と き:2021年2月19日(金)18:30~21:00
ところ:ホテルサンルート彦根&Zoomミーティングルーム
参加者:25名
報告者:清原大晶氏 株式会社 清原 代表取締役
テーマ:「培った技術を生かし、全社一丸で地域を巻き込んで新市場を創造する 」
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2021年2月19日金曜日 ホテルサンルート彦根、Zoomミーティングルームにより開催されました。
株式会社清原 代表取締役清原大晶氏より『培った技術を生かし、全社一丸で地域を巻き込んで新市場を創造する』と題してご報告いただきました。
湖南支部の会員でもある株式会社清原は、守山市で伝統的和小物「袱紗」全国シェア45%のメーカーでありながら50年以上にわたって培ってこられた技術を生かし袱紗にこだわらず「物と心を優しくつつむ」という合言葉を掲げ「つつむ」と言うキーワードを大切にしながら様々な事業展開をされています。これまでの事業そして今回のコロナ禍以後の事業展開についてお話していただきました。
和装小物としての袱紗は日常使いするものではないことや、百貨店の営業自粛も重なりこのコロナ禍にあって大きな影響を受けていますが、最近では大学等の卒業記念品としての市場が年々伸びており、今後も贈り物、ギフト・記念品として貴重な市場であると位置づけておられます。
株式会社清原は国内縫製技術にこだわり、地元を中心にした職人さんや社員さんを大切にしながら縫製技術を高めていく方針をずっと貫き通したことが高シェア率の一つの要因で、企画・製造・販売が自社でできること、そして社員さんが成長してきてくれたことでデザインンも自社でできるようになり株式会社清原の強みとなっています。
7年前に自社ブランド『和奏(わかな)』を立ち上げられました。
『和奏』を立ち上げた思いは、滋賀県にある企業としてやはり素材も滋賀の物を使いたいという強い思いでした。
豊富な琵琶湖の水と長浜は絹、湖東は麻、高島は綿産地。ひと県で綿・麻・絹の天然繊維がそろう唯一の県です。ですので、地元の地場産業さんと連携した物作りがしたいと清原さんは「和奏」に取り組んでこられました。
株式会社清原のミッションとしてここ3,4年、社員と共に社業を通じて社会課題解決型の企業となるべきではないかと考え進めておられます。そこには地域・行政・市民・各種団体との連携と相互理解が大切で、そこからの信頼を得るとともにそれがお互いのためになるように信頼となお且つ利益を生みだして次に繋がっていくことを大切にしたいと思っておられます。
このコロナ禍については、得意先の企業さんの理解をもって納品の頻度を減らし、運輸面での感染拡大の防止や社内でのマスク着用、消毒などに取り組まれるなかで、物作り企業として難しいと思われる在宅勤務にも、PCやポータブルミシンの貸し出し等を実践し感染抑止に工夫されていました。4月5月は得意先の京都の百貨店などの休業や営業自粛などで苦しかったが国や県の助成金や補助金の活用をしたことと、実績のある高い縫製技術を生かした布製マスクの開発・製造販売に取り組み切り抜けられました。
なぜ布製マスクの開発に取り組んだのか、についてですが、きっかけは職人さんや社員の仕事を確保するためと、前社長から「マスクは作れへんのか」という提案があったことでした。
ある朝、社員さんに「マスクどうやろ」に聞いてみたところ、社員さんがすぐに動いてくれて、話し合いが始まりました。そして、その日のうちににサンプルができ、そのレベルの高さに清原さんはすぐ材料の手配等を進められました。
地域の内職さんを含め自社での縫製がまさに培った技術であり、社内で相談したその日に試作品が上がってくるということが全社一丸と言え、自社のオンラインショップや東京・大阪での販売で新市場もでき、守山駅前の店で販売してもらえ地域を巻き込みながらの経営です。その結果、会社に感謝の言葉が届きそれが自信となって次に繋がっていきました。
数年前、自社企画・製造販売を考えておられた折、子育てママ世代の社会復帰や活性化が社会課題となっており、さらに近畿圏のベッドタウンとして守山市の人口が増加しているという中で、地元のママさんと一緒に商品開発をするという取り組みに参加する機会がありました。清原さんは商品を作るという大きなテーマだけではなく、地域貢献という観点から女性が活躍する場を設けてそれぞれの次のステップにしてもらう機会の提供になればと参加しておられました。
商品開発の場で子育てママさんから出てきたアイデアは、社員さんにとっては開発・製造経験が乏しく、どう進めていくか悩まれましたが、「全社一丸となってこうしたらどうだろう」と仮定を立てて進めていかれました。
そうすると、自社がすでに持っている技術の中で商品化することができることがわかり、また子育てママさん達が生み出した商品の宣伝をしてくださって高い評判をいただき、地域を巻き込むことができました。成果を出し利益を生み、次に繋げることが大事と実感されたそうです。
そのようなサイクルを繰り返すことにより、社内での会議でも「できない」から「こうしたらどうだろう」という繋がりで全社一丸に繋がり、「こんなのできないかな」という企業さんとの出会いも広がり、地域を巻き込むことにもなるし、人気が出ることで新市場の獲得にも繋がっているとのことで、今後も引き続き取り組んでいこうとお考えです。
また今後、SDGsの実践も考えておられます。
☆コロナ禍がもたらしてくれたもの
緊急事態発令に伴う百貨店・小売店・お土産物店の営業自粛は大きな打撃となりました。
また、祝賀会・セレモニーなど記念品の需要もストップし厳しい状況となりました。
そんな中でも、マスクの生産やkokurumi(新生児用おくるみ)の2020日本ギフト大賞最高
賞受賞は一筋の灯りとなりました。また、その経験から地に根差した会社になろうとより決
心したきっかけともなりました。引き続き地域連携を通じて社会課題を解決できる商品展
開を重ねていきたいと思っておられます。
やはりすべては「人」だとお考えです。3年前から月に一度、全社員でミシンも社員さんもその時間は一回手を止めて商品企画と情報共有の場を作っておられます。以前は黙々と納期に向けて仕事をしていたがこの15分から半時間のことで風通しが良くなり雰囲気もよくなり、その場から新しい企画も生まれるようになってきました。
経営者として「ここに皆で行こうね」というビジョンを示すことも大事ですし、そのために考えて行動すること。そして少しでも成果・結果を出していくことが一番大事。プラス実績・自信も心がけています。
最後に、人との繋がり・熱量が次の行動へと後押ししてくれます。今やソーシャルディスタンスと言われますが、マインド・ディスタンスを近くに置きたいとお考えです。
「袱紗・袱紗」と語ってきましたが「脱・袱紗」の時代が来てもおかしくはなくその時の準備もしっかりしておく事が大事だと思っています。やっぱり全ては「人」だと思って緒ます。と締めくくられました。
グループ討論では、報告の感想を含めながら、各会員の会社の現状やコロナ禍における影響や今後の課題や見通しなどについて話をしました。
今回のコロナ禍において、失速している企業もあれば逆にチャンスととらえ上昇している企業もある。その違いは何なのかと思いながら報告を聞いたりこうして討論することは
とても良い機会となりました。