼り付けてありました。更にこの日はキリ村の村長さんとツジコー㈱が畑に井戸を作るための契約を交わし、同時に必要経費の支払いを行なっていました。我々としては、貴重な場に遭遇し、良い体験でした。その後、車で15分ほど移動し新しい畑を見せていただきました。辻社長も始めてとのことで、キリ村の畑が更に1ヘクタールほど増えたことになります。
まだ投資段階とのことで、事業の成功とご活躍を祈念したく思います。