滋賀県中小企業家同友会

委員会活動について-新産業委員会-

第3回アジア視察研修会「ヤンゴン外国語大学を訪ねて」

新産業委員会 その他活動

ヤンゴン外国大学訪問記
1.はじめに
我々海外ビジネス研究会ではミャンマーとビジネス展開を考えたときに最も重要な「人」について調査、勉強をさせていただくためにヤンゴン国立大学を訪問させていただきました。
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ヤンゴン外国語大学は、1964年に設立された国の外国語研修機関を母体として、1996年にヤンゴン外国語大学に昇格し、ミャンマー国の重要な教育機関の一つになっています。
ヤンゴン外国語大学は以下に記載したビジョンとミッションを基本して運営されています。
○ ビジョン
『国の社会的および経済的発展に貢献する語学の専門家とプロを養成すべく、言語と海外研究の分野において、ミャンマーのリーディング国際教育機関として、ミャンマー外国語大学の地位を高め、強化する。』
○ ミッション
(1)ミャンマーと繋がりのある世界の国々の言語、文化、芸術、社会情勢、経済、政治および外交の学習を通じ、高度な教育基準を維持することで、高レベルな言語学の専門家とプロを持続的に排出する言語および海外研究の国際大学となる。
(2)言語学的、教育学的および文化的交流を促進し、社会の相互理解を育てる教育的および学術的環境を構築し、発展させる。
(3)ミャンマー語を外国語として教え、かつ学ぶことに関し、大学内に蓄積されたその熟練した知識、技能を生かした研究を行い、国際的な教育機関に対してミャンマー語を教えるリーディング大学となる。
(4)言語教育の分野において、その支援や研究を行う言語の研究センターとして、実際の職場で求められる実践的な語学教育を提供する。

2.内 容
我々16名は9月3日(水)朝ホテルを専用車で出発し、途中にアウン・サン・スー・チーさんが軟禁されていた家(現在も住んでいる)を見ながら、ヤンゴン市内にあるヤンゴン外国語大学に向かいました。大学では大きく立派な会議室に通され、学長をはじめとした多くの教員の方々の歓迎を受け、始めにLwin Lwin Soe 学長よりヤンゴン外国語大学の説明を頂き、その後、活発な質疑応答や意見交換が行なわれました。この会合が終わった後では大きな講義室へ案内され、学生たちによる日本語のプレゼンテーションと学長よりその健闘を称える表彰式に参加させていただきました。
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最初の会議室における質疑応答について代表的なものを簡単にまとめました。日本語教育関連に関するヤンゴン外国語大学の状況が大体理解できると思います。
・日本語の人気は?:
日本語については、20年前は日本語の人気が非常に高かったが、近年では中国語の人気が顕著になってきた。一方で直近では再び日本語の人気が再び高くなっている。
・入学方法は?:
ミャンマーでは高校の成績順で希望の大学に入ることができる(入試はない)。
・学生数は?男女の割合は?:
ヤンゴン外語大学の学生数は4445人で9割が女性です。
・日本企業への就職状況は?
学生の日本企業への就職状況については、3年前は成績優秀な学生、あるいは男子生徒を企業望んでいたが、最近は日本企業からの募集が多く、企業が選べる状況ではない。学生が企業を選んでいる。現在、大学は20年前に4年制から3年制になったが、今年より再び4年制になったため今年は卒業生がいない。残念ながら、今年は望んでも卒業生を供給することができない。
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・起業家精神の教育や企業との連携は?:
現在、大学は国の支配化にあり自治ができない状況。しかしながら、徐々に改善されつつあり、近い将来自由に授業等ができるようになる。近々、ビジネス等の教育はできるようになる。
その他として、
・日本語の教師が26名いる。そのうち日本人は2名。
・大学では中国語、韓国語、日本語、タイ語、英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、ミャンマー語が教えられている。
・留学生(2013-2014)は中国(94人)、韓国(70人)、日本(16人)、ベトナム(11人)、その他(26人)で中国、韓国が圧倒的に多い。
・国際交流協定が日本の大学(大阪大学、昭和女子大学、龍谷大学、名城大学)と締結されている。
学生による日本語のプレゼンテーションではWeb等から入手した日本のPOPカルチャーやニュースを集め独自の日本語新聞を作成しその内容を日本語でプレゼンテーションするというものでした。プレゼンを行なった学生は日本に留学経験もあり、上手な日本語で発表を行なっていました。
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この訪問により、ヤンゴン外国語大学には優秀な人材が揃っていることが理解でき、良い情報を得ることができた反面、卒業生が引く手あまたの状況であるため、中小企業が人材を欲した場合に人材の確保が可能かどうか厳しい現実もわかりました。

* 余談ではありますが、ミャンマー国の行政機関や大学を訪れる場合は日本にあるミャンマー大使館経由でアポイントをあらかじめ取っておく必要があります。我々はミャンマー訪問の一月半ぐらい前に依頼書を準備し大使館に申請をしました。一方で、許可がなかなか得られず、許可が下りないままミャンマーに出発いたしました。許可が下りるのか下りないのか良く判らない状況でしたが、大学訪問予定日の2日前というぎりぎりのタイミングで何とか許可をいただくことができました。後にミャンマー在住の日本人の方に伺いますと、ミャンマーではいつもこのような感じで許可が下りるのはぎりぎりの場合が多いとのことでした。
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記 龍谷大学 龍谷エクステンションセンター(REC)
産学連携コーディネーター 筒井 長徳