第19回 報道関係者(記者・支局長)との懇談会が2020年10月1日(木)18:30~21:00まで琵琶湖ホテル2階 ローズで開催され、報道関係者9人と滋賀県中小企業家同友会より理事を中心に20人が参加しました。
報道関係から参加の皆様(敬称略・順不同)
名 前 会 社 役職
石田真由美 京都新聞社滋賀本社 記者
猪原 章 読売新聞大津支局 記者
木下修臣 日本経済新聞社大津支局 支局長
土井 紫 中日新聞大津支局 記者
矢野 彰 読売新聞大津支局 記者
寺沢健之 時事通信社大津支局 支局長
高井萌子 日本放送協会大津放送局 記者
安藤仙一朗 朝日新聞社大津総局 記者
竹浪 圭 滋賀民報社 記者
廣瀬元行専務理事を司会に開会しました。
はじめに、水野透滋賀県中小企業家同友会代表理事より「政府の緊急支援もあり地域や企業の状況はリーマンショック時の肌感覚からいうと落ち着いているように見えますが、経済指標はどれをとっても戦後最悪です。今日のアンケート結果にも出ていますが、中小企業の景況は依然として厳しく、売上も回復していません。気を緩めては、これから年末に欠けてキャッシュが回らなくなる企業も出てきたり、雇用の維持もままならなくなる可能性があります。こういうことを中小企業目線で是非広く県民に伝えていただきたいと思います」と開会挨拶が行われました。
引き続き水野代表理事より「2021年度 滋賀県に対する中小企業家の要望と提案」の重点項目が、概要以下の通り紹介されました。
コロナ禍の緊急事態だからこそ、中小企業や小規模企業の経営実態を掴み、適切な施策を打つことが重要になっています。県は中小企業活性化条例の取り組みに位置づけて、県内すべての企業を悉皆で調査しその分析を大学の知見を生かして取り纏めていただくこと。
地域経済の崩壊を避けるために、知事は担当部門に任せるのではなく、先頭に立って施策推進へリーダーシップを発揮すること。
厳しい状況に置かれている大学生に対して、奨学金返済規定を持つ中小企業を増やす制度を設けること。
就職氷河期世代が地域で活躍できる制度と仕組みを中小企業の人材確保と一体となって推進すること。
外国人労働者が地域で共に暮らし働くことが出来る環境整備を推進すること。
政策提案の報告に続き、報道懇談会に向けて取り組まれた「コロナ禍における中小企業の経営実態調査報告」が谷田良樹滋賀県中小企業家同友会 政策委員長(行政書士谷田良樹事務所 所長)より以下の通り行われ、政府や地方公共団体による中小企業と小規模企業に対する個別支援を強化しなければ、地域経済にとって取り返しのつかない打撃となることが伝えられました。
【2020年7月滋賀県中小企業家同友会 コロナ禍アンケート】
2020.10.01 懇談会報告資料 政策委員会
今年度当初以降、県内中小企業の経営に甚大な被害をもたらしている、新型コロナ禍はいまだに回復していません。営業は再開していても到底コロナ前の売り上げに戻っていない会社がほとんどではないでしょうか?
一方、定額給付、持続化給付などの生活維持、経営維持支援は単発にとどまっており、企業経営も、社員の生活も日に日に厳しさを増していると思われます。
滋賀県中小企業家同友会では、4~6月(参考資料)に続き、7月にも会員アンケートを実施。214社から回答を得ました。(「」内は自由記述回答)
○緊急事態宣言下の4~6月より、7月の経営環境はさらに悪化傾向。
214社中、85社が変わらないと回答。(39.7%)さらに65社が7月の方が4~6月よりさらに売り上げが減少と回答しています(30.4%)(平均25%減)
減少した企業を業種別で見ると、製造業43%と最も高く、流通業38%がこれに続きます。一方、売り上げが持ち直した企業は64社(30%)でした。
「4月はコロナで消費がダウン、7月は雨が多く消費ダウンの為。」
問)雇用調整金など国の支援が始まった4月に比べて、7月の売り上げはどう変化しましたか?
回答 回答数 割合(%)
増加した 64 30.0
変わらない 85 39.7
減少した 65 30.4
○36%の企業が赤字に・・・
7月の収支状況は77社(36%)赤字、69社(32.2%)収支トントン、68社(31.8%)黒字と言う結果でした。
通常同友会企業は黒字比率が一般の企業よりも高い傾向(参考調査 兵庫同友会2019年上期 黒字60%・トントン23%・赤字14%、2020年上期 黒字35%・トントン20%・赤字43%)があるので、県内中小企業全体の状況はかなり深刻であると思われます。
問)雇用調整金など国の支援が始まった4月に比べて、7月の利益の状況はどう変化しましたか?
