滋賀県中小企業家同友会

委員会活動について-政策委員会-

自由民主党滋賀県議員団との政策懇談会を行いました。

政策委員会 その他活動

滋賀県中小企業家同友会理事会と自由民主党滋賀県議員団との政策懇談会が2018年6月28日(木)午後2時30分から3時まで県庁議員室で行われました。

同友会からは、蔭山孝夫代表理事(滋賀建機(株) 会長)、青木孝守副代表理事・政策委員長( (株)あぐり進学 代表取締役)、永井茂一 副代表理事( (株)ピアライフ 代表取締役)、中野光一 理事・湖南支部長( (株)びわ湖タイル 代表取締役)、奥村祐三滋賀県中小企業家同友会事務局員、大原 学滋賀県中小企業家同友会事務局長、廣瀬元行滋賀県中小企業家同友会専務理事の7名が参加。自由民主党滋賀県議員団からは18名が参加されました。


蔭山代表理事から2019年に創立40周年を迎える滋賀同友会の活動が紹介された後、青木副代表理事・政策委員長が2019年度政策要望(案)を説明。参加メンバーより補足の発言が行われました。



自民党からは、中小企業向けの奨学金支援制度や事業承継の取り組み、観光振興策について質問があり、意見交換を行いました。(M・H記)

2019年度 滋賀県への中小企業家の要望と提案(会内討議資料)

「中小企業憲章」と「滋賀県中小企業の活性化の推進に関する条例」の精神と各条項の推進を前提として、以下のとおり要望と提案いたします。

1.地域に若者を残し、元気な滋賀県を創造するために

「滋賀の中小企業は、地域の経済や社会の担い手として、生産や消費活動、さらには雇用や地域づくりなどの面において、重要な役割を果たしている」「勤労観および職業観の醸成、職業能力の開発の促進、就業環境の整備その他の方法により、中小企業の事業活動を担う人材の確保および育成を図ること」(県活性化条例)、「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役である」「中小企業の要諦は人材にある。働く人々が積極的に自己研鑽に取り組めるよう能力開発の機会を確保する」(中小企業憲章)とあります。

中小企業が継続して発展するために人材の確保と定着・育成に努めることは、滋賀県経済の持続的発展に欠かせませんので、以下の取り組みを要望・提案いたします。

1)学校教育において、中小企業の経済的社会的役割を学ぶ機会を充実させていただくこと。

小学校・中学校・高等学校の各段階に応じた「滋賀を支える中小企業事例集」(副読本や画像・動画などのITコンテンツにて)を産・学・官の連携で作成し、教材として活用できるように提供していただき、生徒や学生の仕事観・労働観を育てることにつなげていただきたい。

2)若手教員研修の中に、地域と中小企業を理解する取り組みを進めていただきたい。

小学校・中学校・高等学校の若手教員研修の中に、中小企業論や地域の中小企業で一定期間の職業体験を取り入れていただきたい。進路指導に関わる教員が、地域で働くことや中小企業の役割と魅力を理解することで、児童や生徒が地域を知り、将来にわたって地域で自立的に働き生きることを促進する指導に繋がると考えます。

3)中小企業での職場体験・インターンシップを小学校・中学校・高等学校の授業として一層推進していただくこと。

青年や子供たちが健全な労働観や地域社会観を育んでいく一つの機会として、地域の中小企業団体等と積極的に連携しながら、中小企業での職場体験・インターンシップを小学校・中学校・高等学校の授業の一環としてさらに推進していただきたい。

4)大学生インターンシップの推進と「ワンデーインターンシップ」への対応

大学生のインターンシップの実施に当たっては、学生が地域で働く意味や生き方を学ぶ機会となる教育理念のもとで行うように、大学および推進機関に対して指導援助をお願いしたい。また、実質的には採用の会社説明会の場となっている「ワンデーインターンシップ」について、実施機関に対してそのような呼称を使わないように指導をお願いしたい。

5)雇用に関わる各種認定制度の調査と大学・学生への発信すること。

国や県では、若者雇用や女性の活躍、障害者雇用などへの取り組みに積極的で優秀な成果をおさめている企業向けに、各種認定制度(くるみん、ユースエールなど)が設けられ、認定企業が省庁や自治体のホームページで紹介されてはいます。しかし、学生や進路指導の担当者に、その認知度は必ずしも高くありません。認定企業も発信力を高めますので、県としても滋賀の受賞企業を調査し、とりまとめて公表し、学校や関係機関に対して学生の進路指導へいかすよう働きかけをしていただきたい。

