滋賀県中小企業家同友会

支部活動について-北近江支部-

人が夢中になる環境を創造する~北近江支部3月BIG例会~

北近江支部 例会レポート

滋賀県中小企業家同友会 北近江支部BIG例会
2019年3月8日(金)18時00分~20:30 北ビワコホテル グラツィエ
テーマ「人が夢中になる環境を創造する ~滋賀を元気に…滋賀から日本を元気にしたい~」
報告者 株式会社滋賀レイクスターズ 代表取締役 西村大介 氏
参加者 72人


報告のポイント
・京大アメフト部を大学として初めて法人化。
・バックボーンは指導者という立場であり、経営者としては1年というキャリア。
・大手損害保険会社勤務時代に「何で生きているのか」、「何で働いているのか」で悩み、うつ病手前までいった。
・大学時代は、アメフトで日本一になるから生きていると自信を持っていた。
社会人時代は「何で」という哲学的な悩みが付きまとい、お金のため、偉くなるため、会社のため、社長になったら何がしたい…?という事に悩み続けた。100人以上に聴きまわっていたが、誰からも答えが得られなかった。
・その中で2人との出会いに影響を受けた。1人は保険代理店の人であり、本当にイキイキしている。人格者でもあり熱狂的な阪神ファンであった。また、もう1人(女性)も仕事が出来て人間的に素晴らしい。浦和レッズの話になるとボルテージが上がってイキイキする。
・この2人との出会いによって、「夢中になっているとイキイキ」している事に気づく。
・つまり「夢中を創る」(吾人の任務)Mission Statement の重要性。
・夢中になる環境を世の中に提供し、そこで生まれる成長をもって、社会、世界、日本に貢献する。
・スポーツに関するNPO団体は2000あるが、たった2団体しか黒字化していなかった。
・その後、株式会社グロービスという会社で、経営コンサルとして仕事をしていた。
・京大アメフト部員3人が重大事件(準強姦罪)で逮捕された。西村彌一さんというカリスマ監督の教育方針は素晴らしい。しかし、同じ監督でも言う事を理解できない学生が生まれる。監督は年を取るが、大学生はいつも同じ年代であり、毎年・毎年年齢のギャップが広がっていく。
・水野監督は「当事者となれ」という。新橋で会社の愚痴、社会の愚痴、時代の愚痴を言わない。それを作りだしているのがお前自身である。
・キャプテンに対して「なぜ負けた」と言われたら、「すべては責任者であるキャプテンのせい」。勝ちも負けも結果に全責任を負うのがリーダー。平社員であってもリーダーである(当事者)という意識を持つ。
・水野監督は非常に素晴らしいが、学生との年齢のギャップが発生してしまう。そこで、その間に入り通訳の機能を持つ人が必要となり、西村氏がその役を担った。


・水野監督に2年間だけお手伝いするという想いで、その後はアメリカでMBAを取っていきたいという考えであったが、水野監督の巧みな戦略?によって京大アメフト部を支える立場となった。
・コーチはボランティアで給料は出ない。「国立大学部活のみかた」(就活支援)、放課後自然塾「でいだらぼっち」(学童支援)などの事業も展開した。
・京大アメフト部を復活させていくにあたっての基本的な考え方として
目的:社会をリードする人材の輩出
目標:日本一
手法:一番の学びはロールモデルに会う事。(社会をリードする人に会う)
・京大アメフト部には、スポーツ推薦枠が無い。まあまあ優秀な人(勉強もスポーツも)に英才教育をする。
・アメフトは平均45名が試合にでる中で、京大アメフト部員が少ない時は60人弱。西村氏がコーチを始めた頃は60名であったが、辞める時は200名にまで拡大した。
・「まあまあ優秀なやつ」を獲得するにあたっての、基本的なターゲットについて考えた。アスリートは集まらないが、「地方にいる、エースで4番、生徒会長」のような人財。京大アメフト部に入らないかと口説いてもなかなか成果はあがらなかったが、彼らの思想は非常にグローバル思考であった。
・リーマンショック以降ニュースやテレビで「日本はもうあかん」と言われていた時代なのに、当事者意識が高い(=僕が何とかしないといけない)。そのような人財にグローバルな意識をもたせる。
・アメリカ武者修行(30人程度)。ハードルの高いMissionで1年生にそれぞれ違う大学に武者修行に生かせる。1年生は神様、4年生は雑用係。普通であれば1年生は奴隷という立場であるのに。
・キャプテンがトイレ掃除を担当する。キャプテンが率先垂範することで、ここぞという時にチームメートが頑張ってくれる。


・最終意思決定はキャプテンが持つ。
・人生の闘いは、常に強い人、早い人に分がある分けではない。いずれ早晩、勝利を獲得できる人は、
「私はできるんだ」という考えを持っている人。
・今まで日本で求められていた人材は、企業戦士や、ミスなく作業するサラリーマン。
・リーダーは「自己効力感」(エフィカシー)を持っている人。自己肯定感(=自分大好き)。根拠のない自信(俺できるかも)。一番エフィカシーが高まるのは試合に勝つこと。
・気を付けている点は、時代の変化に合わせて教育も変化すべきという点。
・時代の変化とは価値観の変化。
世代別ヒーロー
・かっこいいヒーロー像が世代によって違う。世代によって価値観が違う。
さらに時代の変化は速くなる(ヒーロー編)
ルパンレンジャー、パトレンジャー、敵など主人公が複数いる。仮面ライダービルド。
三国志の世界(価値観の違う中で)

