滋賀県中小企業家同友会

支部活動について-北近江支部-

経営理念の追求は、社員共育と正しい利益計画の実践から~北近江支部10月例会ご報

北近江支部 例会レポート

滋賀県中小企業家同友会北近江支部10月例会は、10月17日(月)午後6時半から9時まで北ビワコホテルグラツィエにて「「経営は逆算」で数字に強くなる~社員と共に伸びる会社へ~というテーマで株式会社大兼工務店 常務取締役 宮本正和 氏より報告頂きました。

当日は、会員企業24名、会員外企業のゲスト参加1名の計25名の方が参加され、宮本氏の報告に熱心に耳を傾けられると共にグループ討論においても熱い議論が交わされ大変盛況な例会となりました。


宮本氏は近江商人の末裔という出自で、1級建築士、2級建設簿記、ほめ達検定1級等数々の資格をお持ちで趣味は献血と非常に情熱的で活動的な方であり、今回の例会報告からもその人柄がよく伝わってきました。

株式会社大兼工務店は「お客様の生涯利益を実現する笑顔と「ありがとう」を集めよう」を経営理念とし、お客様の「ありがとう」を集め、誰からも必要とされる人財となるための社員共育を実践されています。その根幹には近江商人の教えがあり、特に「片手に論語、片手に算盤」、「凡事徹底」の2大精神が経営理念を浸透し実践する社員の心の拠り所ということです。

実際に取り組んでおられる社員共育ですが、社内木鶏会、ほめ達検定の全社員合格、滋賀県内の清掃活動、初任給授与式、ニュースレターの発行、夏祭りの企画運営等様々な社内研修を行われ、社員個々の特性を知り、前述の人財となるための人間性を高める人間学として取り組んでおられます。

更に近年では社員全員が数字に強くなる、経営の感覚を身に着け、経営の理論を学ぶ場として「だいかねMG道場」という社内MG研修を行い、これを時務学として熱心に取り組んでおられます。宮本氏曰く、「だいかねMG道場」を行うようになってから全社員が売り上げではなく、利益に目を向け、個々が考え実践することで安定した黒字経営につながってきているとのことでした。これもMG研修を通して「初めに利益ありき」という考え方を学び、実際の事業計画の立案、実行をされているからだと思われます。

本例会では宮本氏によるMG研修のデモンストレーションが行われ、例会参加者全員がこれに参加し、皆様、宮本氏の話を興味深く聞き入っておられました。

グループ討論ではテーマを「なんのために売上を上げていますか?なんのために利益を上げていますか?」とし、短い時間ながらも皆様、熱い議論をされていました。

本例会は宮本氏による株式会社大兼工務店の社員共育の実践報告ということでしたが、同時に同友会が推進している経営理念を重視した指針経営の実践報告でもあったように思いました。

「人間学」と呼んでおられる研修は経理理念の「社会性」・「人間性」、時務学と呼んでおられる研修は「科学性」を考える場。そのような場を設けることで全社員が経営理念を抽象的な概念としてではなく具体的実務的な実践課題として考えていることに非常に感嘆しました。
またグループ討論において「なんのために利益を上げるのか?」を共に考えることで、私を含め参加者の皆様が、今一度自社の経営理念、指針経営に関して考える機会になり、本例会は非常に中身の濃い良い例会であったと思います。(記 草川雄一)

ご参考に、同友会における「利益」の定義を紹介いたします(2016年第8回理事会で報告)。
◯中小企業家同友会の考える利益とは
1)共に働く社員の「生きる・暮らしを守る・人間らしく生きる」ことを保障し
2)社会に貢献する企業であり続けるという理念の実現を目指していくために
3)労使が一丸となって最適な目標を立て、追求し生み出していくもの
であると考えます(「中小企業における労使関係の見解」の具体化)。
利益は経営理念実現の手段の一つですので、労使が一体となり、自分たちが生きる「砦」である企業経営を確かにするために、健全な黒字経営を目指すことが可能となります。逆に言うと、経営理念実現のための利益確保は、重要な目標の一つとなりますから、そこそこ黒字ならOK程度の利益観とは無縁です。
「何よりもまず社員の幸福を経営の中心に置く」経営理念実現のために必要とされる利益追求は、同友会企業らしいやり方で最善の努力と結果を求められます。