滋賀県中小企業家同友会

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第27回滋賀県経営研究集会 開催しました

組織活性化委員会 委員会レポート

第27回滋賀県経営研究集会開催

11月15日火曜日午後13時より、クサツエストピアホテルにて滋賀県中小企業家同友会の全県合同例会と位置づけ、第27回滋賀県研究集会を開催しました。
175名が参加し、蔭山代表理事の挨拶からスタートしました。

 

大会テーマに「持続可能な地域経済を中小企業で創ろう!」掲げ、基調講演にアミタホールディングスの代表取締役会長兼社長の熊野英介氏を講師に『「四方良し」中小企業がつくる新しい価値創造と未来の地域づくり』をテーマに基調講演が行われました。

講演者である熊野氏は、水俣病の実態を目の当たりにし、人類は経済の発展という名のもとに環境を犠牲 にし、弱きものの尊厳を踏みにじってきたという事実から、金属資源商社としてスタートした会社を資源リサイクル、製造メーカーへと事業を展開。
循環資源製造所を各地に展開し、資源リサ イクルネットワークを構築され、上場企業へと発展されました。しかし、水俣病や東日本大震災 の現実から、地域の人々自身が手がけ、資源や食料の地産地消型の経済循環を生み出さなけ れば未来はないと、南三陸やパラオ等での地域内資源循環モデルの構築を推進されています。
今回の講演では、大きく3つの内容で構成されており、第一は企業・社会を取り巻く商業的な環境の変化についてのお話でした。

三方良しを実践した近江商人の基本的なあり方から、現在の商業的な環境変化のスピード感、air bnbやウーバーなどSNSを活用した人と人の繋がりから始まる新しい事業体の劇的な成長スピードと、老舗企業の売上高の推移、そして社会的な環境の変化、シュリンクする日本経済に比例して世界的な人口増加と、アジア諸国の経済成長率など、外的・内的な要因、また市場の固定観念に囚われていては、企業の存続的な発展、そして地域経済の発展はますます厳しいものになるであろうととの見解の元、経営者はこのような時代に、どのようにアンテナを張り、そして事業や会社をどのように導いていくのか?様々な情報から未来を読み解く力が必要であるとの認識を持つことの重要性を述べられていました。

 

第二は、アミタホールディングスで取り組んでいる事業内容についてのお話でした。
 現在だけでなく未来を見据えた「未来デザイン企業」をめざされているアミタグループでは、持続可能な地域経済を企業家自ら取り組むことの重要性と認識し、それを実践されています。
 「三方良し」にひとつ加えた「未来良し」。
未来が良くなるための事業を行うこと、そ して未来を生きる子どもたちの尊厳を守ること。それを形にする、提供するのがこれからの中小 企業に求められる大きな役割であり、新しい価値創造と地域づくりにもつながります。 こういった経緯の中から地域資源を地域の中で循環する事業として、バイオガス施設の紹介、また三陸町で実践されている地域資源の循環活用の事例などを基に取り組みを紹介。
 ゴミとして処分されるものを資源として取られ、エネルギーや、土壌改良の資源として活用、地域の維持に必要な資源として還元する取り組みの重要性について講演されました。

 

そして第3は、これからの事業のあり方として、人と人が結びつく、また人と人との関わり、繋がりの中で商いを行う取り組みとして「公益財団法人信頼資本財団」についての取り組みをお話されました。
 この取り組みは、それぞれの経営者一人一人の知識・経験・バイタリティなどなどの特色を活用し、各々の事業が永続的に発展する機会づくりとしての、共感融資という方法についての内容でした。
通常の金融機関の融資と違い、融資を受けたい経営者の知見・知識等を担保とし、その会員がその知見・知識に対して無利子の融資を行い、融資先の事業主との信頼関係において社会的な形成を作り直そうという新しい動きとなります。
 参加されていた多くの経営者からは、この信頼資本財団の構想について、大きく頷き、また興味を持って聴講されている様子が印象的でした。

 資料を基に講演をいただきましたが、社会や企業を取り巻く環境変化・そして地域循環型の事業体としての取り組み、そして人が人を支える仕組みづくりと、タイトル通りの価値創造、そして未来の地域づくりの本筋が凝縮された大変意義のある基調講演でした