滋賀県中小企業家同友会

支部活動について-北近江支部-

経営者の覚悟と信念に感動!~北近江支部7月例会~

北近江支部 例会レポート

滋賀県中小企業家同友会北近江支部7月例会のご報告

と き 7月23日(月)18:30〜21:00

ところ 北びわこホテルグラツィエ

テーマ 同友会で学んだ地域に愛される会社づくり〜人は人の為に生きてこそ人〜

報告者 小川 与志和 (株)和た与 代表取締役

参加者 25人

はじめに小川社長より、“下を向いてメモを取りながら話を聞くのではなく、私の顔を見て心で聴いて欲しい。メモは胸に刻んで欲しい。”とのお言葉からスタートしました。

和た与さんは文久3年(1863年)に初代当主が創業、以来滋賀県近江八幡・八幡掘りに面したお店で滋賀県無形民俗文化財に指定されている「でっち羊羹」を製造・販売されている銘店であり、小川与志和社長で5代目の歴史を誇ります。

伝統と歴史の重みを幼少期から肌で感じ、看板に恥じぬ言動を心掛け学級委員長や部活動のキャプテンも率先して引き受けて来られたといいます。

また、八幡商業高校野球部時代の厳しい練習に耐え抜かれた経験が、どんなに辛い場面に遭遇しても、かつての練習に比べたら乗り越えられる!と思える貴重な財産となっているともお話しくださいました。

高校卒業後、株式会社和た与に入社。菓子職人の修行をする傍、経営の勉強として16時から24時までマクドナルドでアルバイトをされた逸話も。若干二十歳の小川青年は、“リーダーは全軍の先頭であれ”との経営哲学をここで習得されます。

その後、ご結婚、3人の子宝にも恵まれ、幸せ絶頂の時期を過ごされます。

そんな小川社長に、思いもよらぬ悲劇が襲います。2001年、店舗兼住宅が火事に見舞われ、最愛の奥様・長男・長女・次女を亡くされます。

絶望の淵、これだけのことが起こったのだから店を閉めても致し方ないという声、焼け跡から唯一残った“和た与”の看板を再建して欲しいとの声が錯綜します。周囲が落ち込む中、自分が頑張らねば!と小川社長は奮起されます。

翌年3月12日の開店へ向けての道のりは決して平坦なものではありませんでした。大借金を背負い、23時に寝て1時30分に起きる生活、心も身体も限界でしたが、ここで負けたら亡くなった家族に合わせる顔がないとの思いで踏ん張られと言います。

再建後は、拡大路線を目指すのではなく、日々一生懸命過ごすことを大切に歩まれます。

何年か経ち、少し日常に落ち着きが戻られた折、地元商工会議所の青年委員代表をされることに。ここで、地元近江八幡にてトライアスロンを開催する計画が持ち上がります。地域の道路を競技会場として使用するトライアスロンの開催がいかに険しく大変なことかを知らずに始められましたが、関係各所やスポンサー集めに駆けずり回り、無事第一回目を開催されます。3回目を迎える今期からは、エントリー応募初日に定員が満員となる大会にまで成長。

2001年の火事の際には、何で自分にこんな不幸が起きるのかと、運命や周囲を恨む日々が続いたとのことですが、火事を経て、自分・そして会社はいかに地域に支えられ助けられてきたかを噛み締められたとのことです。

今は、地元近江八幡を元気な街にするために、自分にできることは何でもしたい。一人でも喜んでくださる人がいるのなら、進んで手を上げて取り組みたいと仰られました。

「人は人の為に生きてこそ人。」

和た与小川社長のご報告は、心深くに届く経営者の覚悟・信念でした。

記 家倉敬和