滋賀県中小企業家同友会

委員会活動について-青年部-

「感動企業、ここにあり!~社員が輝く会社~」青年部3月例会を開催しました!

青年部 委員会レポート

2019年3月14日、草津市民交流プラザ大会議室(フェリエ南草津5階)において、青年部3月渉外例会を開催いたしました。滋賀同友会会員をはじめ、70名が参加しました。
ご報告者は、石川県中小企業家同友会からお越しいただきました宗守重泰氏(株式会社宗重商店 代表取締役)。

テーマは「感動企業、ここにあり!~社員が輝く会社~」です。

 

滋賀同友会青年部幹事長の川勝健太さん(㈱カワカツ代表取締役)

3月例会座長の三峰詳晴さん(㈱メルプ代表取締役)

【ご報告要旨】

私は三代目で、現在44歳です。同友会歴は14年になります。
創業して80年目ですが、法人化したのは平成19年です。会社としては13年目です。事業の90%が解体業、リサイクル業です。滋賀の長浜市にも営業所があり、滋賀県は第2のホームグランドだと思っています。
一人っ子で、傍からみてもお坊ちゃんタイプでした。小学3年生のころから野球にはまり、大学1年までつづけました。今でも、学童野球のコーチをしています。
大学で流通を学びましたので、金沢の大手デパートに入社しました。1年目は食品を扱い、2年目から企画に携わるようになりました。3年目には課長代行を任せられました。
3年目の終わりに、家業に入ることになりました。家業に入ると、理想と現実のギャップを感じるようになりました。
現場ではケンカが絶えず、咥えタバコなどが当たり前でした。社員に給料を渡すと、翌日に二日酔いで出社してくるとか、連絡が取れなくなることもありました。
家業に入って半年して、事業主だった父が失踪しました。素人だった私が事業を引っ張らなくてはならなくなりました。最初の仕事は、第三保証人になることでした。また、事業の状況を見て辞めていく社員もいました。人に騙されて産廃処理のトラブルを抱えており、それを何とかしないと許可が取り消しになる状況のなか、一生懸命やってきました。

私が目指したことは、「サービス業」になることです。素人の私を頼ってくれた社員や、古株の社員の支えで何とかやっていましたが、私が業界の素人であったからこそ、サービス業にすることができるのだと思いました。また、他社に勝つには、それしか道がなかったと思います。
当時の事業所は、時代遅れの設備でした。まず、パソコンを導入することから始めました。次に、自社で施工できる会社にしようとしました。自社で施工が出来るようになると、下請けに払っていたお金を、自社にとどめることが出来ます。
二十代は、寝る間も惜しんで働きました。仕事が終われば、セミナーに参加したり、読書をしました。
ショックだったことは、家業に入って5年くらいしてマイホームを建てようと、メイン銀行に住宅ローンを組もうとしたとき、審査が下りなかったことです。それくらい会社の状況は悪いものでした。

時代の流れが後押ししてくれました。建設リサイクル法ができて、解体業界が改善されました。もともと、現場の作業はきれいにしていましたし、社員もベテラン揃いでしたので、建設リサイクル法に対応することが追い風となりました。CSR(企業の社会的責任)や、環境方針を明確にする、という社会の変化がありました。それらに取り組むことで、徐々に信頼される会社になって行きました。平成19年には、個人商店から株式会社になりました。それまでは、個人事業主の専従者でしたが、株式会社の社長になりました。第二創業のスタートです。
同友会には平成18年に入会しました。平成21年から、なんらかの役をさせてもらっています。同友会で学んで経営指針書をつくり、指針経営をはじめて13年目になります。発表会も全社員を集めてやっていますし、今年は、これまでの経営指針書で書いた考えをまとめて、手帳型に製本したものもつくりました。


