滋賀県中小企業家同友会

支部活動について-高島支部-

事業主から経営者になって見えてきたこと~高島支部9月例会~

高島支部 例会レポート

滋賀県中小企業家同友会高島支部9月例会が9月13日(水)18:30~20:30まで安曇川公民館で開催され20人が参加しました。
報告者に笠井智美さん( (株)シオンズ代表取締役、滋賀同友会理事、環境経営委員長)をお迎えし、『事業主』から『経営者』になって見えてきた、10年後に後悔しないために必要なこと」をテーマにご報告をいただき、グループ討論では「同友会をどう活かしてますか、また、どう活かしていきたいですか」をテーマにディスカッションが行われました。

笠井さんは金融機関に勤めていた時に、「支店長が変われば職員のモチベーションがこんなにも変わるんだ」という経験をされました。当初は何かと口うるさい支店長の下、その人の機嫌で職場の雰囲気が変わるような支店だったそうです。その人が移動で新たに就かれた支店長は、朝から職員一人ひとりと面談し「僕はこんな支店にしたいと思うけど、工夫した方が良いと思うことをはありますか?」と聴いてきたそうです。それから職員が自主的に集まって、良い支店へ工夫することを話し合うようになり、職場の雰囲気も一気によくなったそうです。「人は人との関わり合いの中で、こんなにも変わるものなんだ」と実感し、現在の職業でもあるコーチングの世界に強い関心を持ち始めたのだそうです。

その後、求人募集でコンサルタントの会社を見つけ、「講師になろうと」銀行を辞めて応募しますが、なんとその会社が倒産。無職で世の中に放り出された笠井さんですが、貯めたお金をつぎ込んでコンサルタントの勉強をし、開業されたのだそうです。
「自分の生きたい方向性と、会社の理念の接点、これがはまればはまるほど人は頑張ることが出来ます」と笠井さん。そこから、経営と人生の総合コンサルタントをめざして来られました。

同友会に入会して自社の経営理念がどこまで伝わるのかを確認するために「経営指針を創る会」に参加しました。でも、OB・OGに自分の想いが伝わらない、「質問の仕方が悪いから私の想いを正しく引き出す出来ないのよ」と、今から思えば他責にしていたそうです。結局、創る会修了時には腑に落ちない経営理念が出来てしまい、誰かに示すわけでもない指針書が成文化されたそうです。でも、創る会で気付いたことは、他の受講生は10年先を見て経営指針書を作成していたことです。自分に対する指針書ではなく、10年先のわが社を社員とともに創りあげるために経営理念・10年ビジョンを成文化していました。この時「個人事業主と経営者はまったく違う」と実感し、「会社を法人化して社員を雇用し、経営者になる」決意をされたそうです。
創る会を受講後もOGとして4期連続参加し続けていますが、それは「異業種の経営を疑似体験することで、自分の偏り、思い込みに気づく貴重な場」だから。参加することで「問題の本質を捉えて、課題化する力が磨かれる」と仰います。これによって、「自分が変わる力になります」とも。

笠井さんのお仕事は「相手が本当にやりたいと思っていることを、相手がやりたいように伝えて、やっていただく」ことなので、経営者として自社の社員に私が決めたことをやってもらうようにすることは苦手なのだそうです。その経営者としての力をつけるためにも、同友会で学ぶこと、労使見解の精神を自社で実践することに努めておられます。
同友会理念は「誰もが持っている人間の素晴らしさを発揮できる社会の実現をめざしています」と笠井さん。この理念が笠井さんの会社の理念と同じで響き合っているので、同友会運動を頑張っているとご報告をいただきました。
個人自営業から法人化して社員を雇用し10年先を見据えた経営を目指されている笠井さんの想いと、その実践を支える同友会運動の意味や価値がよく解る例会となりました。