回答 回答数 割合(%)
黒字 68 32.0
赤字 77 36.0
赤黒とんとん 69 32.2
○資金繰りは”コロナ融資”などの効果で75%の企業が正常
一方資金繰りについては、苦しい 54社(25%) 普通 135社(63%) 楽 25社(11.7%)と言う結果でした。売り上げや収支の状況に比べると、無利子無担保のコロナ融資が効いていると思われます。
しかし経営環境が根本的に回復している訳ではなく、時間の経過とともに資金繰りに行き詰まる企業が多発することが懸念されます。
「コロナの収束が長期化することで廃業・倒産の増加。また、雇用の維持が難しくなり先行き不安が増大します。住宅産業においては、落ち込みが長期化すると予測をします。この先1年から3年さきの長期の支援策の検討と実施が必要と考えます。」
「5月に多く頂いたので、まだプラスだが、これから先が赤字(マイナス)になります。12月で助成金がなくなれば売上げに応じた雇用カットか新アイデアが必要です。」
問)7月の資金繰りの状況はいかがでしたか?
回答 回答数 割合(%)
楽 25 11.7
普通 135 63.0
苦しい 54 25.0
○補助金については、利用企業の86%が「不足」「やむなし」で十分ではないと回答
雇用調整助成金や、持続化給付金については、不足と回答した企業が 45社、金額はやむなし98社 満足 23社 該当せず 48社 と言う結果でした。
補助金を利用した企業の実に86%が「不足」「やむなし」と経営の維持に十分ではないと回答しています。
「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業」は予算2200億円、1社あたりの上限150億円と大変手厚いものとなっておりありがたいが競争率が10倍以上と厳しい。」
「金額は高い方が良いが、将来へのツケを残すことは心苦しく感じている。」
「コロナの収束が長期化することで廃業・倒産の増加。また、雇用の維持が難しくなり先行き不安が増大します。住宅産業においては、落ち込みが長期化すると予測をします。この先1年から3年さきの長期の支援策の検討と実施が必要と考えます。」
「金額はそのままで良いが条件を緩和してほしい(50%以上の減少→20~30%の減収など)融資のおかげで1年半~2年は大丈夫であるが毎日不安である。今のうちに新たな策を実行しないと安心は出来ない。」
「家賃支援給付金の対象が5月以降売上50%を切った企業対象だが、緊急事態宣言が4月16日に出てるので4月を対象にいれるべき。」
「新聞売り上げは右から左、折り込み広告収入だのみ(業界の仕組みの問題)ですが、激減しています。総売り上げとしては新聞の売り上げは微減なため助成金や給付金の対象にはまらず苦しい状況です」
「単発の助成金では…。」「テレワーク補助金が突然打ち切りになることがあり、申請に向けて準備していたので困った」「4月、5月の売上が30%減少したが、持続化給付金に該当せず不満は残る。」
「減少率がもらえないギリギリだった。障害児の施設をしているが、学校が急に休みになった分うちのような事業所が子供を受け入れることになったが、朝から子供を受け入れるため人件費が増えるのに収入は増えず閉めるわけにいかないので非常に苦しかった」
問)雇用調整助成金、持続化給付金などの中小企業支援の金額についてお答えください。
回答 回答数 割合(%)
金額は満足 23 10.8
金額はこの程度でも仕方ない 98 45.8
金額は不足 45 21.0
その他 48 22.4
===参考資料===
滋賀県中小企業家同友会・中小企業のコロナ危機の状況について(4~6月アンケート結果報告)
依然として収束のめどの見えない新型コロナウイルス感染症の蔓延と、有効な対策を実行できない行政への不信感からくる消費の後退は、県内中小企業の経営に深刻な危機をもたらしています。
5月から6月にかけて滋賀県中小企業家同友会が会員対象に行ったアンケート調査(回答81社)では、1~3月期に比べて4~6月期の売り上げが減少した企業が53.8%と、県内中小企業にかつてない大きな被害が出ている状況が鮮明になっています。
さらに足元の景気が一層悪化すると考えている企業が80%にのぼり、先行きに対しても、ほぼ”絶望的”と言っても過言ではない状況です。
