滋賀県中小企業家同友会

委員会活動について-ユニバーサル委員会-

(株)木元産業様見学報告~人に仕事を合わす社風と仕組みがスゴイ!~

ユニバーサル委員会 委員会レポート

株式会社木元産業様 見学報告
日 時 2020年8月25日 13:30~15:30
場 所 岩根工場⇒本社工場
参加者 株式会社木元産業様 木元社長、小澤工場長(岩根工場)
参加者 川崎さん、宮川さん、朽木さん、嶋川さん、田中さん(サン機工)、田井
報告者 田井

目 的
中同協の障害者問題委員会は、会員企業に人間尊重経営の実践として、障害者雇用の拡大を目標に掲げています。滋賀同友会のユニバーサル委員会は結果としての障害者雇用を目標としています。まずはユニバーサル委員のメンバーが障害者の働く現場を見学し、会員企業に働ける(働きたい)障害者が居られることを知ってもらうため、現状把握することを目的に訪問させて頂きました。

概 要
株式会社木元産業様は、1980年に運送業として創業され、1985年に法人化されました。現在は、倉庫業に加え、製品の加工や組み立ても行われている会社です。
創業当初より障害者の就労もされており、2018年には滋賀県より障害者雇用を積極的に推進されている企業に贈られる『チャレンジドWORK推進事業所』として表彰されています。
岩根工場では、主に樹脂フィルムロールの芯パイプを加工させています。
新品ロール芯の切断加工、リユースされるロール芯の洗浄・補修、通箱の補修などを行われています。
こちらでは、14名のうち5名が障害者、3名が定年後の再雇用とのことです。
障害の内訳は、身体(聾)1名、知的3名、精神1名。
聾の方は、漏話学校の先生をされていた方だそうです。この方の入社により、これまで整備されていなかった安全講習を実施されたり、障害者特性だけでなく、A型やB型って何といったところも、管理者講習にも取り組まれたとのことでした。社内の管理体制を見直す機会にもなったとの事でした。
本社工場は、工場の生産ライン用コンベアーの組立作業を行っていられます。

こちらでは、多くの引き籠りの方に加え外国人の方も働かれています。
両方の工場とも、働いている方が障害者だということは、指摘されるまで分からなかったです。
報 告 株式会社木元産業さんでは、多くの方が長く働いておられます。その大きな要因は、『あんじょしてやってや』という社内風土が出来上がっていることだと思います。すべての社員さんが、各々の言動や所をさりげなく注視されており、その変化が管理者や社長に伝わる仕組みが出来上がっていました。またその報告を受けられた管理者や社長が、寄り添い話を聞かれています。40名の方が働かれていますが、アットホームな感じが伝わってきます。
多くの障害者の方が働かれていますが、基本的は働き暮らし応援センターなどからの依頼があって、就労体験から行われています。その期間を徐々に伸ばし、手厚いフォローによる就労体験を通じてお互いの就労ミスマッチを無くしていかれているのも、多くの方が長く働かれている要因の一つであり、障害者雇用の良い点だと思います。健常者の就職には、就労体験を行う機会が限られており、ミスマッチが発生するのだと実感しました。
賃金については、最低賃金はクリアーされており、同じ作業をされている方との差はないとのことでした。
情緒的障害をお持ちの方は、手厚いフォローだけでは、仕事を続けていけないのも事実であり、生産台数の極端に低下した方に面談するも改善されず、物に八つ当たりされ、他の方の脅威にもなっていたそうです。
この方は、最終的に営業の仕事がしたいと言って、退職されたそうです。
障害者雇用には、難しい面があるのも事実だとおっしゃっていました。

しかなしながら、このような状況は障害者だから起こることではなく、健常者も同じだと思います。この見学の翌日、今年入社してくれた新入社員が、当社で働くのが辛い、新しい目標を見つけたとのことで去っていきました。
木元社長のように、新入社員の変化に気付いていれば違った状況になっていたかもしれません。
こんなことを思いながら木本社長のお話をお聞きしていました。

最後に一番印象に残った言葉は、『1の仕事があかんかったら、2の仕事、それであかんかったら3の仕事、それもでもあかんかったら仕事を作ってやれ』とおっしゃっていた点です。
障害者雇用が増えるにつれ、『あんじょしたってや』から、障害者の専門家を招いて勉強会を開かれたり、安全講習を計画的に実施されるようになるなど、社内体制の改善も平行して行っておられ、社員にやさしい社風がアップグレードしています。