滋賀県中小企業家同友会北近江支部8月例会が21日(火)18:30~21:00までワコホテル グラツィエで行われ29人が参加しました。「会社は人格を育てる~経営者に必要な社会の為の人間教育~」をテーマに、田中康博氏(株PRO-SEED 技術顧問)より大日本スクリーンで技術部長・彦根工場長・事業部長・社内カンパニー副社長を歴任された経験と教訓に裏打ちされた、仕事観・人生観を熱くお話しいただきました。
田中氏は工場長時代に「20代は基礎的仔細な技術・知識習得の時期。30代は全体系を捉えられる視点を育てること。40代には判断力・決断力を身に付ける。50代には感と閃きが冴えるので、次世代を育むことに努めることだ」と若手エンジニアに言い続けてきました。特に20代で取得した知識量がその後の技術者人生を左右する。さらに、本質を見抜く力を付けるために、専門以外の知識を吸収することを強調されたそうです。
物事を成就させるためには、人の強い意志が必要。技術者も数値と理論だけでなく、必ず出来るという想いを込め、身命を賭して誠心誠意に努力せよと。もうダメだと思う気持ちがダメ。もうダメだと思う時、実は90%は出来ていることに自信を持ってほしいとも。
高慢にならず、堕落せず、達成することよりも維持する努力が重要だとも。
自分自身、2期連続赤字の工場を任され、先輩にあれこれ質問した時「やればわかる」と言われたことに発憤。自力で現場に入り調査分析し問題点を洗い出し、社員に夢と希望を与え、半期で黒字転換。在任中は連続黒字を達成。この経験から、人は認めて褒めて、未来を共に創るという一体感が生まれた時に、本気で動くことを実感。個々人が今日会社に行くのが楽しい、仕事が楽しい、毎日が健康で明るくて陽気、そういう組織になれば自ずと成果が出る。「経営者はそのような場の提供と人材育成をすることが仕事です」と強調。
最後に、会社とは仕事を通じて人格を高める場。人格とは世の為人のためという正しい心から成り立つ。経営者が社員にそのような場を与えるために、「自分の嫌いなものが自分を護ってくれて、自分の好きなものが自分を滅ぼす」ことをよく心得ていただきたいと、胸に刺さる問題提起をされました。
グループ討論では「仕事を通じて人格を高められていますか?あなたの会社はそのような場となっていますか?」を討論。68歳とは思えないパワーのある田中氏のご報告に、参加者からは「失敗の経験が大切。そこから何を学ぶかという前向きなお話に勇気がわいた」「もうダメだと言うときには90%は出来ていた。あと10%身命を賭す努力を積んで成功したというご経験に共感した」という声が寄せられました。(M・H)