滋賀県中小企業家同友会甲賀支部例会を7月26日(火)18:30~21:00、サントピア水口 勤労青少年ホームにて例会を開催し、13名が参加しました。報告者は、服部兼一氏(服部コンサルタント事務所代表・滋賀同友会経営労働委員長)より、「社員教育の勘違い」をテーマに報告いただきました。
バブル期に製薬会社に入社し、営業職を進まれた服部さんは、まさにバブル期の黄金時代を過ごされました。その後社内異動もありましたが、バブル終了後に営業部へ転属。今度は、売上も営業成績も伸び悩みます。「良い製品」は作るだけでは売れない時代に突入。「売れる営業とは?部下の教育とは」悩みながらも必死の日々に、上からは「上司の仕事は部下の点検と確認をすること」と教えられ、日々、部下の仕事のチェック、翌日の指示など、深夜までの仕事が休み無く毎日続きます。
そして、2000年に人材派遣会社に転職。その会社は、10年毎に1桁増の売上数値を上げる事を目標とする売上重視の会社でした。服部さんは3年で本社の営業管理部へと実力を見せ昇格。そこでの仕事は、全国各地の営業の「決済」。ひっきりなしにかかってくる電話に相談を受け「決済」の対応をするという仕事でした。
また、優秀な人材を他社から数百人と引き抜き、生産管理部門の人材派遣を立ち上げます。プロフェッショナルがそろい、様々な大手会社が派遣社員として利用する中、KAIZENで有名な大手自動車会社T社だけが利用しません。その時に、T社の(現顧問)Sさんと出会います。
Sさんに会い、人が「物、金」と見えていた自分から、「人」に変わったと服部さんは言います。「人つくり」を教示された、キーワードは「商店街の親父化プロジェクト」そのような社員を創らなければいけないと、T社から製造部門ではなくスタッフ部門の改善を任されました。そして、独立し現会社を設立。2005年頃同友会と出会い理念に共感し勉強を続けているとおっしゃいます。
社員教育の要は、経営者・上司の「権限移譲の力」と服部さんは言います。決済できる力を付ける事。そのためには、社員の意識を上司からお客様に移すこと。その、正しい仕事が出来る環境を整えるには、社員が・自分の仕事の価値や意義を知る・自分の仕事の良否がすぐにわかる・なぜそうするのか・ミスをするとどうなるのか・次工程にどうつながっているのか を理解できる環境に置き、社員自身が権限を持ち決済できる力を持つことだと言われました。
改革が遅れている経営やマネジメントスタイルは、全て上司や経営者に判断をゆだねるためスピードやお客様へのレスポンスが遅い、慣例化した組織体制で社員の正しい仕事への意識が向かず、やらされている感を持ちモチベーションも上がらない、上司は社員のミスを嫌い管理したがる。つまり、次代は変わっており、経営者や幹部はそこに気づき学ばないといけない。権限移譲のためには、人ではなく作業(役職や職種など)を洗い出し基準を決めることとアドバイスいただきました。
最後に、服部さんは毎月名古屋に出向き勉強会を開催し、Sさんに聞いてもらうと言います。それは方向性が間違っていないかを確認し、自分を高めるため。同友会の会員も6ヶ月の創る会では、完成せず、その後の研修会や委員会に参加、先輩会員と話すことで成長し高まると締めくくられました。