滋賀同友会の新産業創造委員会では、新型コロナウイルスの感染拡大が続く下で、医療機関の装備品不足を支援するために院内用ビニール ガウン製造プロジェクトをスタートしました。すでにガウン二千着を製造(4月30日現在)し、長浜赤十字病院や滋賀県に納品。その後も医療関係者や、京都同友会からの要請に応えて製造に取り組んでいます。
プロジェクトの始まりは、4月15日に「病院で使うビニールエプロンを作れませんか?」と事務局に寄せられたSNSのメッセージ。かねてより同友会の活動に参加されていた、龍谷大学先端理工学部の塩見洋一先生からの発信でした。
事情を伺ったところ、友人で長浜赤十字病院で副院長をされている塩見尚礼先生から、診察時に汚染から身を守る袖付きガウンが不足し、備置も無く発注しても供給されないため、地元で作れるところを探しているとのことでした。早速、事務局から滋賀同友会で新しい仕事づくりを担う新産業創造委員会メンバーに呼びかけて意見交換。地域医療の支援は社員や家族の生命を守ることだと、プロジェクトを立ち上げました。
しかし、メンバーの誰一人ビニールガウンを作ったことがありません。そこで、プロジェクトへの協力を表明した会員を中心に今すぐ自社でできることを共有し、試作から量産を担える㈲ワークロード(代表取締役 川崎博治さん)と、ツジコー㈱(代表取締役 辻 昭久さん)の2社でスタートしました。
製造コストも「作ってみなければわからない」のが正直なところでしたが、材料費と機材のリース費、人件費を最低限まかなえる範囲にすることのみ確認し、赤字覚悟のスタートとなりました。
写真は試作品第1号です。
病院に送った試作品には「ナースに着ていただきましたが、クオリティが高く大好評!」だと返事をいただき、仕様についての改善(ビニールの厚さ、袖口に親指を通す穴を空ける等)を行って、4月27日からツジコー(株)本社で社員さんの手作業による製造を始め、当初の予定より大幅に早く30日には2000着を完成させました。
製造を担ったツジコー(株)の社員さんからは、「普段の仕事以上に、作っている物の価値が分かり易く、やり甲斐を感じながら取り組むことができました。医療に携わる方のお役に立てるように、作業工程も生産性を上げるため工夫し、コストが下がることに努めました」と仕事そのものへのやり甲斐と自主性が発揮されたことを伺いした。
医療現場の窮状を訴えた、一本のメッセージから始まったプロジェクトが、わずか二週間足らずで現場の期待に応える成果を上げられたのは、「国民や地域と共に歩む中小企業」をめざす同友会の仲間であったからこそ。
プロジェクトでは引き続き医療関係者の要請に応えていくと共に、全国の同友会から希望があれば作り方をお伝えし、中小企業による地域医療の支援と仕事づくりに繋がればと考えています。
※医療用ビニールガウン製造工程動画を公開します
なお、製造担当のツジコー(株)では、問合せが多いため説明用のフライヤーを作成しました。ご紹介をいたします。