なお、滋賀県中小企業家同友会では社員満足度80%を基準としながら、新しい仕事づくりへのチャレンジ、女性、高齢者、障害者、外国人の積極的雇用、人材育成、社会貢献事業等に取り組み成果を上げている企業をモデル企業として「滋賀でいちばん大切にしたい会社」として認定し、会内でその実践経験から学び合うとともに、学生へ積極的にPRするようにしています。

6)中小企業向けの奨学金返還支援制度を設けていただきたい。そのためにも、県内中小企業で働く若者の実態を調査していただくこと。

若者が安心して学び、働く条件と環境を保障するために、奨学金返還支援制度を導入・検討する都道府県や市町が増えています。

奨学金を返済中の若手社員への補助制度を就業規則に設ける中小企業を増やすことは、滋賀の中小企業で働く若者が安心して生活し仕事に打ち込める条件と環境を整備することに繋がります。

滋賀県としてそのような中小企業を応援し増やしていくための制度として、中小企業向けの奨学金返還支援制度を設けていただきたい。

制度を実施する前段階として、県内中小企業で働く若者の奨学金返済の実態について、県中小企業活性化条例による調査活動の項目に加えて実施していただきたい。

7)「ここ滋賀」を活用してI・Uターン希望者へ地元中小企業の就職情報を発信すること。

東京日本橋に滋賀の魅力を体感できる窓口であり、首都圏での発信と滋賀への誘引の役割を担う情報発信拠点として「ここ滋賀」が開設されています。滋賀の魅力を物産や観光面だけでなく、中小企業やそこで働き暮らすことまで広げ、I・Uターン希望者へ情報発信するようなイベントを行い、地元中小企業とのマッチングの場としての機能を加えていただきたい。

2.中小企業の継承と経営力強化による新たな発展を支える条件と環境整備

倒産件数が減少傾向にある(2017年度全国で8,405件・9年連続の減少 滋賀県95件3年連続で100件を下回る)中で、休業・廃業する企業数は激増(2017年度28,142件 滋賀県272件)しています。特に滋賀の廃業率は全国ワーストワン(4.9% 2015年度)で、開業率も全国平均以下(平均5.2% 滋賀4.3%)であることから、地域経済へ与える影響は大きなものがあるといえます。

滋賀は就業者数を事業所数で割った1事業所あたりの従業者数が11.54人で、全国平均10.36人を上回っており、千葉、埼玉、神奈川、奈良に次いで1事業所あたりの就業者数が多くなっています(2015年国勢調査と2014年経済センサス調査より)。これは、人口と事業所数とを比較して事業所数が少ないこと、地域に中小企業・小規模企業が少なくなっているからだと推測されます。

「中小企業は、社会の主役として地域社会と住民生活に貢献し、伝統技能や文化の継承に重要な機能を果たす。小規模企業の多くは家族経営形態を採り、地域社会の安定をもたらす。」(中小企業憲章)とあるように、中小企業は社会のインフラともいえます。中小企業が増え、継続して発展することは地域社会の豊かな発展に欠かせないと考えますので、以下の取り組みを要望・提案いたします。

1)中小企業の事業継承に関わる相談体制を県内に複数箇所設置し推進すること。

現在滋賀県には、事業の存続に悩みを抱える中小企業の相談に対応するため「滋賀県事業引継ぎ支援センター」が設置され、出張相談も含めて積極的な取り組みを展開されています。一方で、全国一である滋賀の廃業率に歯止めをかけ、事業の継続発展を担保するためには、課題を持つ経営者がいつでも・どこでも・気軽に相談できる体制を整備することが欠かせません。現在の拠点1カ所と出張相談だけではなく、県内の主要な地域に相談窓口と人員を常時配置し、中小企業の抱える事業継承の課題を個別企業へのアウトリーチも行って展開していただきたい。

2)いわゆる「エフビズ」モデルの中小企業支援拠点を設け、経営力の抜本的強化を図ること。

静岡県富士市産業支援センターf-Biz(エフビズ)モデルが全国に広がってきています。全国から公募したスペシャリスト人材を好待遇で相談員に迎え、「新しい市場を開拓したい」「今の事業をさらに大きく成長させたい」「経営課題を解決したい」という中小企業経営者に寄り添い、経営者自身の熱い意欲を引き出し、マーケティング、デザイン、販路開拓、プロモーション、ブランディングといった、各専門家のバトンリレーで、質の高いワンストップのコンサルティングまで提供する中小企業の助っ人モデルとして成果を上げています。

