滋賀県中小企業家同友会

支部活動について-北近江支部-

「人が見過ごしている価値」に光を当てる事~北近江支部3月オープン例会~

北近江支部 例会レポート

滋賀県中小企業家同友会北近江支部3月オープン例会が滋賀同友会女性部との共催で、彦根市からの後援もいただき、2023年3月24日(金)18:00-20:30までプロシードアリーナHIKONE多目的ホールで開催されました。
講師には、(株)石見銀山生活文化研究所 相談役 松場登美氏をお迎えし、「足元の宝を見つめて暮らしを楽しむ」をテーマにご講演をしていただき、参加総数は102名で、内会員外より28名もの参加をいただきました。
例会の冒頭、和田裕行彦根市長のご挨拶もいただきました。

(株)石見銀山群言堂グループは、アパレル・雑貨の企画・製造・販売、飲食店・宿泊施設経営、古民家再生や観光事業を手がけおられるグループ企業。全国31店舗を展開されています。
ライフスタイルブランドの「石見銀山 群言堂」の「群言」とは「一言」の対義語で「広く大衆から正しい意見をくみ取る」事を意味しています。

三重県津市でお生まれになった登美氏は、幼少よりなかなか人と同じことができずいじめにも遭われたそうです。しかし、絵の好きだった登美氏は、高校生の時、初めて恩師に絵で褒められたことでご自分に自信を持たれます。絵の世界なら人と同じではないことで実力が発揮できることに気づかれます。高校卒業後、ご尊父が亡くなられた事で大学への進学を諦め、津市内の画材店にお勤めになられます。そこでも、人とは違う視点の販売のやり方で商才を磨かれます。
その後、松場大吉氏と結ばれ、島根県大田市大森町の呉服店を営まれていた大吉氏のご実家に、1981年ご夫婦でご帰郷されます。

人口400人の大森町は過疎。人口減少。そんなところに帰ってこられたご夫婦は、しかし大森町の風景を見て、自分の「心情」ならばこの町で暮らしていけると思われて決心されます。
帰郷後、登美氏がお店に入られて他のお店では扱わないようなものを仕入れて販売されました。どうせやるのならば「ハメを外すぐらいではなく、タガが外れるくらいやらないとダメ」と思われたそうです。しかしその心は、奇抜なものに頼ったりするのではなく「人が見過ごしている価値」に光を当てる事だったのです。
逆張りの妙~復古創新~生まれながらに人と同じことができなかった登美氏は、人とは違うことで独自の価値を見出そうとされています。

人口400人の、山に囲まれたところだから、あえて利便性を求めることもせず都会化するのではなく、自然と共生し古くからあるものに手を加え現代生活に生かしていく。そのブレない姿勢から生まれる商品やサービスを通して、「群言堂」のブレない価値にひかれる顧客やスタッフが集まるスタイルをとられています。

人を生かす経営をめざす中小企業家の実践報告を聴くことで擬似体験をしている私たちは、たしかにその事例をマネて自社で実践しようとしています。これ自体は経験として間違ってはいないと思いますが、マネできないところも「なんとか同じようになりたい」と背伸びや無理をしていることもあるはずです。「群言堂」の経営スタイルや、今回の松場登美氏のご報告を聴かせていただいたことで、人と同じ事をせずに、あえて〝逆張り〟をすることも、経営の新たな視点であることに気づかせていただきました。

今回のオープン例会の松場登美氏のご報告は、会員と多くのゲスト参加者にとって、地域の在り方や経営のあり方の新しい視点を見つけるきっかけになったことと思います。