滋賀県中小企業家同友会

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東近江支部11月例会を開催しました。「今更聞けないお金の話~決算書読めていますか~」

東近江支部 例会レポート

20251126日(水)、G-NETしがにて東近江支部11月例会が開催されました。「今更聞けないお金の話~決算書読めていますか~」をテーマに、澤田匡央税理士事務所所長・澤田匡央氏にご報告いただきました


冒頭、澤田氏は税務調査の最新動向に言及されました。調査件数がコロナ禍以前の水準に戻りつつある中、選定へのAI導入や、建設業等がターゲットになりやすい傾向など、専門家視点での「現場のリアル」を共有。しかし過度に恐れる必要はなく、日頃からの適正な会計処理こそが重要であると強調されました

報告本題は「決算書は誰のためのものか?」という問いから始まりました。税務署や銀行のためではなく、何より「経営者自身が自社の現在地を把握し、未来の意思決定を行うためのもの」であるという本質が語られました


まず「損益計算書(P/L)」は一定期間の成績表であり、特に本業の力を示す「営業利益」が重要です。具体例として、従業員寮などの家賃処理において、販管費と営業外収益に分けるのではなく、営業外費用で相殺し営業利益の見栄えを良くする方法など、実践的なヒントも紹介されました。また、在庫や外注費といった「調整しやすい科目」こそ、銀行や税務署が厳しくチェックするポイントであると警鐘を鳴らされました

次に「貸借対照表(B/S)」は、決算日時点での会社の財政状態を表し、年輪のように積み重なるものです。澤田氏は「現金管理が最も重要」とし、帳簿と実残高の一致が基本中の基本であると述べられました。また、銀行評価を下げる「役員貸付金」の危険性や、逆に資本金とみなされやすい「役員借入金」の性質など、勘定科目ごとの金融機関の視点を解説。自己資本比率はまず30%、将来的には60%の超優良企業を目指すべきという指標も示されました

さらに、提出義務はないものの経営において極めて重要な「キャッシュフロー計算書」についても言及。「勘定合って銭足らず」の黒字倒産を防ぐため、本業で現金を稼ぎ(営業CFプラス)、それを将来への投資(投資CFマイナス)や借入返済(財務CFマイナス)に回す「安定成長型」を目指すべきだと説かれました


最後に澤田氏は「決算書を経理担当者や税理士任せにせず、毎月必ず試算表を確認してほしい」と力説されました。自社の数字を過去や同業他社と比較する。分からない点は遠慮なく税理士事務所へ質問し、対話を重ねることが健全経営への第一歩です

今回の例会は、手元の決算書と照らし合わせながら聴講する参加者も多く、自社の数字と向き合う覚悟を新たにする貴重な機会となりました