滋賀県中小企業家同友会

支部活動について-北近江支部-

社長の資質は「熱い想い・統率力・共感力」北近江支部7月例会

北近江支部 例会レポート

滋賀県中小企業家同友会北近江支部支部(支部長 青柳孝幸 (株)PRO-SEED 社長)は7月例会を概要以下の通り開催しました。

報告者:株式会社 渡辺工業 代表取締役社長 水野 透 さん
テーマ:「お客様にとって一番便利な会社を目指す~指針経営を実践し「選ばれる会社」へ~
参加者:42名

青柳支部長より開会挨拶のあと、新会員さんと、会員外からのゲスト参加者を紹介しました。

例会初参加の新会員さんご紹介
(社福)ひかり福祉会 常務理事 川崎 昭仁さん
(株)ワークプラン 代表取締役 西川 恵美さん
彦根ゲストハウス淡夢 代表 古澤 ちひろさん

例会ゲスト参加者ご紹介
(医)おぐりクリニック理事長 小栗章弘さん
上田興産(株)常務取締役 上田勝樹さん
中三津自動車工業代表 中川隆司さん

水野社長のご報告概要

会社説明 売上高 中国展開の現状

2000年 労働組合が上部団体に加入し、激動が始まる。
業績悪化による賞与減額や銀行による融資日当日キャンセル等苦しい時代でした。
水野社長自身も、役員にはなるが、給与は下がると言ったマサカを体験しました。
粉飾決算や団体交渉で組合に対する「方便」などカケヒキ等に疲弊を感じ「自分が社長になったら絶対に社員に嘘をつかないか経営をしよう」と決意。労組との団体交渉などの実例を元に話が展開され、現在の同友会メンバーでは未経験の経営者が多く、唾を飲み話に聞き入りました。
2005年 代表に就任します。
「オーナー以外が社長になっても倒産するだけ!」
「下手くそな営業」
と言われ、
「幹部連中の集団退職」
するもとで、当時の水野社長は、怒りのエネルギーで活動を行いました。
水野社長 曰く、「運のよさ」と表現されたが、お話を聞く限り「それすら導く様な動線づくり」を行われていた気がします。この時点で、水野社長の特筆すべき能力は「動線づくり、いわば仕組みづくり」では無いだろうかと思いました。

膿を吐き出す

粉飾まがいの決算や社員に対するオモテウラ等、一切吐き出し、全てをクリアーにします。
不要不急の支出を徹底的に減らしことを断行しました。(新聞や会長のロータリー会費にまでにもメスを入れたそうです)
また、オーナー社長では手がけにくい、借地代に関しても、粘り強く複数年かけ、相場相応の額にまでこぎつけました。
無駄な支出を徹底的にカットすることで、短期間に黒字転換したそうです。

求心力

現場を識る幹部が自分だけになりました。これを運のよさと表現し、労組との関係も良好になり、徐々に会社組織が一つになり始めました。すべての作業を社長自身が行い、それが一番早く、そして確実であったのですが、一人で出来る限界や利益構造を考え、会社として次の成長を考え始めました。そんなとき、滋賀県中小企業家同友会へ自ら電話をし、「社長とは何をするのか?」を学びはじめたそうです。

運命の言葉との出合い

同友会の新春例会の記念講演で「本当にお客様が求めていること」この言葉と出合い「進化/転機」が訪れました。「少し高いけど便利」と言われる会社を目指します。
しっかりと利益を主張し、長期的な設備投資ビジョンを構築します。
お客様様目線で「ライン直結」で部品を供給するビジネスモデルを提案。月10万円の取引から始まり、いまでは1億円になり、飛躍的な成長の足がかりとなりました。

社員は幸せになりたい。

社員は何のために働いているのか?社長の思いは、書いて、見せて、説明しないと伝わらないと強調。どんな会社にするのか?この熱い思いがいちばん大事とも。
また、統率力や共感力の大事さも、自身が社長室に籠もらず、社員と同じ目線で仕事をしている現状や「任せる!」という怖さや損失を毎日イライラドキドキしながら見守っている心の声も吐露されました。

最後に、トップとしての心持ち「普段に追われず、未来を考えること!」との言葉。この言葉には耳が痛い経営者が続出であると思われます。かくいう私もその一人だが・・・私自身も立派な言い訳が有る「俺がやらないと!」「俺しか知らないんだ!」しかしそれは、自身のみに使えるいいわけであり、お客様や社員を真剣に考えれば、社長は忙しいから・・という同情は、決して評価ではありません。例えが古いが、警察の本望は、きっと税金泥棒なんて揶揄される程「暇である=平和」では無いだろうか?
社長が忙しいのは日常です。それを悟られるのは、自身の管理不足=管理下手を世間に知らしめていると痛感しました。

水野社長は一見、琵琶湖湖面を優雅に泳ぐ、水鳥のようなスマートスタイルですが、その姿勢の裏に隠された何かは、「僕は図々しい」と表現される自身像のように、決して揺るがない信念があるのでしょう。
熱い思いや未来へのVISION。そして社員への思い。すべてを抱き抱えてなお、余裕のある(そぶり?)姿を見せる。これこそ経営者の姿だと思いました。

グループ討論
「会社を継続して発展させるために、経営者としていちばん大切なことは何でしょうか?あなたはそれを実践できていますか?」

各グループ、集中したディスカッションが出来たと思う。
理念、利益、熱意、ヒラキナオリ
提案、正直、柔軟性、誠実さ、前向き、熱意 社長力=人間力
お客様への安心、継続、入社したい自社、長期ビジョン、コミュニケーション能力
ぶれないアイデア、情報発信力、家族を幸せに、成長と発展の違い
社員を守る、切らさない仕事、視野やアンテナを広げる、ビジネスモデル、諦めないこと。

など、各班から発表されました。
どれも、前向きな力が含まれた言葉でした。

同友会ならではの「前向きに、力をもらえる瞬間」を体感できました。
水野社長の「未来を考える」本来の社長業を遂行するためには、今日から、今この一瞬からはじめなければイケナイと強く思います。

この例会に参加できたことは、未来の自分が感謝することだろう。

8月例会の案内(水野さん)

銀行サイドからの経営者スタイル。
7月例会とあわせてセットで考えるには最適の一ヶ月間と思う。
8月例会まで、毎日「未来」を考えて、自分なりに「未来を想像してみる」
きっと8月例会では、より具体的な一歩に変わる気がする。

と き:8月22日(月)18:30~21:00
ところ:北ビワコホテル グラツィエ
講 師:鍋山明嗣氏 日本政策金融公庫大津支店 中小企業事業統括
テーマ:「金融機関が見る経営者の責任」

懇親会(然や)

18名の参加、水野社長の裏話や近況報告を踏まえ、楽しく、熱い時間を過ごせた。PROCEEDの社員さんも参加してくれたので、若い社員の考え方や言葉も貴重な体験となりました。

(ひばり観光バス株式会社 代表取締役 山崎 識 記)