滋賀県中小企業家同友会ユニバーサル委員会・経営労働委員会・共育委員会・理事会の共催で「2019障全交in滋賀 第3回プレ学習会」が8月4日(金)15:30~18:30まで草津市市民交流プラザ大会議室(フェリエ南草津5階)で開催され42人が参加しました。
今回の学習会には愛知同友会より障害者自立応援委員会で活躍されているTIY株式会社 代表取締役の小出晶子さんをお迎えし「生きることは社会とつながること、働くことで社会とつながる~“人を生かす”良い会社とは~」をテーマに問題提起をしていただきました。
開会にあたり、蔭山孝夫代表理事は「2019年秋に障害者問題全国交流会を滋賀で開催します。その取組みに照準を合わせ、ユニバーサル委員会を中心に障害者雇用の促進を目指して学び合いを行っています。地域の多様な雇用を担うことは、中小企業の社会的な役割であり、そうあることが良い企業づくりの実践です。わが社でも実践して行きたい」と挨拶。
田井勝実ユニバーサル委員長は「経営者の責任とは、企業を継続して発展させることです。地域の多様な人材、働き辛さや障害を持つ人たちが活躍する企業を作るのは、企業の継続発展の課題です。本日の学びを通じて、働く意欲と能力のある人の可能性が発揮される会社づくりの有り様を学んでいただきたい」と例会の開催趣旨を発表していただきました。
報告者の小出晶子さんは、お父さんが経営されている会社を継がれます。近所のパートさんが中心の会社で、扶養の範囲で働く人が多く社員募集をされますが応募がありません。必要に迫られて前職で訪問したことがある障害者施設のことを思い出し、養護学校へ採用募集。まず実習から始めて下さいと言われ、女の子に来てもらったことから障害者雇用が始まります。
最賃除外という制度があると聞かれますが、「同じ仕事をしているのにそれはおかしいのではないか?」と自問自答され、TIYでは障害者の人にも最低賃金を保障すると決め、最賃を支払えるだけの生産性を上げるために、仕事を単純化し治具や生産用具の工夫も進められたました。
女性のパートさんの最高齢は68歳、男性は83歳で、短時間でも働きたいという人に来てもらっているそうです。もちろん、長時間働きたい人にはフルタイムに変われるそうですが、小出さんは「働きたい時だけ来てくれて良い。働くことで自分の居場所が出来れば良い」と考えておられます。
お金をかけて機械化や自動化し、生産性を上げるようなことはしない。あくまで人が物を作る会社でありたいとも。そして、道具を工夫することで、誰でも働けるようにしたいと強調されます。
人は褒められたり、認められたり、役に立つと言わると嬉しくなります。これは障害のある人もない人も同じ。でもそれを実感できない人が多い。だからこそ、小出さんは会社で働くことを通じて、お互いを褒め、認め、役に立つと実感できる会社でありたいとも。
雇用する側が福祉のことまで抱え込むとしんどくて継続できないので、問題行動する障害者も居るそうですが、そういうときは支援センターの力も借りてもう一度福祉の施策で訓練してもらうそうです。
他の会社では馴染めなくても、TIYまら働ける障害者もいたそうです。一人ひとりの特性に合った仕事を見つけることが大切だとも。
雇用が出来れば一番良いのですが、同友会会員1社が一人の障害者に何らか関わることが出来れば、障害者を取り巻く環境は大きく変わるのではないかと。
最後に、「誰も働いてくれる人がいなかったから、結果として働いてくれる障害者や高齢者が中心の会社になった」と仰いましたが、でもそれは、小出さんの信念「生きるとは社会と繋がること」そして一番分かりやすいことが「働くことで社会と繋がること」だと言う、人間の社会性を尊重する「生きる姿勢」があったからだと思いました。
参加者の声「人間まるごと理解し、受入れておられる」「人としての優しさが伝わってきました。その人と出会ったことへの責任=経営者の責任として一人ひとりが働きがいのある職場を作ることだとあらためて学びました」「会社も働く人にとっても、お互いを必要とし、必要とされることが、働き続ける上で非常に大切であるとあらためて感じました。自然体で生の声をたくさん聴かせて頂き、スッキリすると共に刺激になりました」「みんなに「出会えたことが良かった!と社員さんに言って貰える会社にどうしたらなれるのか。一人ひとりと向き合い、真摯に話を重ねたい」・・・
このあと、小出さんにもご参加をして頂き、納涼会で大いに語り合いました。