滋賀県中小企業家同友会

委員会活動について-青年部-

大津支部青年部合同8月例会を開催しました。

青年部 委員会レポート

テーマ:誰も信じられなかった僕が、“仲間と生きる”に辿り着くまで ~人を信じられなかった僕が、仲間に救われた経営の話~

報告者:本田哲也さん(㈱Mio 代表取締役)

8月21日(金)18時15分~21時までキラリエ草津にて、大津支部青年部合同例会を開催しました。本田哲也さん(㈱Mio 代表取締役)に報告いただき、68名の方に参加いただきました。

高校時代の文化祭で「本気で向き合えば人は巻き込める」という原体験を得た本田さんは、美容師の道へ進みます。しかし、過酷な労働環境から一度は離職を余儀なくされました。その後のフリーター生活を経て「仕事にはお金以上のやりがいが必要だ」と痛感し、再び美容の世界へと復帰。人生で初めて心から尊敬できる仲間・南澤氏との出会いを経て、2016年に㈱Mioを創業しました。

美容業界は高い離職率と店舗過多による過当競争が常態化しています。そこで同社は「男子大学生特化型」サロンとして、大学近隣へ集中出店する独自のドミナント戦略を展開しました。技術範囲をメンズカット等に絞り込むことで、入社初日からスタイリストとして活躍できる「0日デビュー」を確立。早期にお客様から「ありがとう」と感謝される成功体験を積むことでスタッフの自信と自立心を育み、高い定着率とスピード感ある出店を支える強力な強みとなっています。

 

しかし創業期の本田さんは、「自分が引っ張らなければ」「1人でやった方が早い」とスタッフを管理・支配しようとしていました。その結果、創業パートナーである南澤氏の笑顔を奪い、組織を硬直させてしまいます。現状打破を期した沖縄出店では、直後にコロナ禍と台風被害が重なり、多額の赤字を抱える絶望的な状況に直面しました。

そうした逆境の中で現地スタッフから返ってきたのは、「この会社が好きだから、本田さんと一緒に働きたい」という温かい言葉でした。本田さんは「会社を支えていたのは自分ではなく現場の仲間たちだった」と猛省。「1人で背負うのをやめ、仲間を信じて任せる」経営への転換を決意します。その後の大阪店出店の挫折からも、「任せるとは丸投げではなく、目的とビジョンを示して見守ることだ」と学びを深めました。

 

同友会での学びや多くの経営者との出会いを通じ、本田さんは「自分と異なる価値観や強みこそが組織の力になる」と確信します。人を自分の型に当てはめるのをやめ、強みを引き出す適材適所の組織づくりに着手。整理や仕組み化が得意なスタッフをエリアマネージャーに抜擢し、人事・教育リーダーを設けるなど現場主導の体制を確立しました。トップダウンから「スタッフが自ら考え、挑戦し、責任を持つ」自律的な風土へと劇的な進化を遂げられました。

同社が掲げるスローガンは「髪は切るけど、ご縁は繋ぐ」。数値目標として「100人の社長(挑戦者)を育てる」を掲げています。「人は変える対象ではなく生かす対象。仲間がいるからこそ、何度でも失敗を恐れずに挑戦できる」と力強く語る本田さんの報告は、経営者が人を信じ、共に未来を切り拓く覚悟の大切さを深く実感させるものとなりました。

(記:大橋 正義)