滋賀県中小企業家同友会

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立命館大学経済学部「キャリアデザイン」講義 第12講が開催されました

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滋賀県中小企業家同友会と立命館大学経済学部との協力協定に基づいて大津市、草津市とも連携してスタートした同学部1回生対象の「キャリアデザイン」講義第12講が1月11日(水)16:20~17:50まで立命館大学びわこ・くさつキャンパスで開催され、滋賀県中小企業家同友会会員の(株)エフアイ 代表取締役社長 北野 裕子さんより「滋賀でいちばん女性が輝く会社になりたい!」をテーマに講演していただきました。

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㈱エフアイは、1992年に北野さんの父が写真の事業で創業されたのが始まりです。
1997年に父が病気になったのがきっかけで「親は先立つもの」と会社を継ぐ決心をされました。北野さんは、学生時代バスケ部で朝から晩まで厳しいトレーニングをしていたそうです。座右の銘は「根性」と、しんどくても頑張ってきたからこそ今があり、会社を継ぐ決断が出来たとのこと。
しかし、デジタル技術の進展で赤字になっていきます。新しい事業をはじめないと未来はない!と「健康」を事業にしようと考えられます。
医療技術の進歩などによって平均寿命は延びています。しかし出生率の低下で総人口は減少し続けています。平均寿命が延びることは良いことですが、老人が増え子供が減ると介護や社会保険料の問題が見えてきます。現在では、3人で1人の老人を支えている計算ですが、これが10年後には2人で1人を支えなければならなくなるのです。
平均寿命と健康寿命の差が介護の期間です。この差が拡大されると医療費や介護給付費が多く必要になります。平均寿命と健康寿命の差を短縮することができれば、個人の生活の質の低下を防ぐとともに、社会保障負担の軽減も期待できます。なんと、滋賀県の女性の健康寿命は全国ワースト1。

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そこで、㈱エフアイさんは、健康寿命を延ばし、社会問題の解決を実現することを使命に女性専用のフィットネスクラブ カーブスのフランチャイズ加盟をされます。
カーブスは、全国に1,600店舗以上あります。「30分」「女性だけ」という手軽さにより、健康に関心がありながらも今まで運動とは縁のなかった中高年の女性(40歳以上の方)が会員の9割以上を占めています。
カーブスに通う目的は、体力の衰え、生活習慣病、関節の痛みなど、様々ですが、自分で自分の健康を守る時代、今後も、健康づくりへのニーズ、関心は高まって、健康産業は予防医療の分野へとその市場を拡大していくことでしょう。

北野さんは、コーチ時代にある方から「孫をディズニーランドに連れていった!」と大変喜ばれた経験があります。その方は、膝が悪く、足を引きずるような歩き方をされていたそうです。孫の面倒を見れないことが辛いと仰っており、カーブスに通うことを決められました。3か月後、見事、お孫さんとディズニーランドに行くまでに回復され「自分の人生が変わった!」と喜んでいただいたそうです。
お金で買えない価値を提供しておられます。

㈱エフアイの経営理念は、「ハッピートライアングル」です。
近江商人の三方よしに代表される「他国へ行商するも 全て我がことのみと思わず その国一切の人を大切にして 私利を貧ることなかれ」という売り手、買い手、世間よしが語源で、時代が変わっても今なお変わらない商売の原理原則①相互理解②相互支援③相乗効果を大切にし、現代風にアレンジしたものだそうです。
①相互理解とは、相手の関心事に関心を持つこと(関心)。相手の話を固定観念なしで素直に聴き、相手を理解すること(受信)。自分の意見や考えを話すことで、自分を理解してもらうこと(発信)。相手から発信された言葉や態度の背景、意図、目的などを正確に変換する能力。自分の意図や目的を適切な言葉、表情、態度に変換して発信すること(変換)。の4つのポイントがあります。
②相互支援とは、相手の苦手なところはカバーし合い、得意なところを伸ばし合うということです。
➂相乗効果とは、承認(Yes)重ねる(and)方式。相手の意見を否定しないことです。
お互いに理解し合い、相乗効果を発揮し、一人ひとりが成果を出せるようにお互いの強みを伸ばしていくことが大切です。

㈱エフアイは、女性活躍推進の取り組みの一環として「輝働隊☆女組(きどうたい おんなぐみ)」という委員会を立ち上げ、女性が働きやすい職場づくりのための制度を考え実現しています。例えば、育児休業中のスタッフの不安解消のために復帰1か月前に5回フォロー面談を実施、子どものイベントなどに参加しやすいよう1時間単位での有給取得、ノー残業デーの増加、プレミアムサタデーの実施など様々な取り組みをされています。
その成果として、滋賀県の女性活躍推進認証制度の「一つ星企業」に認定されています。
また、2016年には、「滋賀でいちばん大切にしたい会社」(以下「滋賀いち」と略)に認定されました。これは、「この会社で働けて良かった」と感じる従業員の割合が全体の80%以上であることをはじめ、かなり高く設定された基準を満たした会社に送られる滋賀県中小企業家同友会のアワードです。
2014年から滋賀いちアンケートを実施し、3度目にして認定です。
1年目はこの会社でこれからも働き続けたいと思いますか?の問いが25%、一年前と比べて幸せと感じているか37.5%という結果にショックを受けたそうですが、この会社で働けて良かったと思っている社員は75%。責任感だけで仕事をしているからしんどいと感じているのではと分析しました。
2年目は、働き続けたいと思ってくれる社員や幸せと感じている社員が増えました。しかし、まだこの会社で働けて良かったと思っている社員が80%を超えませんでした。仕事を楽しめていないからだと分析したそうです。
このように「滋賀いち」アンケートを実施することで、従業員の気持ちを知り分析し改善していく。その結果3年目には、この会社で働けて良かったと感じる従業員は87%になりました。

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最後に、経営に大切なのは、「人」です。経営者と従業員との関わりが一番大切です。一人ひとりが輝くことの出来る、輝かせるためには、信頼がないと出来ません。社会に出たらどんどんチャレンジして、自分と違う意見でも認める(Yes)を大事に、コミュニケーションをたくさん取るようにしてくださいと語ってくださいました。

滋賀県中小企業家同友会
中村 香澄

今回、北野さんのご報告で、滋賀県中小企業家同友会が担当しプロデュースした9講の講義がすべて終了しました。毎回200名前後の学生さんに参加して頂き、地域と共に歩みながら魅力ある企業づくりにチャレンジする中小企業経営者の実践をお伝えすることが出来ました。
次年度には、講義をして頂いた企業さんへのインターンシップの取り組みも検討されています。
中小企業は地域経済の担い手であり、社会の主役であると「中小企業憲章」(閣議決定)や「滋賀県中小企業の活性化の推進に関する条例」には謳われています。大企業の無い地域はあっても、中小企業が存在しない地域はありません。中小企業の持続的な発展と地域社会の維持発展は不離一体の関係です。真の地方創生には、中小企業の自主的な自助努力と共に、その役割に相応しい経営環境の実現が欠かせません。
私たちは社会の主役に相応しい魅力ある企業であり続けるために切磋琢磨を続けると共に、大学をはじめとした教育関係の皆さん、学生さんとの共育ちを進めて行きたいと考えます。