滋賀県中小企業家同友会

支部活動について-大津支部-

大津支部 6月例会「社会をよりよく変革できる会社をめざして」

大津支部 例会レポート

大津支部6月例会は、6月28日(水)18:30~21:00、ふれあいプラザ(明日都浜大津)にて開催され、55名が参加しました。
報告は、大日 陽一郎氏(山科精器㈱代表取締役/滋賀同友会 新産業創造委員長)より、「変革せよ! 変革を迫られる前に」をテーマに報告頂きました。

《以下報告要旨》
前身は山科精器研究所として1939年の太平洋戦争の前に創業し、終戦後山科精器㈱に社名変更されています。社歴は長く高度経済成長期と共に我社も成長をつづけました。私が生まれた1970年代後半には、事業の失敗により倒産の危機になったと聞いていますが、何とか持ち直し、現在は自動車・船舶・産業機械・発電所等に納める熱交換器や油機、医療現場向けのメディカル機器を受注生産、販売しています。栗東に本社を構え、水口工場の2拠点生産しています。

私は創業者の孫ですが、その孫11名中男は私だけでした。東京の大学を卒業し、海外でも働きたいと、機械商社に就職。営業希望でしたが法務部門の配属となり国内組となりました。しかし、やってみると面白く、自身で学習しながら社内を変えていくと、仕事はとても楽しくなりました。

一方山科精器は、父が3代目社長に就任し、いずれは経営者だと話されるように。帰りたくなかったのですが、母親からの連絡もあり観念して2011年に山科精器に入社しました。

〇まず黒字に

「変革せよ!変革を迫られる前に」とはジャック・ウェルチ(GEの最高経営責任者)の言葉です。自社をよりよい平和な社会に変えていけるような会社にしたいと想い、この言葉を使っています。2016年に社長に就任しましたが、前期3年連続赤字でした。しんどかったですね。現在では7期連続黒字で自己資本比率を高めてきました。当時は、役員報酬カットや賞与のカット、給与体系の変更などの改革を、労働組合との協力も得て進めることができました。一番屈辱的だったのが、メインバンクの企業再生セミナ―への参加。黒字にしないと社員の雇用も守れないと覚悟が決まり、事業部を解体し全社一丸体制に作り変えました。色々取り組んだ結果、黒字に転換しました。

しかし、本当に変えたかったのは社風です。社員は本当に優秀ですが、積極的に社業やプロジェクトを生み出す社風ではありませんでした。そこで、社員に任せて口を出さない。報告は聞くが大きな判断以外は社員に任せるようにしました。欠点を指摘して委縮させる経営から脱却し、自ら提案して成果を出す経営です。丸投げのように見えますが、心理的安全性が高まり、一人ひとりが山科精器の主人公になってくれました。

ブランディング委員会の設立、そして社内デザイナーの採用など社員自らが会社を変えようと動き出しました。それは、仕事とプライベートの両立を可能にし、「仕事も 人生も 自分らしく」をテーマにありたい姿を社内で検討し、部署名は、総務部が「コーポレートデザイン部」と変更されるなど、新しい山科精器が生まれようとしています。
〇これからの目標

社員満足度のさらなる向上をめざしており、ブランド化を形にする新社屋の建設にも取り組みます。自社の変革だけでなく、社会をよりよく変革できる会社をめざしています。