社員共育の取り組みをご紹介します。同友会で学んだことをTTP(徹底的にパクる)しています。社内報で3ヶ月に1回社長メッセージをかいたり、毎日、朝礼、夕礼をやっています。ミーティングでは、現場の社員にも協力してもらっています。新卒採用もしており、今年4月から4名入社し、社員が60名を超えることになります。人事考課表も作成しました。スキルアップ表などで、技術の見える化を、今年から始めます。全社員から個人目標を出してもらっています。個人面談は、幹部社員にやってもらっています。会社に委員会をつくり、会社内の問題、課題を委員会をつうじて拾い上げています。委員は、入社二年目までの若手社員が、メンバーをドラフト会議で選んでもらっています。人望がないと、ドラフト順位が下がりますので、面白いです。その他、社員旅行にいったり、年末の温泉旅行、お誕生日懇親会、また、社員の飲み会を支援する飲み会補助金を導入しています。社員同士で飲みにいったら、集合写真を私に送ってもらえば、一人3,000円を支給しています。
会社は女性社員が15名います。女性ならではのアイデアを出してもらって、ホームページやイメージキャラクターのデザインをつくってもらいました。
私は、解体の仕事はカッコイイ仕事だと思っています。形あるものを更地にしていく仕事はかっこいいです。重機は、こどもの心をくすぐります。ロボットのようなものです。そこに、社員は誇りとプライドを持って欲しいと思っています。年4回、近所の幼稚園から園児にきてもらって重機に触れてもらう機会をつくっています。何十年先のリクルートだと思っています。

15年ほど前に読んだ本に書いてあったことで、私の得意技なのですが、「経営は人を通じて物事を達成する業」ということを大事にしています。お役立ちをみんなで達成する。会社は、「この指とまれ」であるべきだと思っています。他社から引き抜いたこともありません。ただ会社が向かう方向性に共感してくれて、今よりよい会社にしたいと思っています。
人づくり5年、風土づくり10年と思っています。風土づくりには時間がかかります。畑をつくっていかないと、よい作物はできません。共通体験、共通理解、共通認識、共通言語。これが会社の風土を培っています。コミュニケーションができて、信頼に繋がっていきます。
会社は世の中でお役にたって、正当な利益をもらうもので、仲良しクラブではありませんが、大きな目的にむかって進んでいく船のようなものだと思います。今の時代は激流だとおもっていますので、ラフティングです。タイミング、タイミングで力をだしながら、目標を持つ、メリットも感じてもらいたいと思っています。
社員よりもアンテナをはって、新しい情報を得たら社員と話をしてみて、共感してくれる人が1人でもいれば、一緒にやろうと進めています。一人でも賛同してくれたら、丸投げではなく、一緒に進めています。

会社を辞める原因は、人間関係が大半です。私は、大家族経営を進めています。時代と逆行しているように思われますが、会社の誰かが、たとえば悪いことをすると、会社も悪い評価を受けるので、社員も家族だというように接していかないといけませんし、優しさと厳しさをつくっていかないといけません。会社の中では、私はおじいさんだと思っています。私自身が若い人に怒っても仕方がありません。若い社員には幹部が厳しく言ってもらって、私はニコニコしているようにしていきたいと思っています。
リクルートについてですが、どこでなにをやりたいかが大事ですが、もっと大事なことは、だれと働きたいか、だと思っています。仕事は厳しいけれど、誰々さんと仕事が出来る、ということです。
出来なかったことが出来るようになる。自分で自分の成長を実感する。この2つは、自分の仕事が誰かの、さらに地域のお役に立っていると実感できて、他者貢献感を得ることができ、大切なことだと思います。成長は、人のお役に立つことです。
一人ひとりが主役になる会社をつくって行きたいと思っています。社員も入って一年目で活躍する人もいれば、3~4年目で化ける人もいるので、気長にやっています。雇用環境、職場環境の改善も実感してもらえる、それを証明していくこともやっていかないといけません。同友会で言う人間尊重経営とはそういうことかなと思っています。