滋賀県中小企業家同友会北近江支部2月例会が19日(火)午後6時30分から9時まで北ビワコホテルグラツィエを会場に、同友会会員、会員外の経営者含め42人が参加して開催されました。
報告者の松井慎志さん(株式会社 真ごころ 代表取締役・滋賀県中小企業家同友会北近江支部運営委員・経営労働委員)から、「何のために経営していますか?を追い続けて。~ 社長が変われば、会社が変わる。~」をテーマに独立創業から同友会と出会い、経営指針を創る会での学びと自己変革そして実践による会社の変化を概要以下の通りご報告していただきました。
==松井さんの報告概要==
大学卒業後、市役所に勤務されていた松井さん。
平成17年に老人ホームの事務員に転じ、デイサービス事業に従事していました。
デイサービス事業で、施設利用者さんが笑顔になり、満足できるようなそんな施設を目指して一心不乱に働いていました。
しかし、会社からは売り上げや利用率向上のことをいわれます。
そんな中で、自分自身がやりたいこととの乖離が生まれ始め、いつしか埋める事が出来ない溝に。
また、当時の職場のある人から言われた一言が松井さんの独立心に火をつけました。
その後独立し、平成24年に長浜市湖北町今西に株式会社真ごころを設立。
利用者さんに満足して頂くために、施設運営を開始します。
理想の施設を目指し、昼夜・休み関係なく働き、その甲斐あって、2年半後には会社は軌道にのります。
しかし、そんな最中に介護保険法の改正があり、この法改正により売上は減少に転じ、経営不振に陥ります。平成27年、松井さんが37歳のときでした。
会社経営への自信を少し失いかけていた平成28年、所属していた他の経営者団体の祭りの懇親会で、ある同友会の仲間と出会います。
その場で意気投合し、話題はいつしか経営の悩みの相談になっていました。
そこで同友会を紹介され、例会にもゲストで参加し、即入会されました。
そしていくつかの例会に参加するうちに、経営理念や指針の重要性に興味をもち、「経営指針を創る会」(以下・創る会)に参加しました。
松井さんは創る会で自分と向き合う中で、たくさんの事に気付かされます。
『なんの為に経営しているのか?』という先輩経営者からの問いかけにも頭が真っ白に。
もしかしたら、前職を退職する際にある人から言われた屈辱の一言への反骨心で、松井さんは経営をしていたのかもしれません。
6ヶ月の月日をかけ、しっかりと自分と向き合った結果、少しずつ経営する意味が分かり始めました。
経営理念をつくりあげ、魂のこもった経営指針書はついに完成しました。
去年の4月には、従業員さんたちや経営者仲間の前で指針書の発表会もしています。
従業員さんからは、『目指す道がはっきりして良かったです』などの声がありました。
そして経営指針書完成後、様々なことに取り組みます。
理念唱和朝礼に始まり、研修会議、クラブ活動、補助金を活用した技術スキルアップによる賃金改善、交流事業、社員誕生日会の開催など多岐にわたります。
また、経営指針書自体の見直しも半年後に行い、修正をする徹底ぶり。
以前は自分がやらないと動かないと思っていた仕事や会社も、いまでは任せることでやりがいを感じてもらい、利用者さんへのサービスも向上し、結果として施設利用者が増えました。
利用者さんからは、『真ごころさんはいろいろやってくれるから、嬉しい。』『真ごころさんにいきたい』と嬉しい声があがり、たくさんの方に選んでいただける施設になりました。
『最近会社をほめていただけることが増えた。それがうれしい』と松井さんは言います。
松井さんの報告を聞いて、しっかりと自分と向き合う時間を持つこと、経営指針書づくりに取り組むこと、経営指針書を社員と共有すること、行動にしっかりと移すことなど、それらを実践する情熱や行動力の大切さを感じることが出来る、とても素晴らしい実践報告だと思いました。(記・(株)エース産業機器 荒木順平)