・次の10年の時代の変化。人口減少、少子化。外国人労働者、環境・機構の変化、ITの発達、シンギュラリティが迫っている。
・2020年には入試が変わる。
・英語4技能、アクティブラーニング(教える、教えられるの双方向)、プログラミング
・英語は不要になる(ほんやくこんにゃく的なモノができる)
・時代が早く変わる中でどう接していくのかが重要になる。
・レイクスで何をやるのか?という理念が重要である。
・バスケは全世界競技人口ナンバー1。4.5億人の人が競技している。その理由は女子もあるからであり、通常はサッカーがナンバー1と考えられがちだが、女子の底辺が狭い。
・バスケ時代が来るのが目前である。その理由としてNBAプレイヤーである渡邊雄太さんの活躍。NBAドラフト一巡目で注目されている八村塁さんなどの存在が大きい。
・企業家たちもBリーグに興味を持っている。
・チームとして抱えておかなければいけない選手数は、野球=70名。バスケ=13名。Jリーグ30名。競技会場として体育館はメリットも大きく、天然芝が荒れるので30日しか使用できないJリーグスタジアムに比べて、Bリーグのスタジアムである体育館であれば朝も昼も夜も365日複数の事業やイベントや試合がこなせる。
・滋賀県にはJリーグが無い。全国にJリーグが無い県は9県。Bリーグは以外と可能性が高い競技。
・滋賀県にスポーツのプロチームがある。その結果地域活性が可能である。
・びわ湖アリーナ(仮)構想。関西に駅から近い5000人以上収容できるアリーナは大阪城ホール以外にはない。経済的な機会損失が大きい。5000人~10000人の規模感のあるアリーナが欲しい。
・レイクスターズは、売上5億。
・トップ人件費(選手年俸)が高いと相関関係でチームも強い。お金持チーム=スポンサー収入が高い。
経営理念「滋賀に夢中と誇りを滋賀から日本を元気にする滋賀から世界へ」
・理念の具体化していく必要がある。(強いチーム、勝つチーム。地域社会の課題解決。人間力)


【強いチーム】
・強固なディフェンスとボールへの執着心。有望な若手を発掘し、ハードワークで日本代表を育てる。
・強いチームはお金持ち=オフェンスに力を入れる。だから守備で対抗していく。
・若い選手(地方にいる、エースで4番)を集めて育てる。レイクスなら試合へ出場できる。

【地域・社会の課題解決】
・障害者支援、環境、教育、啓発
・障害者支援としてユニバーサルマナー。
・障害者からリオ五輪は評価。リオの人は陽気。障害者に対して割と簡単に支援してしまう。アジア人は恥ずかしがりで支援ができにくい。
・ファンも含めてユニバーサルマナー検定などの試み。
・環境活動としてクリーンウォーク。
・滋賀県は全国学力テスト47位。「滋賀はあかん」と受け止めてしまうとまずいが、滋賀県民はあまり気にしていない。しかし最下位グループの沖縄県民は非常にマイナスイメージを持っている。
・レイクスマガジン、キャラバン、レイクスドリルなどの活動。
・啓発とは情報を発信する事。
・ピンクリボン、ブルーサークルGAME
・オレンジリボン、ブルーライトアップ

【人間力】
・人財育成・輩出しNBA選手を育てたい。
・シーズンスポーツスクールでバスケ以外にもいろいろと経験し、自分に本当に合ったものを見つけてもらう。本当に夢中になれるスポーツの可能性を広げたい。
・バスケで英語を学ぶという取り組み。コーチが外国人であったとしたら、上手くなるためには英語を聞き取らなければいけない。目的としての英語ではなく、手段としての英語。
・バスケファン=ブースター(ブーイング)と呼ばれる。観客と一体となって戦うスポーツ。ぜひ応援に来てもらいたい。
・全ては滋賀のために。

【質疑応答】
・スポーツで「しばいて、無理やりやれという指導」は、指導者の教え方のレベルが低いから行われる。
・2018年にスポーツ界で話題になった問題のほとんどの理由が、ボクシング、体操、レスリング全て指導者が変化していない事によるもの。
・体育会系、スポーツの世界が変わりにくいのは、強烈な先輩のお陰でこの業界があるという感覚で今まで来てしまっているから。体育会系やスポーツに対して過度な期待を持ち過ぎてしまっている。昨年のスポーツ界の問題は、スポーツ界が変わるきっかけになる。
・夢中になるコツ。職場でも非常に難しいですが、成長を実感させる。成長は人生最大のエンターテインメント、本人は気づいていない部分を褒めてあげていく。
・勉強合宿で一日16時間勉強すると、非常に苦痛になる。でも最後には楽しかったとなる。できなかった問題ができるようになる体験は大きい。


・仲間を作る。しんどい時こそ仲間がいると一緒に戦っている感ができる。仲間がいると乗り切れる。
・本来は一人であるが、意図的にビンゴなどでチームをつくってあげる。
・京大に来る人の2割が鬱になる。京大の体育会系の部活に入っていて1割5分が鬱になる。今まで優秀で来ていたが、自分以上の人間が多く、試験問題は勉強して解けるようになっているが、答えの無い問題に直面した時の対応力が非常に乏しい。つまり失敗をしてきていない事が大きな弱点となってしまっている。暗記や計算は、全てインターネットで調べれば直ぐに解決する。
・学校は時代が変化しているが、全く変わっていない業界。2020年の教育改革によって今までの指導方法が完全に否定されてしまう。より生きていくための能力を学ぶ場に変化しなくてはいけない。(記録 松尾)

このあと、報告者の西村氏を囲んで懇親会を行いました。学んで実践しよい企業と地域を創る。滋賀県中小企業家同友会は仲間を募集しています。あなたも「社長の学び場」同友会へ!
《社長の学び場》https://shiga.doyu.jp/manabiba