何とかしたいという意欲のある起業家や中小企業経営者の満足度を高め、着実に成果に結びつけていく、「エフビス」モデルの支援拠点を調査研究し、滋賀県での設置をめざしていただきたい。

3)中小企業のIT技術や地域に根ざした知恵をいかした観光振興を推進すること。

滋賀県では「観光交流振興指針」を定め、平成30年度に観光入込客数(延べ)5,300万人、宿泊客数400万人、外国人観光入込客数(延べ)60万人、観光消費額1,800億円にすることをめざしています。今後も積極的な観光振興を進めるには、滋賀の自然や歴史、暮らしと文化、食と産業などを効率的により広く国内外の人々の手に届くよう発信することが必要です。

滋賀の魅力を国内外の観光客に発信し入込客数を増やす事業を、広くIT技術や知恵などを有する中小企業や・小規模事業者、起業をめざす人々に呼びかけ、プラットホームを整備し、その活力と技術・知恵をいかした観光振興事業モデルの構築を支援し、県や各市町で取り上げて推進するようにしていただきたい。また、このことを通じて、ITやメディア関連産業での起業を促進することにつなげていただきたい。

4)「県中小企業活性化審議会」の下に専門部会部を設置し、中小企業を主人公にした企業と地域経済の活性化の戦略立案を恒常的に行う条件と環境を整備すること。

県では中小企業活性化審議会が概ね年3回程度開催されていますが、これだけでは環境変化に対応した実効性のある中小企業振興施策をつくり得ないと考えます。中小企業振興基本条例を制定し実践を始めている地方公共団体では、施策の立案と推進エンジンとなる「産業振興円卓会議」等を設置し、その下に専門部会を設け、構成メンバーの創意や自主性を引き出しながら施策の立案と推進を担う仕組みを作っています。

全国の経験に学び、県としても中小企業活性化審議会の下に中小企業活性化の課題に対応した専門部会を設けるなどして、中小企業を主人公にした機動的な取組みが行える体制を作っていただきたい。

3.障害者、若年無業者の就労環境の整備と雇用の促進

障害のある人にとって働きやすい職場環境を実現することは、誰もが個性と能力をいかして働くことができる条件整備と同じであり、県がめざす「全ての人に居場所と出番があり、最期まで充実した人生を送れる社会の実現」(県基本構想より)を確かにするものです。

また、中小企業にとって障害者の雇用は福祉的な精神で進められるものではなく、経営と暮らしを共に担う働く仲間づくりとして進められています。

また、地域にはニート、フリーター、ひきこもりと言われる若年無業者がたくさん居ると考えられます。

障害者や若年無業者、地域の多様な人々が、「人に愛され・人にほめられ・人の役に立ち・人から必要とされる」幸せな人生を歩むために、中小企業で働く場づくりの拡大に向けて、以下を要望・提言いたします。

1)45人未満企業の障害者雇用の実態と小規模な企業に於ける障害者雇用の経験や教訓等を調査すること。

滋賀県では従業者数20人未満の企業が全体の90%を占めており、障害者雇用をさらに広げていくためには、法定雇用率での雇用を求められない従業員数45人未満の企業の障害者雇用の実態を調査し、経験や課題を掴み教訓として生かしていくことが必要だと考えます。

つきましては、従業者数45人未満企業の障害者雇用の実態と、小規模な企業に於ける障害者雇用の経験や教訓について広く調査をお願いします。

2)障害者や若年無業者の雇用窓口となる「障害者働き・暮らし応援センター」の機能をさらに充実させること。

「障害者働き・暮らし応援センター」とのつながりを通じて、障害者雇用に取り組む中小企業が増えています。中小企業の多様な人材確保をさらに推進するためにも、センター機能のさらなる充実と拡大を図っていただきたい。

3)障害者や若年無業者の雇用を推進するための研修の場を養護学校や支援機関との連携で推進すること。

中小企業で障害者や若年無業者の雇用を推進するには、まず経営者が学び雇用に対する意識を変える必要があります。地域の中小企業団体と養護学校や支援機関の連携で、雇用を推進するための学びの場づくりを進めていただきたい。

以上