滋賀県中小企業家同友会

支部活動について-北近江支部-

北近江支部10月例会「サラダパンの正体~クセのある商品を作り続ける覚悟~」を開催しました。

北近江支部 例会レポート

2020年10月20日、北ビワコホテルグラッツィエにおいて、北近江支部10月例会を開催いたしました。今回もZoom会場も設営するハイブリッド例会として開催しました。参加者は計30名でした。

冒頭、小田柿喜暢北近江支部長(大洋産業株式会社代表取締役社長)より、「中小企業家同友会全国協議会の役員研修会に参加してきました。そこで、目標達成を全社一丸で取り組むにはどうすればよいかという議論になりました。その中で「意識しよう」では伝わらない。もっと具体的に伝えないと行動に変れない、ということを学びました。同友会でも学びあい活動と仲間づくりにその考えを生かしていきたいと思います。」とご挨拶がありました。

例会でのご報告は、いまや長浜のソウルフードとなり、全国区で話題沸騰中の「サラダパン」を製造されている有限会社つるや専務取締役の西村豊弘さんです。「サラダパンの正体~クセの有る商品を作り続ける覚悟~」というテーマでご報告いただきました。

以下、概要をご紹介いたします。

進路相談の時に特に会社を継いで欲しいと親から言われず、大学進学で地元を離れ東京に就職してから地元に戻って来て14年になります。

会社は、1951年に祖父が創業し69年目になります。パンの製造だけで経営出来る様になったのはここ 10年くらいです。創業者の祖父は法曹家を目指していましたが、戦後の憲法改正で帝国憲法から日本国憲法に大きく変わる狭間で一から勉強しなおすのは金銭的にも難しいと判断し、給食パンの普及を見越してパンやを志しました。

1960年、甘いパンばかりで塩気の有るパンが欲しいとの要望から、キャベツとマヨネーズの 「サラダパン」を作り始めました。

1961年 サラダパンを買って翌日の朝ごはんにしようとしたお客様から傷んでると苦情があるなどしました。日持ちしなということで、製造を中止しました。

1962年 キャベツからたくあんに変更して再販するも不人気でした。しかし、コアなファンの皆様がおられましたので製造を続けました。

1977年 ヤンマーに残業パンの納入開始しました。

1983年 ヤマザキパンを仕入れて販売をはじめました。

1990年 電気トンネルオーブンからガス窯に変更しました。
電気トンネルオーブンの方が大量生産に向いていましたが、ガス窯の方が仕上がり良いので、導入しました。
1993年 父がスーパーにパンを卸す決断をしました。

2004年 全国ネットの地域にスポットを当てたテレビ番組で、地元のソウルフードとしてサラダパンが紹介されました。

2006年 骨董品を鑑定するテレビ番組でサラダパンが紹介されました

2007年 本店のヤマザキパンの看板を、念願だった「コッペパン」の看板に変更しました。

2009年 法律相談系のテレビ番組で、有名タレントが面白いくらいに「酷評」していただき、全国に評判広がりました。
また、滋賀県出身のミュージシャンが「ロックフェスでサラダパンを販売する」と、突然の宣言されました。その当時は一日1000個しか製造できず、期待していただいた多くのお客様にご迷惑をおかけしました。

2015年 ホームページを開設しました。サイトの目的は湖北まで行く労力を掛けてでもサラダパンを食べたい、と思ってもらうというところにありました。

2016年 長浜市内に念願の2号店オープン。サラダパンを売らない、まるい食パンをメインとしたお店です。また、パンの製造工程をお客様に見ていただきたいという想いもありました。

2017年 「木ノ本つるやパン公園」構想をはじめました。


ここから、「つるや」の取り組みや工夫についてお話しします。

・個人のSNSに沢山UPして貰えたら取材に繋がる

・パンにたくあんと唯一無二の存在

・印象に残るパッケージ(インスタ映え)

・長い間作り続ける(思い出のパン)

・30年前に日販30個が2015年には日販3500個。変えながら作っているから、変わってないね」と言って頂ける。

・こだわり

・みんなが「美味しい」と思うパンを作るつもりは無い。変化球が自社らしさ

・県外には出さない

・品質の追求(原価がめちゃ高い)

・一番の広告は商品で有ると信じる

・地元に必要とされる会社

・商品と職人を大切に育てる

・「なつかしい」と言われる為に定期的にパンの味を見直す

ご報告後のグループ討論では、「自社の強みと弱み」について討論しました。

討論では、

・地域が実は自社の強みになるのでは、自社の弱みと思われていたことが、掘り下げていくと自社の強みになっていくのではないか。自社の歴史を振り返ることで強みとなるのではないか。

・商品によっては強みがみえないことがあるが、その場合は同友会でいう経営理念という「価値観」を

強みにしてマーケティングに生かしてもいいのでは。

・中小企業で大企業並みの仕事をしているのが強みだが、キャパシティーオーバーになると弱みに代わってしまう。

・サービス業と製造業では弱み強みが違ってくる。

などなどの意見が出ました。

 

例会の時間帯にテレビ番組でご紹介があるというご多忙さなかご報告いただきまとこにありがとうございました。あらためて感謝申し上げます。