景況感に関する回答に関しては、同時期に実施された近畿の他府県の調査によると、兵庫58.1%、奈良65%、和歌山58.8%、大阪75%などと比べて滋賀や京都80.8%の経営者マインドがより悪いことが特徴として挙げられます。京都は観光への依存が高く、それが起因しているのかもしれませんが、滋賀県の先行き不安感の高さは懸念されます。
また資金繰りについては、苦しいと答えた企業が、滋賀43.2%、京都31.2%、大阪21.1%、兵庫36.9%、奈良21.9%、和歌山20%と、こちらも滋賀県企業の苦戦が目立っています。
苦境を訴える経営者の悲鳴の一部をご紹介します。「イベントの中止、大型商業施設等の休業」「コロナ感染問題で自動車メーカーの生産調整による受注減。」「客先に訪問出来ない為落ち込んでいる」「リハビリデイサービスも利用者が3割ほどお休みされている(コロナ感染が心配なので)」「コロナの影響で訪問件数が低下、コロナにより経営状況に不安を感じられた会社のキャンセルも発生しており、計画以上の落ち込みとなっています」「先行き不透明で着工延期」「イベントが出来ないので講習会が開催できない。企業の活動が低下しているので受注が少ない。新人教育が出来ないので教育需要がない」「新型コロナ感染防止対策の影響で卸先の自粛閉店や観光地の得意先の不振、イベントの中止や学校関係の閉鎖に伴う直販部門の不振などが大きく影響し、売上が減少している」「問い合わせ件数の減少。1件当たりの受注高の減少。見積途中での延期および中止。受注工事の取りやめ」「2月末より予定のイベントが100%中止となった。また、開催自粛要請のため自社努力ではどうにもできない状況」「コロナ対応により学校が休校となった影響大」「緊急事態宣言発出にともなう施工工事の延期。外出自粛による消費マインドの低下」「折り込み広告の収入が半減しています!」「売り上げ比率60%にもなる得意先の五輪特需が終わり、売り上げ減少。そこにコロナショックが輪をかけてその他の取引先でも売り上げが伸び悩んでいる。得意先自体は社会インフラ、医療、介護、食品、アミューズメントなど多岐に渡るが、コロナの影響かどこも伸び悩んでいる。」「消費税増税の影響で見通しがよくなかったところに新型コロナウイルスの影響で大幅減。自動車メーカーの操業停止も大きな影響があった。」「コロナにより外出出来なくなり4月13日から営業自粛し売上がゼロに」「コロナウィルスの影響により自動車関連の受注は5割減、」「海外製品が入荷せず、品物が完成しない為、生産調整が行われた。国内の建設業がストップし、生産依頼が延期になった。」「通常通り営業していたにもかかわらず休業していると誤解されていた可能性はあると思う。」
最後に、「“こんな時だからこそ”と、チャレンジする中小企業の実践報告」として、次のお二人よりご報告をいただきました。
松崎 悦子(株)EGS代表取締役は、2月以降イベント事業がすべて中止になり売上がゼロになりました。そんな時に、滋賀県中小企業家同友会大津支部の活動で成安造形大学のキャリア教育に取り組んでいたことから、大学生が地元に就職しないのは必ずしも大手志向が原因ではなく、中小企業の情報が手に入らないからだという原因を知り、動画で中小企業が会社説明を行う「滋賀 リクルートチャンネル =しがりく=」を立ち上げました。そのご、「しがりく」の仕様を学生目線で改善するプロジェクトが成安造形大のキャリア教育に生かされています。
青柳 孝幸(株)PRO-SEED代表取締役は、「ロボット教室」をオンラインで開催した自社の経験をいかし、彦根市内の全小中学校の情報担当者向けにZoom活用の研修会開催をバックアップしました。また、教員や保護者向けのZoom接続マニュアルも作詞し提供しました。このように、小中学校のオンライン授業をサーポートすることで、同社のスローガンである「滋賀から世界へ!彦根をエンジニアの街に!」を実践しています。
その他、石川朋之滋賀県中小企業家同友会副代表理事からは、第48回青年経営者全国交流会をオンライン開催し全国から1,481人もの参加で大成功させた経験が紹介されました。
また、廣瀬元行専務理事からは、滋賀県中小企業家同友会が行うGO TO EATキャンペーン(政府のキャンペーンを活用して、企業ぐるみで地元の飲食店や宿泊施設を利用しよう)が紹介されました。
このあと、会場を3階のオレンジ・ブラウンへ移して、席に間隔を取った懇親会を開催しました。