滋賀県中小企業家同友会

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第30回経営研究集会 第1分科会を開催しました

本会行事

第一分科会では、株式会社広島精機 代表取締役社長 柳原邦典氏(広島同友会副代表理事)より「ビジョン経営に基づく終身雇用と人材育成でよい会社を実現」~ビジョンで組織が変わり、ビジョンの共有で社員が夢と希望を持てる~をテーマにご報告いただき、現地・Zoom合わせて29名が参加しました。

柳原さんは、「自社75年の変遷を見ると、その時代に応じたビジョンが見えてくる」と語られました。広島精機は、創業時は金属加工から始まり、歯車の溝加工をしていました。その後、素材から歯車全体を作ることになり、そして今では歯車を組み込んだ製品を販売するようになりました。この根本にあるのは、創業者で祖父の「メーカーになりたい」という想いでした。

 

柳原さんの意識が変わったきっかけは、同友会の経営指針セミナーで「あなたは何屋さん?」と問われたことでした。最初、歯車屋さんと答えられましたが最終的には「総合エンジニアリング企業」になると答えました。そこで、「自らの事業領域を決めてしまうと可能性がなくなる」と柳原さんは考えました。トヨタグループのアイシン精機は、当初トランスミッションメーカーだと柳原さんは思われていましたが、「あらゆる生活製品を世界に供給する」というビジョンを掲げ、それを実践している姿を見て、トップの掲げる言葉、つまりビジョンが会社の将来や可能性に影響することを学ばれました。

柳原さんは経営指針とビジョンの共有について、「1~2年のビジョンは思いのレベルであり、戦術レベルです。10年ビジョンは方針がしっかりしていないと掲げられず、戦略計画や方針管理が必要です。100年ビジョンは理念レベル。つまり不易流行の経営理念です。企業活動は、“経営理念に基づく、ビジョン達成のための、あくなき改善活動に過ぎない”と割り切ってやるしかありません。また、経営指針書の成文化は、社長の思考整理でありますが、社員に伝わりにくいということも事実です。コミュニケーションのみならず、例えば将来のイメージ像をイラスト化したものを活用して10年ビジョンに落とし込んでいます。伝わりにくいなら工夫をして伝える姿勢は重要であり、そのような取り組みをしている同友会の仲間もいらっしゃいます。私たちも、イラストを活用したビジョンの作り込みを実践し発信しています。ビジョンを伝えるために、あの手この手で社員の心に届き、そして力を発揮し始めて経営理念が実現するためのエネルギーになるのです。」と自社での取り組みを語ってくださいました。

今後の将来を見据えた経営については、広島県呉市の大手製鉄会社が閉鎖され、3000人以上が働く場を失ったことを例に出し、今までの仕事を見直し、将来を見据えた経営をしていくことの重要性を説かれました。

柳原さんは最後に、広島同友会の立石克昭代表理事(㈱タテイシ)の、「故郷に錦を飾るのもいいが、“故郷で錦を織り続ける”ことも必要で、そのような人になってほしい。」の言葉を紹介し、「故郷で錦を織り続ける人になるには、終身雇用を前提として大事な経営資源であり地域資源である人材がこの地域社会に残らないといけません。そのためには、トップは明確なビジョンと働き方改革によって未来に対して安心、安全な職場を追及し、連帯感や成長を実感でき、個人が生き生きと活躍できるような職場づくりを実践していく必要があります」とビジョン経営についてまとめてくださいました。