滋賀県中小企業家同友会

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10月22日中小企業家同友会全国協議会「人を生かす経営オープンセミナー」の滋賀会場にて12名が学びあいました。

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中小企業家同友会全国協議会主催「人を生かす経営オープンセミナー」滋賀会場を設営し、会場参加とZoomミーティングルーム参加で計12名が参加しました。

日時 2020年10月22日 午後1時~午後5時
会場 【リアル会場】トラットリアデラメーラ(草津市)
【オンライン】Zoomミーティングルーム
参加者 12名

中小企業家同友会全国協議会主催「人を生かす経営全国交流集会」は10月22~23日に徳島県において開催する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止という観点から、一か所に集っての学びあいを中止し、Youtubeライブ配信で経営報告と活動報告を各地同友会に配信し、それを各地同友会が設営した会場で視聴し、グループ討論を行う形での開催となりました。

第1部では、中同協の経営労働委員会、共同求人委員会・社員教育委員会、障害者問題委員会からそれぞれ実践報告がありました。
各報告者から、自社経営の取り組み、特に同友会運動に参加するなかでの気づき、学びをを中心に、新型コロナウイルスによる経済的ダメージにどう立ち向かってきたか、どう乗り越えていくのか、乗り越えた先をどう考えているのかについてご報告いただきました。
そのなかから、中同協副会長で、人を生かす経営推進協議会代表の加藤明彦氏(エイベックス㈱代表取締役会長)のご報告を抄録いたします。

 テーマ(問題提起)「人を生かす経営の実践で、難局を乗り切ろう!~経営者の姿勢と経営指針の全社的実践~

私は、自分の能力は大したことはない、人の知恵は一つの頭でしか考えられないのだから、いろんな人からいろんなことを学ぶ機会を活かすよう心がけています。同友会では、TTP(=徹底的にパクる)とよくいわれます。無から有を生み出すことは大変ですので、学んだことを徹底的にパクる、すなわち自分で学んで腹に落ちたことを実践するよう心がけています。


新型コロナウイルス感染症への対処ですが、2月には「社員と関係者の安全確保」ということで、感染予防と感染拡大防止の対策を徹底的にやりました。
次に、3月には運転資金の確保をしました。とはいえ、どれだけ売り上げが下がるかわからないものですから、1年間の操業を6割程度とみつもって資金を確保しました。資金の確保ができれば、次は「社員の雇用維持宣言」をしました。リーマンショックの時も売上が減少しましたが、その時も雇用を維持しました。今回も、同じように雇用を維持するということを社員に告げました。
4月には、年度計画を見直しました。計画はすでに作っていましたが、これだけ経営環境が変化しますと、見直しを入れなければなりません。経営計画(直近の方針、中期方針)をつくることは、要は社員とのベクトル合わせです。これをやっておかないと、社長と社員とが別々の方向へ行ってしまいます。信頼関係を構築することです。
計画ができますと、5月には活動の日常管理に移りました。役割ごとの日常業務の管理です。達成度と計画のすり合わせで、もし達成度が計画にあっていなければ、無理な計画を立てたかもしれず、変更をしていかなければなりません。


コロナ禍のなかで改めて重要であるのは、「経営者の姿勢」です。売り上げが激減している現在、経営者として何から対処していかなければならないのか。ここで「なぜ会社がつぶれるのか」を考えてみますと、それは「支払うお金がなくなったから」です。いくら黒字でも、支払うお金がなければ倒産してしまいます。そこで、このような事態ではまず「資金の手当て」をすぐに行うべきです。
では、「いくらのお金があれば、どこまで会社がもつ」のでしょうか?経営者の中には、緊急融資などで融資をうけたものの、「借りすぎた」とか、「足りなかった」という方がたくさんおられました。日ごろのキャッシュフローをちゃんと把握していれば、自社にどれだけの資金が必要なのかわかります。私の会社では、管理会計をベースに、資金繰りとキャッシュフローの計算をしっかりしておりましたので、コロナ禍の中でも、自社にどれだけの資金が必要か計算して、借り入れをすることができました。
しかしながら、皆さんの中にはここで躓かれる方も多いかと思います。ここで重要なことは、「経営指針」の実践です。精神論では、このような事態を乗り切ることができません。「志」の裏付けとしての経営指針書が必要です。困難な時だからこそ、経営指針書が「経営者と社員の心のよりどころ」となります。信頼の裏付けとなります。同友会で口酸っぱく、「経営指針の成文化」といいっている理由はこの辺りにあります。


さて、借りたお金は必ず返さなければなりません。そのためには、できるだけ早期に売り上げを黒字転換させることです。それは社長だけでできることではありません。かならず、社員の力が必要です。売り上げをあげるのは社員です。ここで、黒字転換のために人件費を削ってしまうと、社員の力を生かすことができません。経営者と社員の信頼関係の中、「全社一丸体制」で乗り切ることが最も大切なことです。


新型コロナウイルス感染症の禍はいつかは回復しますが、売上がV字回復することはありません。ここで重要なことは、「情勢認識」です。私はこのような事態になって、『経営指針の成文化と実践の手引き』を読み返しました。とくに、情勢認識の部分を重点的に読み返しました。また、『企業変革プログラムステップ2』にある「経営理念を実践する過程-①自社をめぐる情報収集と分析」、「市場・顧客の変化と顧客ニーズの把握」を読み返しました。ここが重要なところです。
リーマンショックのときは、経済が大きく縮小し、新たな顧客を見つけなければ売上が上がらない事態でした。
しかしコロナショックは、経済活動の停止・制限ですので、顧客ニーズを探し当てる、市場の環境変化に対応した未来への差別化することによる市場創造がキーになってきます。
競争が激化する中で、先手をうてば大きなビジネスチャンスになる時代です。そのために、同友会で危機を脱却する経営のヒントを学ぶ必要があります。ただし、チャンスは自分でつかみ取るものです。いくらいい話を聞いても、それを自分のものにしなければチャンスをつかむことができません。