滋賀県中小企業家同友会

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第46回中小企業問題全国研究集会IN香川に滋賀より13名が参加しました。

事務局

第46回中小企業問題全国研究集会IN香川が2016年2月18日(木)13時~19日(金)12時まで「人を生かす経営の実践で、地域の明るい未来を創りだそう~21世紀型中小企業づくりで「すべての地域」に同友会理念を~」を集会テーマに掲げJRホテルクレメント高松をメイン会場に開催され、全国の同友会より1,300人が参加しました。

滋賀県中小企業家同友会からは、以下の13名が参加しました。

1 坪田 明 大津発條(株) 代表取締役社長
2 坂田 徳一 (株)坂田工務店 代表取締役
3 北野 裕子 (株)エフアイ 代表取締役社長
4 小田柿喜暢 大洋産業(株) 代表取締役
5 大日陽一郎 山科精器(株) 専務取締役
6 青柳 孝幸 (株)PRO-SEED 代表取締役
7 中野 裕介 (株)ジョーニシ 社長室室長
8 立石 豊 (株)シンコーメタリコン 代表取締役
9 宮川 草平 宮川バネ工業(株) 代表取締役
10 永井 茂一 (株)ピアライフ 代表取締役
11 蔭山 孝夫 滋賀建機(株) 会長
12 西村 常博 (有)西常商店 取締役
13 廣瀬 元行 滋賀県中小企業家同友会 専務理事

18日(金)はテーマ別の分科会よりスタートしました。参加者はそれぞれの分科会にて5時間にわたる密度の濃い学び合いに参加をしました。

私が参加したのは第2分科会で、テーマは「平和な社会でこそ中小企業は繁栄する」でした。湯本良一(株)湯建工務店社長(東京同友会相談役)と杉村征郎杉村精工(株)会長(静岡同友会相談役理事)より問題提起を受けて討論しました。

湯本氏は、世界は第2次世界大戦の反省に他って民主主義のルールを枠組みとした国際関係を築いてきましたが、ロシアや中国の現在の動きは戦後秩序を無視しています。核兵器開発の技術的なハードルが下がり、抑止力による均衡が破れてきました。加えてISによるテロ、内戦による難民問題など、世界の状況は不安定化しています。ゆえに、自由・平等、主権在民、民主主義を大切にした新しい価値観と秩序の構築で平和を実現しないといけません。戦争の抑止力は健全な民意を形成することであり、雇用の70%を担う中小企業が利益を出して顧客と雇用を守ることが安定した社会づくりのベースとなります。そのために、同友会理念による良い企業づくりをめざす私たち同友会運動の役割は大きいという考えをを投げ掛けました。

杉本氏は、過酷な戦争と言論抑制でモノを言えない時代、自由な経営を許されなかった戦時体制を経験した同友会運動の先人たちの反省と戦争を繰り返さない熱い思いが「自主・民主・連帯の精神」に結実したこと。同友会のめざす「人間が人間らしく豊かに生きられる社会」こそ同友会の希求する平和な社会の理想像であると強調。歴史に学び、事実を知り、自分の頭で考え、平和主義、立憲主義、民主主義、個人尊厳の政治を実現するために、平和の問題を同友会で大いに論じ合うことが大切だと強調しました。

グループ討論では「平和について何を考えなければならないか」「自由と民主主義を守るために中小企業家は主体者として何ができるのか」を語り合いました。

この中で、「平和の問題は政治課題ではなく、中小企業が時速可能な経営をする上での経営課題として位置付け、経営の指針に位置付ける必要がある」「憲法9条は世界に誇る日本ブランド。このブランドを真正面に掲げて、武力ではない独自の国際貢献を目指すべき」「国家間のパワーバランスによる平和の維持が崩れているからこそ、戦後70年間平和主義を貫いてきた日本のリーダーシップで戦争を絶対に起こさない新たな国際秩序構築に力尽くすべき」「中小企業が技術や本業を通じて世界の格差や貧困を無くすために、仕事づくりや民間交流に力を尽くすこと」「国会の安保法制にたいして、中同協として同友会理念による基本的な見解を是非とも示すべきだった」という意見が出されました。

分科会座長の広浜中同協幹事長からは
1)「生きる、暮らしを守る、人間らしく生きる」を実現することが同友会の目指している平和な社会のありようであることを明確に持つ。そういう社会づくりを担う良い会社づくりを進めましょう。
2)同友会こそが健全な民意形成の先頭に立ちましょう。
3)事実をして自分の頭で考えましょう。
とまとめられました。

いま、ジャーナリズムの報道姿勢や18歳選挙権に伴う学校教育での政治的中立性について話題になることがあります。とりわけ政権与党の議員さんからは、偏向報道があれば電波を止めるという発言がなされたり、番組製作にあたって与党からいろいろと注文をつけるような文章が発せられているようです。

私は現下の情勢で「政治的中立性」を云々することは、報道や教育の現場において、平和や原発、政治に関わる問題には蓋をしたり、避けたり、取り上げないようなことに繋がるのではないかと危惧しています。

本当の意味での「政治的中立性」とは「私はこう考えます」と言うことを自由に発言する権利を保障し、国民の中でお互いの主張を自由に交わすことが出来る条件と環境をつくることだと考えます。

私たち中小企業家同友会においても、その時々の重要な政治的課題に対して大いに意見を交わし合うことが大切でしょう。そういう議論を交わすきっかけとして、中同協の会長が同友会理念を経営にも自らの生き様にもいかす立場で談話を発することは、大切なことだと思います。

また、経営の現場においても、経営者の考えだけを朝礼などで伝えるのではなく、社員に対しても人間尊重の精神ではどう考えるのがよいのかを問い掛け、また社員もどのような考えをもっているのか、いろいろな機会に、自由に話し合える風土をつくることが出来れば、投票率が5割もいかないような現状を変えていくことに繋がると思います。
こういうことを進めるのが、政治的中立性を担保することだとと思いますし、人を生かす経営の実践ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

さて、5時間に及ぶ分科会での学びの後は、1,300人が一堂に会した懇親会。会場埋め尽くす人人人で熱気に溢れました。

19日(金)は9時から全体会。
基調講演は香川同友会会員、徳武産業(株)代表取締役会長の十河孝男氏より「足もとに笑顔を届ける会社~奇跡を起こしたピンクの靴~」をテーマに行われました。
手袋の下請縫製業からOEMのシューズメーカーへ。工場の海外展開で仕事が無くなる危機から、介護シューズを手がけ、徹底して介護の現場の声を吸い上げ、靴業界の常識を覆す左右サイズや仕様の違う靴や、個別対応の靴を開発し市場を創造。その考えの根本は、人の役に立つことだと実感しました。そして、業績ではなく継続を重視する。損得よりも善悪で判断することなど、私たちの理念と戦略を見直す感動的なお話しをしていただきました。

香川同友会の皆さん、研究集会の準備運営、本当にありがとうございました。滋賀から参加の皆さん、学びを実践して、良い会社づくりを進めましょう(M・H記)