滋賀県中小企業家同友会

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第2回アジア視察研修会3日目「現地リーダーの育成こそ企業発展のカギ」

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○第2回アジア視察研修会3日目「現地リーダーの育成こそ企業発展のカギ」

2013年9月10日(火)
早くも、ホーチミンでの視察研修最終日となりました。これまで、ローカル企業とベトナム人技術者の育成・派遣機関を訪問してきましたが、その締め括りとして日系企業で、かつ本社が愛知県中小企業家同友会のメンバーでもあるIshikawa Seiko Vietnam Co.,Ltd.を訪問いたしました。
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午前10時頃に工場に到着。社長のNguyen Huy Trung氏と、技術指導員の田野俊二氏にご案内をしていただきました。
Ishikawa Seiko Vietnam社は日本品質の精密部品加工を強みとして2011年5月に設立されました。が、その設立までの経過が面白い。
Nguyen Huy Trung社長は、もともと3年間研修生として本社である石川精工で技術を学び、帰国後は日系企業での就職を目指しました。しかし、良い就職先が見つからないため、商社的に石川精工の仕事を請け負い、また現地で仕事を探してローカルの企業に委託製造をしてもっていましたが、ローカル企業ではなかなか良い製品ができあがらず、それならばと本社の石川社長に相談して工場を立ち上げることになったものです。
本社ではベトナムで工場を作る計画はなかったそうですが、自社で研修を受けた若者が帰国しても働くところが無いというのは可愛そうだからと工場を設立。日本人が工場を立ち上げたのではないことが特徴的です。
「ベトナムに工場を作る、行きたい人を募集!」という呼びかけに、由一手を挙げたのが田野氏。単身赴任で、2年になるそうです。「人は優しくて良いところですが、ドロボーが多いのが難点」だとか。
人材は、主に日本で研修を受けたベトナム人を採用。研修経験のないワーカーさんや大卒技術者はなかなか定着しないそうです。1台の加工機に出来る人と出来ない人を付けて、OJTが中心。「だから1台に何人も人が付いてやっているのです」と。ベトナム方本社に研修生を定期的に出しています。
営業は「飛び込み」ですが、特徴的なのは日本での研修生仲間のネットワークを通じて、受注を増やしてきたそうです。
受注の40%は日本向けで、60%がベトナム国内。国内の内50%が日系企業だそうです。
日本への納期は2週間、単品加工なので納期は早。ベトナム企業と競争になる量産品には手を出していません。
売上げは150万$(約1億5千万円)です。
設立当初は、日本の中古機械を4台送り込んでのスタート。人件費は日本の10分の1で、ワーカーさんの給料は約25,000円。ライバルは他の日系企業で、この1年で競合が20社出てきたそうです。
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いまは部品の精密加工だけですが、将来はメーカーになり、完成品まで手がけたいとNguyen Huy Trung社長。5Sは入社時に社長が直接指導していますが「はじめは使ったら使いっぱなし。整理整頓という習慣がありませんから」とか。何事も「トップがまず勉強して社員に示さないといけません」とも。「ベトナム人は、ベトナム人が教育するのが一番効果的だ」と強調されました。
日本での研修生が帰国して仕事を作り出し、後追いで現地に工場を立ち上げることになった石川精工。本社の石川社長の縁あって学んだ仲間への愛情や人間尊重の精神は流石は同友会会員と思いますが、それ以上に現地で仕事づくりを行ったNguyen Huy Trung社長の行動力にも脱帽します。
工場は整理整頓が行き届き、社員さんの応対も礼儀正しく、しっかりと教育されていることが良くわかりました。
技術指導員の田野様は62歳。志願兵として本社から単身ベトナムに赴かれ、Nguyen Huy Trung社長の右腕として頑張っておられます。
この様な人材あってのIshikawa Seiko Vietnam社なのでしょう。
Nguyen Huy Trung社長、田野様、社員にのみ名様、有り難うございました。
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ホーチミンでの視察を終えて感じたことは、どの企業にも優れた現地のリーダーが存在していることです。昨年はハノイで日系企業を訪問しましたが、日本人が現地の社員さんを教育することが大きな課題のようでした。今回ローカル企業さんと日系でも現地の人材が立ち上げた企業を訪問して、企業の発展を通じてベトナムをより良く発展させたいという思いを強く感じました。その思いが共に働く仲間に通じているからこそ、強い企業づくりが進んでいるように感じられました。
ここに、私たち中小企業がベトナムで、東アジアでビジネスを展開する際に大切にしなければならないことのヒントがあるように思われました。
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このあと、昼食を済ませた私たちはホーチミン市内を散策。中心部発展のシンボルでホーチミン市内を一望出来るタワー、SAIGON SKYDEKへ登りました。発展するビル群と、その合間にローカル色をそのままに残した家々や商店が犇めく風景を見ながら、この国がこれからどういう方向で発展していくのか、あらためて興味と関心をかき立てられました。

○いざ、カンボジアプノンペンへ!
ホーチミン空港を16時10分に飛び立ち、プノンペン空港には16:50分に到着です。入国ビザの申請手続き(20$)もあっさりと終了。無事プノンペン入りすることが出来ました。
空港前の駐車場は雨期特有のスコールのあとで、まるで波打ち際状態。専用バスに乗り込んで一路宿泊先のオハナ プノンペン ホテルへ向かいました。
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こちらでもバイクは重要な移動手段のようですが、ベトナムとの違いは「スーパーカブ」タイプのバイクが圧倒的に多いことです。 主な移動手段は、タクシーではなくて、座席のついた客車をバイクで引いて走るトゥクトゥク。車はベトナムよりも多く走っています。トヨタカムリが人気車種で、12年落ちの中古車が200万円とか。実に高い!。関税は115%。輸入すると倍の値段。バイクも高いので中古が多く、それでも125CCで500~1500$だそうです。電化製品も人気があり、中国製の新品よりも日本製の中古品が「壊れないから」と売れているそうです。
驚いたのは、トヨタのレクサスが多いこと。アメリカ仕様のミニレクサスが大量に輸入されているからだそうです。
道路にはゴミが散乱していて、路上駐車の車でびっしり(あとで聞きましたら、路駐して個人で車を販売していることも多いとか)。
1$=4000リエル。コンビニがあり現地の定価販売をしていますが、観光客向けの店では、缶ビールもジュースも、ミネラルウォーターも全部「1$」っていう感じ。

学校は6:3:3制。8~10月は休み。義務教育ではないので学校に通わない子どもも多いとか。
夕方の町中には屋台が立ち並び、焼き肉、サンドイッチ、お粥、ソーメン等が売られていまました。

ホテル近くには外国人向けのパブの他に、ローカルの屋台が多く、ものすごい、沸き立つような活気を感じました。(廣瀬元行@滋賀同友会専務理事記)