滋賀県中小企業家同友会

支部活動について-北近江支部-

北近江支部9月彦根地区例会~中小企業だからこそ必要な生産成向上の取り組みに学ぶ~

北近江支部 例会レポート

滋賀県中小企業家同友会 北近江支部・9月彦根地区例会 報告書

北近江支部9月彦根地区会が2019年9月19日(木)18:00~20:40まで彦根市勤労福祉会館たちばな 第三会議室において株式会社ワークプランファクトリー竹本正明氏をお迎えし、『大企業で培った業務改善を第三次産業と中小企業に向けて』~業務の見える化から改善の流れ~と題して参加者15名で執り行われました。

竹本正明氏は 京都府出身 60歳 日本電産にて11年間、HDD用モーターの開発試作~生産に携わり、その後、長浜キャノン・キャノン本社等で、トヨタ生産方式現場改善トレーナーとして業務改善・協力企業教育等に熱心に取り組まれ定年退職を迎えられました。

本年平成31年1月より、株式会社workplanfactory製造事業部本部長として勤務される傍ら、株式会社ワークプラン コンサルティング事業部にて、滋賀モノづくり経営改善インストラクター、トヨタ生産方式現場改善トレーナーとして長年ご自身が大企業の業務改善に取り組まれたその経験やノウハウを生かしつつ地元滋賀の第三次産業や中小企業の業務改善にもその企業にあった形で取り入れ活用できるではないかと日々ご尽力されています。

実践事例も交えながら業務の見える化から改善の流れをわかり易く報告していただきました。

物つくり現場の生産性向上に向けてのインストラクターの役割は現場の能力構築の支援にある。コスト軽減の為の改善の兆候を観察し見逃さずにとらえ原因を探って対策を一緒にとることである。
物の流れと情報の流れをわかり易く見える化しやってる人だけではなく全員がわかるようにしてどこに問題や課題があるかを探り明らかにして対策をとることである。
*ムリ・ムラ・ムダを省いて生産性向上に。
何に対してムリ・ムラ・ムダかと判断するには業務・作業の基準を決めることが必要になる、作業の基準いわゆる作業の平準化がトヨタ生産方式の大前提であるといえる。
*改良の手順

工程改善:工程をなくすや順番を変えるなど→作業改善:単位作業の改善→設備改善が大事で工程や作業のムダをなくしてから設備改善をしないとムダな作業も自動化することになってしまうからだそうだ。
*見える化・仕組化・標準化
見える化とは現状の姿、状態をわかるようにすること。問題のありかがわかること。正常なのか異常なのかが全員がわかるようにすること、情報共有をする事。
仕組化とは、問題分析から改善までの仕事の流れや手法の構築。PDCAのサイクルを回せるようにすること。
標準化とは後戻りしないために改善した内容を基準化し、また内容を横展開していく。
こうして構築されたものを基準として細かく管理チェックを入れていくことで問題点が見いだされていくそれが課題となり改善・実行されるというPDCAのサイクルをどんどん回していくことになるのである。
*大企業から中小企業に向けて
3定管理:定品定置、決まった品物を決まった量、決まった場所に置く。それを色分けするしこれを標準化する。在庫の量を決めそれを超えた在庫は異常だと誰が見てもわかるようにする事でムダがわかるようにしたり、バッチ生産から一個流生産にかえ標準作業を決め毎日の作業監査をすることで生産性が向上し不良品が減って品質も向上しクレームが激減した。当初は従業員からの反発がかなりあったが、メンタルケアとの両輪によってまずはやってみるという雰囲気ができ、実際に生産性や品質の向上によりクレームの激減など実績を感じるとより積極的に取り組めるようになった。
*第三次産業へ
現地現物、現場に足を運んで現場で何が起こっているのかを見える化すること。
標準化、基準がないと正常なのか異常なのかがわからない。これを決めると問題が見つけやすい。標準化しやすく誰がやっても同じくでき共通認識ができる。これが製造業に根ずく考え方である。
第三次産業の課題は、人材確保の難しさもあり人件費は上がっていくのに売る上げと利益が伸びない。そこで最大のムダである在庫削減で商品回転率を上げ常態化している残業を削減し鮮度をあげ売り上げ等の改善のつなげたいと考えていた。それは製造業の課題と同じであった。
陳列、欠品、レジなどを、製造現場目線で見ていくとどんどん改善項目が見えてきた。在庫管理も発注ミスや発注基準が決まっていなかったりと標準化されていない項目が見えてきた。そう見ると製造メーカーのやり方で十分やっていけるのである。
バックヤードの配置や動線も同じように標準化することで対応できる。
今はまだ取り掛かっている最中ではあるが必ず改善はできると確信しておられました。

*業務改善は
作業や動作は繰り返しにしないと改善できない。やるたびに順番が違うと改善できない。
仕事の流れや動線を考えたときの机や物の配置、道具の置き場を考え直してみるだけでも改善されることもある。
業務改善への反発。今までやり慣れていたことを変えることに抵抗があるのは当たり前だが慣れていることと効率の良さとは違うことを対話も含めて作業していく中で業績が上がることが実感できると反発も収まっていく。

*グループ討論の中で
業務改善というとすぐに設備改善となりがちであるが、まずは今してる作業がそれで良いのかと見直してみることが大切であることが分かった。
事務仕事一つに於いても、その仕事に本当にかかる時間はどれくらいなのか、一つの案件にかかる期間は平均何日くらいなのか、という標準的な時間のスケジュールプランを持つことで進捗状況を見える化し、それによって定期的にチェックを入れることができ、そこまでできているのかできていないのか、なぜできていないのかと問題点を見つけそこを改善することで、標準的な時間に近づけていくというPDCAのサイクルができそれが製造業に捉われない業種での業務改善につながるのではないかという意見でまとまっていった。
(記録 古澤)