
2月24日(火)18時30分から21時まで、明日都浜大津にて「社員のこと、自分のこと大切にしていますか?―解体工事業における女性経営者としての奮闘―」をテーマに、吉田佐希子氏(芽生コンストラクション(株)代表取締役、京都同友会伏見支部副支部長)にご報告いただきました。

アパレル業界出身の吉田氏は、結婚を機にご主人の家業である解体屋に入社されます。しかし当時の経営は、外注番頭が実権を握り会社を食い物にするような状態で、7年間の経営難の末、倒産寸前となり、ご夫婦で莫大な借金を背負うことになりました。解体業は「まちの再生の第一歩」という誇り高い仕事である一方、その現実は厳しいものでした。
夫の会社を救うため、亡父の退職金と母の貯金を元手に「お金も出すが口も出す」と宣言し、勉強のため自ら現場に入ることを決意します。しかし現場では外注番頭による横領が横行しており、それを咎めると「経営者に現場の恐怖がわかるか」と恫喝され、理不尽な額の退職金を要求されるなど厳しい対立が続く中、元請から態度の悪い外注職人をまとめきれず叱責されるなど苦しい状況が続きます。両親から借りた「きれいなお金」が浪費されていく現実に自身の甘さを痛感し、ついに警察へ相談することを決意。これをきっかけに外注番頭は会社を去り、巻き込まれていた外注職人たちも改心し会社再建への道が開かれました。

その後、過去のイメージを払拭し銀行融資を受けられる会社を目指して芽生コンストラクション(株)を設立。「みんなで潰した会社はみんなで立て直す」という思いのもと外注職人は全員社員化し、社会保険にも加入。やがて大規模ビル解体という転機となる仕事も受注し、社員一丸となって無事故で完遂。元請けから大きな信頼を得ることとなります。
同友会への入会をきっかけに経営を学ぶ中で、自身の価値観と向き合い、「私たちは良心の種を蒔き、芽生える思いやりの心で人や地域、社会と調和し、多くの人の幸せに貢献します」という経営理念を確立しました。技術継承の課題に向き合うため共同求人にも積極的に挑戦し、新卒採用にも踏み出します。しかしその矢先、自身にがんが発覚し、内定を取り下げるという苦渋の決断を迫られます。過酷ながん治療の経験は「生きるとは何か、働くとは何か」を問い直す契機となり、「自分を大切にできない人が他人を生かすことはできない」という気づきに至ります。

その後、環境改善や共育に取り組む中で社員の主体性が芽生え、DX化や業務改善が進展。2016年に自己資本比率−75%だった会社は、グループ全体で売上5〜6億円、自己資本比率40%へとV字回復を遂げました。社員を信じて任せ、能力を発揮できる環境を整えることの重要性を語られ、今後は心理的安全性の高い職場づくりに取り組んでいくと締めくくられました。(記:田中 和樹)






