甲賀支部の3月例会では、 滋賀県障害福祉課の「発達障害職場サポーター養成事業」と共催で、3月23日(木)18:30~20:50サンライフ甲西で行われ19人が参加しました。
報告者は、広野ゆいさん、NPO法人DDAC(発達障害を持つ大人の会)代表と大阪若者サポートステーションで相談員をされている当事者の方です。「誰もがいきいきと働く企業になるために」と言うテーマで、発達障害の基礎知識に関するお話しをいただきました。
広野さんの話は、自己紹介から始まります。
普段は若者サポステで職員として8年ほど勤務。発達障害と言っても「発達の凸凹(ADHD、ASD、LD)+適応障害=発達障害」となるわけで、発達の凸凹だけでは障害にはならない。例えば、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズ、トム・クルーズ、アインシュタイン、エジソン、ピカソ、長嶋茂雄など世界の著名人なども発達障害と言われていることは非常に有名なことである。
発達障害という言葉は誤解を生みやすいですが、発達障害(ASD)+知的障害=自閉症、発達障害+適応障害+過度のストレス=精神障害(鬱などが精神病が治癒せず発病を繰り返す)ということもわかりやすく話していただき、Disability(出来ない・不能な(車いすの身体や知的障害者ハンデキャップを指す))ではなく、Disorder(混乱、秩序を乱す)が、発達障害である、「気持ちや意識の問題ではない」と教示いただきました。これにより、会員の障害に対する理解が深まったようでした。
また、発達障害は近年に出来たカテゴライズであり、新規の障害が見つかったのではない。2005年に発達障害者支援法(議員立法)が制定され、2008年のリーマンショック以降、大人の発達障害者が増え始め、2010年に障害者自立支援法内の制度に入れられたもの。
リーマンショック以降増えたのは、企業の働き方の変化のせい。企業が、地域に代わるコミュニティの役割(社内で社会人教育)や職業訓練(年長者によるスキルの伝達)をする余裕がなくなり、余分な社員を抱えることも出来なくなり、すっかり福祉厚生や支え合いの力をなくしてしまった。会社はコスト削減に追われ、マルチタスクを求められる。この結果、本来なら企業の中で十分に働けていた(発達障害の特性を持つ)社員達が、過度なストレスを受け、発達特性が際立ち、適応障害や二次障害を起こし始め、会社で問題を抱える社員となったいった。
という報告は非常にわかりやすく納得がいくものでした。
発達障害と言う言葉を聞くと、健常者とは別の人種という印象を持つ人が多いようです。しかし、上記の例や広野さんにも見られるように、発達障害者であっても知的障害や極度の精神病を持たない限り、健常者と何ら変わりなく知能も高く、リーダーとして活躍している人も多いいです。広野さんの報告の中でも、「経営者の人は発達障害が多いけど自覚していない人が多い」と言う話もありました。
世界の超名人もしかり、発達障害だからこそ色々出来たのではないでしょうか? しかし、全員が知能が高いわけでもなく、本人も周囲も苦労して悩んでおられる方もたくさんいます。
広野さんは最後に「合理的配慮」と言う言葉で、経営者に対してアドバイスを下さっています。「障害者だけではなく 、高齢者や子育て中・介護中の人、シングルマザーや(癌などの)病気の人、外国人etc・・の様々な人達を会社は受け入れていかなければいけない。それは、「多様性を受容できる会社環境を作る」こと。これから明らかに労働者が激減していく中で、会社が継続していくためにはこのような人達も働ける環境を創り上げる、それこそがこれからの経営者の使命ではないでしょうか?」
まさにこれこそが、これからの日本の、良い会社、良い経営、従業員を大切にする会社、そして強い会社作りの根幹となる部分と思いました。
本当にしっかり勉強させていただけました。